迷宮にて存在する恐ろしい者たち
迷宮。
それは人が一攫千金を狙い挑むもの。
魔物と生死のかけて戦った先にたどり着く結末は
英雄への道か。
骸へ変わり果てた自分か。
己は英雄に。そんな夢を見るものほど骸になっていく現実が日々訪れてなお、何千人に一人の割合で英雄になるものがいる。
それはまるで己の命をチップに宝くじにすがるようなもの。
今日も迷宮は人を無数に飲み込んでいく。
そんな迷宮でもっとも人を骸に。死体に。殺しているのは。。。。。。。。
「ひゃはははは!三秒だ。三秒だけまってやる!」
「ひっ」
なにがなんだかわからない。
俺はそんな中で懸命に今まで通った迷宮の道を思い出しながら必死に駆け抜けている。
迷宮は行き止まりも多く一つ道を間違うと【アレ】に捕まるから。もう【アレ】は三秒を数え終えた。後ろから凄まじく速い音が迫ってきている。
だから道を間違わないように。
そして捕まらないように俺は走る。
「ひゃはははは!どぉぉこぉぉぉだぁぁぁぁ」
【アレ】は危険だ。魔物なんかよりよっぽど。
俺はこんなところで死ぬわけにはいかないんだ。
俺が冒険者になるといって家を飛び出したときに、そのことを知っていたのか親が持たせてくれた剣と鎧。無茶でバカな俺の願いを親は知っていたんだ。だから俺は親を楽にさせるためにも英雄になるんだ。
「みいぃぃつけぇたぁぁぁぁぁぁ」
だが。。。
俺は逃げ切れなかった。
こうなったら【アレ】と戦って勝つしかない。
そう。俺は英雄になる男だ。【アレ】なんかには負けやしない!
「死ね!化物がぁぁぁ」
「っち。おせぇ」
おかしい。。。力が入らない。視界が霞む。痛い。熱い。嫌だ。こんなところで死にたくない。助けて。
「いいねぇ。いまお前は希望を抱いたな?その希望が絶望に変わる瞬間が最高にいい表情だぁぁぁぁぁぁ。おらぁ。痛いか?もっと。もっともっともっともっともっともっともっと苦痛に顔を歪めろ。俺を殺して助かると思ったてめぇのその表情はたまんねぇな!ひゃはははは」
迷宮
その中でもっとも人を殺害しているのは人。である。
彼等殺人鬼は迷宮を隠れ蓑とし、それぞれの美学に沿った方法で冒険者を殺害し続ける。その劣悪は知能が限りなく低い魔物と違い、計画的にじっくりと真綿で首を閉めるように。蜘蛛の巣で絡めとるように。徐々に冒険者に忍び寄る。
これは夢見て村から飛び出した冒険者が殺人鬼に殺された
よくあるお話である。