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追い込んで狩る方法で兎を3匹仕留めた。

追い込みが上手く行かずに変な方向に逃げられると魔法の射線が確保できなくて逃げられる事になるがしっかり追い込めばだいたいは仕留められる。


順調に狩りを続けていると狐を見つけた。

俺達が狩りをして血の臭いがしたからなのかはわからないが警戒心が強いようだ。


周りの気配を探っているのが遠目でもわかる。

囲んで追い立てるのは難しそうだ。


魔境の外の狐なら強化を使えば走る速度で勝てる。

しかし兎には勝てない。


狐だったら見かけた時点で巣などに逃げ込まれない限りはだいたい捕まえられるが魔境の狐となると走る速度が上がって追いつけなくなる。

本気で走って互角か狐が勝つ位だと思う。



反動を気にしないで強化をすれば勝てるだろうが無理する必要はない。

本気で走ってしまうとすぐ攻撃できる体勢では無くなってしまうので攻撃を当てるのは難しい。


その上、元の耐久力は低いが魔境で強化されているので攻撃がしっかり当たらなければ逃げられてしまう。

ある程度臨機応変に動ける走り方となると少し遅くなってしまう。


一旦離れてからどうするか話し合ったが今回はそろそろお開きにする事にした。

よって遠距離からラピアが魔法を打って俺達が追いかける形をとる。


俺達が察知されないギリギリの位置を見極めてラピアが魔法の準備をする。

ラピアがウォータアローを放った。


俺とメリは強化を使って全速力で狐を追う。

しかし警戒をしていた狐はウォータアローをなんとかかわした。


俺とメリは体勢を崩した狐に向かって石を投げつけた。

狐は渾身の力で不安定な体勢のまま飛び上がった。


その着地点をラピアのウォータアローが捉えた。

と思われたが狐はそのまま逃げ去った。


おしかったな。

最初は氷魔法を使っていたが大きな傷が付いてしまうので攻撃力の低い水魔法にしている。


一発で倒せなくても当たればまともに走れない位の痛手を与えられるので小動物に当てるには丁度良い加減だ。

さっきの魔法で傷を負っていれば跡をつけることができるので最後に魔法が当たった場所を調べた。


血痕等は残っていない。

逃げていく狐も怪我を負った様子はない。


俺は諦めてその場を離れようとした。

しかしふと気が付いた。


地面がまだ湿っている。

俺は周りの土を木刀で無理やり掘ってみた。


俺の奇妙な行動を見てメリとラピアが覗き込んできた。

軽く掘ってみたが土の中には水分があんまりない。


しかし魔法を当てた場所は湿っている。

狐が出したおしっこでもない。


そうだとしたら点々と後が残るし臭いがあるはずだ。

俺が考えているとラピアが魔法当たった後の場所を触った。


「湿ってる・・・・・・」


土を手に持って指先で検分している。

俺が後から掘った場所と土を比べたラピアは数歩離れてウォータを地面に使った。


ウォータの水はしばらくすると消えた。

魔境の性質が水だとしたらウォータを使った後に少し水分が残るはずだ。


しかし水分が地面に残ったとしてもすぐ消える。

ウォータを打った後の地面には何も残っていない。


次にウォータアローを使った。

再び何も残らない。


そして少し間を置いた後にウォータを使った。

ウォータの水が消えた後には地面の色がそこだけ変わっている。


良く観察してみると少し湿っている。


「知らなかった」


ラピアが呟く。

俺は一瞬わからなかったが3回魔法を使ったことの意味をなんとなく推測した。


「どういうこと?」


メリが俺とラピアの思案顔を交互に見ながら言った。


「うん。一旦魔境の境まで行っていいかな?そこで説明するよ」


俺は無言で頷いた。

メリはとぼけた顔をしていたがラピアの珍しい様子に押さえれて魔境を出る事にした。



俺達は魔境と外の境目に着いた。

出てすぐの場所で立ち止まるとラピアはウォータを地面に打った。


地面に変化はない。

今度は魔境に入ってからウォータを打った。


地面に湿り気が残った。

そしてまた魔境から出て時間をかけてからウォータを打った。


さっきよりかは劣るが湿り気が残った。

ラピアが大きく頷いた。


「おもしろい事が分かったよ。まだ上手く説明できないからみんなで試してみよう」


ラピアが嬉しそうに魔境に入った。

魔境に入った時の特有の感覚がした。


「まず両手を軽く前にだしてウォータを両手の間に維持してみて」


俺達3人はお互いが見えるように3角形に陣取って魔法を唱えた。

手柄杓に水が貯まる。


「それをそのまま下に落としてみて」


俺達は言われた通りにそのまま地面に落とした。

水が落ちるがしばらくすると消えて後には何も残らない。


「次もさっきと同じようにウォータを出して」


俺とメリは言われた通りに素直に再びウォータを使った。


「ちょっと試してみるから私を見て」


ラピアはそう言うと両手を平行に小さく構えてでウォータを使った。

手と手の間に水の塊ができる。


ラピアはその状態で深呼吸をして精神を集中し始めた。

瞑想に近い状態だ。


すると周りにある魔素がラピアに集まっていく。

ラピアは真剣にそのまま瞑想を続けている。


すると一つの水滴が地面に落ちた。

続けて少しずつ水滴が落ちる。


落ちた水滴を観察すると普段なら消える水滴が消えずに地面に染みを作っている。


「良かった」


ラピアが嬉しそうに呟く。

魔法を止めるが地面の染みは消える事はなかった。


「今まで魔法で出した水はすぐ消えてたけど消えにくくする方法が分かったよ。まだ検証が足りないから消えないとは断言できないけど私からすると大発見だよ。やり方は簡単、魔素を使ってウォータを使えばできるよ」


「そうだったのか」

「おー。私もやってみる!」


俺とメリはラピアを習ってウォータをしながら瞑想をして魔素を取り込んだ。

しかし上手く行かない。


「ロッシュは上手く行っているように見える。けど水滴が落ちないね。メリは魔素をそのまま魔法に篭める感覚で」


ラピアの指導の下、俺達はウォータを使ってみる。

俺も普段は魔素を体の中に入れて魔力に変換してから使う所を魔素のまま魔法に篭めているつもりだ。


しかし俺とメリはいくらやっても水滴を出すことはできなかった。

試しに地面にウォータを打っても何も残らない。


「うーん、水適性がないからなのかな。魔素の篭める量が足りないのかな。私からみたらしっかり魔素が篭められているように見えるんだけどなあ」


結局水を作り出せるのはラピアだけだった。

だがラピアが言ったように俺達からすると大きな発見だ。


ミュッケ村の大人達やタウロ開拓団なら知っていただろうが自分で見つけたという事が重要だ。

何より今まで知らなかった事を発見できてすごく嬉しい。

この事は他人には教えない事にした。


魔境では水にも魔力や魔素が篭っていてるので飲料できるかを最初に確認しなければならない。

飲み水を確保する事も食料と一緒で重要な要素だ。


それが自分で水を作れるとなると話しが変わってくる。

水は嵩張るし重いし荷物になる。


水の分の重さを食料に回す事ができれば魔境での滞在期間も延びる。

と考えが飛躍したがまだ色々と検証の余地がある。


水を作るのに魔力はどれくらい必要なのか、そもそも作り出した水はただの水なのか等だ。

これらを調べるので当分は遊べるなと思い期待に胸を膨らませるのだった。



俺達は木刀用の木を回収して兎の解体にかかった。

最初に捕まえた2匹は氷魔法で捕まえたので損傷が激しかった。


帰りにフォレの所でお礼代わりに食べてようと思う。

残った2匹は内臓だけ出して血抜きをして今回売ってみる事にした。


値段次第では売らずに明日食べちゃっても良い。

食べたいけどお金もほしい。


今回は売るのが初めてなので皮を剥ぐのは止めておいた。

皮をなめすこともできなくはないがまだ下手だしある程度の場所と道具がないと皮を駄目にするだけだ。


下手に手を出さずにそのまま売ってしまおう。

皮をなめす時にその生物の脳を使う事もある。


だがその方法をどうやって発見できたのかを俺は知りたい。

先人の知恵は偉大だ。


食べる用の兎の解体が終わった後は各自ウォータで体を洗った。

帰りは俺が行者にんにくの入った背負い袋を背負って兎を木刀に縛って運ぶ事になった。




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