表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

第3話・奇跡の力と奇跡の不在 ~浮かび上がる可能性~

第2章 皇宮医務殿での日常



      第3話・奇跡の力と奇跡の不在 ~浮かび上がる可能性~



「知っての通り、回復魔法は患者の治癒力を高めて怪我や病気を癒す……当然、かけられる『患者の側』に気力や体力が残っていなければ、治ったところで命を落とすことになりかねない」




 まず、前提条件の確認をするウスニーが、一体何を言い出したのかと、インスもディオネラも訝し気に眉を顰める。




 周知の事実……とは言い切れないので確認すること自体は分からないでもない。



 けれど、ここに居る三人は三人共『呪師』なので、ウスニーの言う通り『知って』いる。




「……そのはずなのに、アインは皇女たちを負担なく治している……インス。お前は心当たりがあるだろう?」


「…………ぁ……」




 言われて、インスも思い出す。




 皇孫皇女ジャンヌの命を狙う魔族によって、アインと共に連れ込まれた廃離宮・西の塔。



 そこで重傷を負ったインスに対し、アインは回復魔法をかけた。



 その回復魔法は、インスに()()()()()()()()()粗方治療しきった。



 完治とはいかなかったのは、その時魔族によってかけられていた拘束魔法が、同時に攻撃魔法として作用していて、治した端から負傷させられていたせい。




「……どういうことです? 患者に負担なく、怪我を癒す術を、アインが知っていたということですか……?」




 話の流れが見えないのはディオネラだけ。




 そんな、これまでの治療魔法の限界を超えた魔法を、記憶のない幼子が知っていた?




「いや。多分違う……。インスから事件直後……意識が戻ってすぐに事情聴取をしたゾナール神官長によると、アインは普通に回復魔法の合図を口にしたいたらしい……」




 言いながら、ウスニーがインスを見る。



 同様にディオネラもインスを見て、思い起こすように思考に沈むインスは、ややあって頷く。




「……ええ。確かに。あの時アイン君が口にした言葉は間違いなく、『回復ルイオエル』……神官呪師の方が使う治療のための魔法です」


「「………………」」




 インスが認めたことで、室内には重い沈黙が落ちた。




 アインの()()()がはっきりしたのは、皮肉にもこの事件に巻き込まれた結果。




 インスだけではなく、ジャンヌたちに対しても……



 しかも、操られた抜け殻の体が起こした『奇跡』。



 対象に、何の負担もかけずに重傷をほぼ一瞬で治しきり、更には疲労まで取り除いた。




 それは神官呪師が使う回復魔法ではない。



 神話の時代に、神々の奇跡として極僅かに記述が残っている程度の――文字通りの奇跡の力。





「……だから、初めはアインの中にある『水の神剣』によるものと考えられたそうだ……」




 ややあって、続けたウスニーの話を聞くうちに、インスもディオネラ顔色が悪くなっていく。




 今、さりげなく国家機密を共有されたことにも気づいて、恨めしそうな視線が向いた。




 インスに向かっては鼻で笑い、ディオネラに向かっては目で謝罪したウスニーの言葉は止まらない。





「……だが水の神剣に、『癒し』に関する能力がある。といった記述はどこにも残っていないらしい……」


「「……………っ!?」」




 その言葉に、インスも、ディオネラも、息を飲んで絶句した。




 ではアインは、一体どうして……そんな()()を起こせたのか……?




 説明が、全くつかない。




「……今のところ、考えられる可能性は、一つだけだ……」




 ウスニーに言われるまでもなく、インスもディオネラも、同じ結論に達していた。




 今のところ、それしか、説明のつく可能性がない。




 即ち……





「……アインの出自が、それを可能とする者である。ということだけ……」





 声を押さえて告げたウスニーの言葉が、重く、冷えた室内に響いた。


第2章第3話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、アインがインスや皇女たちに行った「回復魔法」の異常性について、ウスニーが核心を突くお話です。


対象に何の負担もかけず、一瞬で重傷を治しきる力。


それは呪師が使う魔法ではなく、神々が起こす「奇跡」そのものです。


水の神剣の力でもないとすれば、どうしてアインはそんな奇跡を起こせたのか?


導き出された「たった一つの可能性」に、またしても国家機密を共有させられたインスとディオネラが「なんてこと聞かせてくれるんだ」と恨めしそうな顔をするのがたまりません(笑)。


果たして、彼らが導き出した答えとは?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第6弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ