表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう何も望まない私を、騎士公爵だけが手放さない  作者: SoL


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/9

6話 贈り物と罠

 アレクシス様と共に夕食を食べる。

 いつもは仕事で遅いけど、今日だけは大事な日。1年前の今日、私がこの屋敷で目を覚ました日、アレクシス様に言われた。


『屋敷の外へ出ては行けない。毎月、この日付はプレゼント交換を行う』


 と。だから私は今回、カフスボタンを用意した。



「アレクシス様…こちら。今回のプレゼントです」


「………あぁ」


 アレクシス様は箱を一瞥するだけで、食事の手を止めて開ける気配も無い。


「俺からのプレゼントは届いたか?」


「はい」


「明日、それを着ろ。劇場へいく」



 …はい。別に他意はない。そう言われたら従うだけ。

 次の日、私はいつものように目覚め、侍女に連れられ自室へ向かい用意をした。


 ドレスなんて何年ぶりだろう。


 鏡に映る自分を眺め、笑うわけでも回ってドレスの裾で遊ぶ訳でもなく、ただ見つめる。



「出来たか。」


「はい。」



 いつものようにアレクシス様に手を引かれ、玄関外に止めてある馬車まで歩く。

 袖口には、私の送ったカフスボタンがチラついて見える。

 すれ違う使用人が皆、一斉に行ってらっしゃいませと頭を下げる。


 私も、アレクシス様も特に返事を返さずそのまま馬車へ乗り込んだ。

 馬車の中でも終始無言。馬車のカーテンは閉められており、外を見れる訳でもない。


 ただ、気まづいとは感じない。無言、会話なしはいつもの事だ。ただ、食卓や寝室が外になっただけ。



 私は侍従に渡された新聞を読む。


 “近衛騎士第1隊長と副隊長の恋愛に迫る!!”


 という見出しで大きく書かれた記事。


 “副隊長ユリウス・アルヴェーンは、

 婚約について問われると

『ある想い人がいる。その人が幸せになるまでは、

 僕は誰とも婚約しない』と語った“


 想い人…ねぇ。そう。


 “隊長アレクシス・ヴァルクロードは、

『ずっと欲しかった猫を1年前から飼い始めたが、

 その猫が懐いてくれない。

 だがしかし保護した野良猫が懐くまで、

 無理に抱き上げることはしない。

 それと同じだ』と語った“


 猫なんて飼ってたかしら?



 劇場へ着き、私達は支配人のような人にバルコニーへ案内される。

 そこは劇場全体が見渡せて、舞台もよく見える席だった。


「座りなさい」


「はい」


 しばらくして、開演のブザーと共に幕が上がった。公演の内容は、巷ではやっている、小説だ。

 ガゼボに遊びに来る令嬢と、騎士の恋愛物語。

 令嬢は美しさのあまり、ガゼボの妖精と呼ばれ、騎士は不器用ながらも妖精の温かさに触れ、心通わせるストーリーだ。

 途中、ライバルの悪徳伯爵が出てきてガゼボの妖精を攫おうとするが、騎士が間一髪で助け、ついにふたりは結ばれる。


 というお話だ。


 特に心動かされることは無い。なんて思いながら、周りに合わせて拍手をする。


「ヴァルクロード隊長!よろしいでしょうか?」


「あぁ」


 アレクシス様はそばに控えていた部下に呼ばれ、行ってしまった。

 先に馬車に戻れともその場に色とも言われなかった私は、劇場のエントランスへ行くことにした。

 バルコニー席で待機してしまうと次の公演に迷惑がかかってしまうし、馬車はどこか分からない。



 そう思って歩き始めた時だった。


「エリシア嬢!!!」


 聞き覚えの声に足が止まる。


「この1年どこに居た!?探したんだぞ!さぁ早く帰って結婚式をあげよう!私の妻になるのだ!」


 バルドリック伯爵……どうしてここに。

 アレクシス様もいないし。



 強引に腕を掴まれて引っ張られる。

 もう、本当に、どうでもいいや。

 抵抗する理由が見つからなかったので、私は目を閉じて、引っ張られるまま歩き出した。

 その時だった。



「「エリシア!!!!」」



 もう一人、いや、二人聞き覚えのある声が聞こえた。

 恐る恐る目を開けると、目の前には剣を構えるユリウスの後ろ姿と、バルドリック伯爵を取り押さえるアレクシス様の姿。


「バルドリック伯爵!殺人教唆容疑及び誘拐未遂の現行犯で逮捕する!」



 目の前で悔しそうな顔をしながら手錠をかけられる伯爵。


「エリシア!これは誘拐じゃない!そうだろ!?君からもなにか言ってくれ!私たちはずっとずっと前から付き合っていると!!!エリアス!!!私達は付き合っていたんだ!!!!」



 エリ…アス……エリアスは母の名前だ。


「どうして……」


 全て聞き終わる前に、伯爵はアレクシス様の部下により連行されて行った。

 これでやっと……全てが終わった…の?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ