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梅雨の季節と折りたたみ傘

(あの子だ……)


転校生はインヴァネラの事件の時、僕を助けてくれた女の子だった。

漫画のような再会に胸が高鳴る。


北条さんの座席は僕より前の位置だった。

彼女に聞きたいことがたくさんあった僕は、休み時間になるたびに声をかけようと思うが、なかなか動けない。

コミュニケーション能力は決して低くはないが、自分から話しかけるのはどうも苦手だ。


そんな風に悩んでいたら終礼になってしまった。

クラブに所属していない僕は、終礼が終わるとすぐに帰宅の準備をする。

天気はあいにくの雨。まぁ梅雨の時期なので仕方がない。

僕はカバンから折りたたみの傘を出し、校舎をでた。


「ちょっと失礼するね〜」

後ろから女の子の声が聞こえ肩がぶつかる。

ぶつかった方を見た僕はぎょっとしてしまった。


僕の傘に北条さんが入ってきていた。


(え……)


動揺している僕に北条さんが話しかけてくる。


「傘忘れちゃって、途中まで送って」


上目遣いでお願いしてくる姿に不覚にもドキッとしてしまっう。


「ど、どうぞ」


緊張のあまりもごもごと返事した僕は、北条さんと一緒に学校を出た。



「私のこと覚えてるよね?」


学校を出た後、無言で歩いていると北条さんの方から話しかけてくれた。


「もちろんです! あの時はありがとうございました」


「どういたしまして」


(素敵な笑顔だな〜)

北条さんの微笑みに思わず見とれてしまう。


「でも、結城君ってすごく勇敢だよね。あの時、私がいなかったら死んでたよ?」


「全くもってその通りです」


「怖くなかったの?」


この質問に僕は即座に返事できなかった。


「結城君?」


「も、もちろん怖かったですよ! でも、あの親子を見捨てるのは正しいことじゃないと思って……」


「結城君って面白い考え方するんだね」


何が面白いのか僕にはよくわからなかったので、曖昧に微笑んだ。


「北条さんはAISFに入ってるんですか?」


僕は最も聞きたかった質問を下校中にやっとすることができた。


「ええ、そうよ。あと、敬語はやめてもらえると助かるなぁ〜」


「す、すみません」


「同い年なんだからさ! 普通に接してくれた方が私も話しやすいし」


「わかったよ」


北条さんは満足そうに頷いた。


「対インヴァネラ特殊部隊。私はここに所属してインヴァネラと闘っているんだけど、結城君、興味あるの?」


「少し」


「実はね〜、私のリーダーも少し君のこと気にしてるみたいなんだよね」


「AISFの方が!?」


「すごく急な話なんだけど、よかったらこれからAISFに来ない?」


急すぎる展開に僕は戸惑いながらも、AISFにお邪魔できる機会を無駄にしたくなかったので、


「もちろんです!」


今日一番の元気な返事で、僕は雨の中を歩いて行った。





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