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もう何も望まない私を、騎士公爵だけが手放さない  作者: SoL


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5話 橋の邂逅 アレクシスside

 そして、それから2年が経ったあの日。俺は近衛騎士隊長に任命された事が嬉しくて、街に飲みに出ていた。


 祝杯を上げる理由は、確かにあった。

 それなのに胸の奥は、ひどく冷えていた。


 酔い醒ましに散歩する。

 黒いブーツに白い雪が1粒落ちる。

 下を向いて歩いていたから気付かなかったが、辺りはもう真っ白だった。



「はっはははっ」


 乾いた笑いが漏れ、俺は橋の欄干に両肘を掛け、体を預ける。

 重く、長いため息を吐きながら、乱れた髪を掻き揚げ、空を眺める。



 昼間、ユリウスが言っていた事を思い出していた。


『来週、付き合って1年だから婚約を申し込もうと思ってるんだ』


 やつは今頃、次のデートの約束でも取り付けている頃か。あぁ。考えても虚しいだけだ。

 この気持ちとはとっくにケリをつけたんだから。



「……帰るか」



 そうして、帰路に着こうと橋の出口を向いた瞬間、横切る二つの影があった。

 あれは、エリシア…エリシアだ。俺が見間違えるはずは無い。

 エリシアと、バルドリック伯爵か。


 そういえばユリウスから、エリシアが伯爵の後妻に望まれていると聞いた。

 危険を感じた俺は、急いで追いかける。



「ユリウスは何してんだよ……」



 エリシアを守る存在の男の姿が見えない。今日はデートだと聞いていたのに。



 エリシア、エリシア!エリシアが危ない!

 俺はなりふり構わず、剣を少し抜いて、伯爵とエリシアの間へ滑り込んだ。


「彼女に触るな」


 伯爵の趣味の悪いごつい指輪を掠り、金属音が鳴る。

 もう一歩遅ければ、彼女は橋の陰に引きずり込まれていただろう。

 伯爵は都合が悪そうに一目散とどこかへ行ってしまった。


「あなたは……」



 倒れかかっていた彼女を急いで抱きとめ、自分の屋敷へ連れ帰った。

 気を失い、凍えてる彼女をひとまず安心させてやらねばならない。


 次の日の朝、まだ目覚めない彼女。

 俺は侍女に彼女を1歩も外に出さないよう、命令して仕事へ向かった。



「アレクシス!!エリシアが居ないんだ!捜索隊を!!!」


 出勤してそうそう、血相を変えたユリウスが飛びかかる勢いで近付いてきた。

 家を訪ねても応答がなく、合鍵で入ると帰ってきた形跡がない。と。


「落ち着け。彼女は今俺の屋敷だ」


 昨日の経緯を説明し、次は俺がユリウスに突っかかった。


「なぜお前は昨日エリシアと一緒に居なかった」


 ユリウスから語られたのは想像を絶する内容だった。

 エリシアには、幼なじみで親友のローズフィールド子爵令嬢がいた。

 彼女は、エリシアとユリウスが、付き合っている事が面白くないらしく、ユリウスに付きまとい等の嫌がらせをしていたそう。


 近衛騎士として王城を巡回していても、必ず目の前に現れてはエリシアの悪口を言い、自分がいかに優れているか、エリシアにどれ程いじめられてきたかを延々と語ってくるそう。


 昨日は、エリシアと別れたタイミングで彼女が現れ、いつものように彼女の妄想タイムが始まったらしい。


 そして挙句の果てには無理やり抱き着かれ、強制的にくちづけされるそう。そしてその場面をエリシアに見られ、追いかけようとしたがローズフィールド子爵令嬢に邪魔されて動けなかったと。



「そうか。……エリシアはこれから俺が守る。お前は信用ならん」


「は!?俺の彼女だぞ。俺が守る!!」


「一度守れなかった男に、何が守れる?……伯爵を捕まえるぞ」


「あぁ。あの時、エリシアを見失った瞬間、頭が真っ白になった。……必ず捕まえる」



 ユリウスは悔しそうに拳を握る。

 俺は、ユリウスのようには失敗しない。


 絶対に彼女を守る。

 俺は、彼女を外に出さない。

 それがどんなに卑怯な選択でも。

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