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第2話・皇宮呪師の登竜門 ~相談前の情報共有~

第2章 皇宮医務殿での日常



        第2話・皇宮呪師の登竜門 ~相談前の情報共有~



「……ラント呪師は……その、まだ、体調が?」



 何とも言えない複雑な表情でそう問いかけたのはディオネラ=アムス。



 皇宮呪師学校で校長を務めている女性の呪師で、今日は今後の件の相談もあって皇宮医務殿を訪れていた。




 ウスニーから、先日飲まされた劇物よりも更に上のグレードがあると聞かされてインスが目を回した翌日。




 ディオネラの目の前では、いまだにベッドに突っ伏して唸っているインスの姿。



 意識を取り戻して後、順調に回復に向かっていると聞いていたのだが……




「……いえ……体調は、多分、悪くは……どうなんでしょう?」


「悪くないに決まってるだろう?」




 もごもごと、はっきりしないインスをはたいて、呆れた口調で断言したのはウスニー。




「食事も睡眠も機能訓練も順調なんだ。体調が悪いわけではない」


「……その割には……その……」



 きっぱりと言い切るウスニーの言葉と、目の前で唸っているインスのギャップに困惑しきりのディオネラに対し……




「秘薬を飲ませたからな」


「……劇物の間違いでしょう……」


「……ああ……」



 三者三様の反応に、一瞬病室内に沈黙が落ちた。



「……アムス校長も、その……」



 飲んだことがあるのだろうか? という疑問に、ディオネラはにこりと微笑む。



「私はありません。特殊隊や討伐隊の呪師たちの登竜門として、聞いているだけでです」



 その、どこか一線を引いた微笑と言葉に「何とも嫌な登竜門だなぁ……。」とインスが思ってしまったのは実際に飲まされたからだろうか?




「特殊隊や討伐隊の奴らはすぐに無茶をやるからな……あまりひどい時は強制的に飲ませるように言っている」



 続けて、ウスニーが加えた説明を聞いた途端にゾッと悪寒が走る。




 いいからさっさと飲め! と言いつつ、無理やりにあの……断じて薬とは認めたくない()()を飲まされて、死屍累々となる呪師たちの姿が思い浮かんだ。



「大体の奴は一回飲ませると次からは気を付けるようになるんだが……」



 そこで言葉を切ったウスニーの目が胡乱げにインスを見た。



 ぞわぞわっと鳥肌が立って、必死に腕をさするインスにニヤリと人の悪い笑みを向ける。




「……たま~に、反省しない奴もいるからなぁ~……」


「変な目で見ないで下さいっ!」



 何とも愉しそうなウスニーの様子に、インスは顔を引きつらせて悲鳴じみた声を上げる。




 絶対、医者のしていい顔じゃないでしょう!?



 内心で叫ぶが口には出さない。



 出したが最後、どんな目にあわされるか分かったものではなかった。





 話はそれたが、今日、ディオネラがわざわざ皇宮医務殿に足を運んだのはインスとウスニーのじゃれ合いを見るためではない。



「先日の授業結果を見て、アインのスケジュールの緩和が決定されました。授業は一日おき。日に一科目のみです。皇宮側こちらの調整ができませんでしたので、今は神殿側でのみ、授業を受けて貰っています」




 インスの意識がなかなか戻らなかったため、どのような方針で今後の教育を進めていくかの相談ができなかった。



 かといって、皇宮騎士団の武術訓練だけをさせるわけにもいかないと判断された。



 なぜなら、アインはまだ怪我が完治していない。



 どころか、このままではずっと、左腕の怪我は治らないのが目に見えていて……武術訓練どころではない状態。



 そういった情報をディオネラから共有されて、インスは頭を抱えた。




「……それ、もしかすると……すごく、マズいかもしれません……」




 唸るようにインスが不安を漏らせば、ウスニーもディオネラも無言で、けれども真剣に頷く。




「……かも、じゃあないな……すでに神殿側で問題視されている……」



 インスの不安を即座に肯定したのは神官呪師であるウスニー。




 彼は神殿仕えの神官を兼任する呪師なので、当然神殿側の動向には常に注意を払っている。



 更に、今話題にしている『アイン』は、未就学年齢でありながら、神官呪師の学習も、皇宮呪師の学習も……先にも述べたとおり、皇宮騎士団での武術訓練まで受けていたので、ウスニーも今後関わることになるから。



 と、言われて色々と……本当に色々と、知りたくもない機密ことを知らされてすっかり巻き込まれてしまっていた。


第2章第2話をお読みいただきありがとうございます。


皇宮呪師学校の校長、ディオネラがインスのお見舞い(と相談)にやってきました。


「体調は悪くない」と断言するウスニーに対し、ベッドで唸り続けているインス。


凄まじいギャップにディオネラが困惑するのも無理はありませんね(笑)。


多くの皇宮呪師たちを地獄の底に引きずり込んだ「登竜門」こと、神殿の秘薬(劇物)。


「たま〜に、反省しない奴もいるからなぁ〜」と愉しそうに嗤うウスニーの、医者にあるまじき極悪な笑顔に、インスが悲鳴を上げる姿は必見です!


しかし、ディオネラ校長がもたらした「アインの今後のスケジュール」に関する報告で、和やか(?)な空気は一変します。


インスとウスニーが頭を抱えた「神殿側の問題」とは?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第6弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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