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一話

 穏やかで美しい朝の風景。

 鳥がさえずりながら空を舞い、手入れの行き届いた花壇には瑞々しい花々が咲き誇る。お日様もこの時間帯ではまだ優しく微笑んでいるようだ。そして、後頭部を踏みつけにされた少年は、このワンシーンに実に調和……しているわけがない。とんでもない異物だった。


 人は到底起こり得ない出来事を目の当たりにすると、それを奇跡と呼ぶ。

 しかし、考えたことはないだろうか。

 世に起こるおよそ全ては必然だ。しかしそれら一つひとつを細分すれば、およそ起こり得ない確率、試行の堆積であると。


 これらの必然や日常は、残念ながら奇跡と呼ばれることがない。

 超自然的な現象、命またはそれに匹敵する事柄、宗教的要素……奇跡は本来これらを包含する。つまりは神秘性が奇跡には必要だからだ。

 だが、ないに等しい事象が過去そして現在に起き、その連続が今をつくっているという事実。これ以上の神秘があるだろうか。

 存在がすでに神秘なのだ。そうなると奇跡と必然の境界はどこにあるのか。


 失礼、目の前の光景と講釈が噛み合っていないと感じているのだろう。

 この少女に頭を踏みつけられた少年。彼に起きた出来事も数多あまたな事象の一つに他ならない。

 では、これは起こり得ない奇跡なのだろうか。それとも、平凡な日常なのだろうか。

 判断のために少し時間を戻したい。なに、ほんの少しだけだ。すぐに状況がつかめる。

 そう、最初は何でもない、何気ない一場面からがいいだろう。

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