4話 守る者 アレクシスside
エリシアとの出会いは、3年前。王宮で騎士見習いをしていた時に、庭園にあるガゼボで。
その日は庭園の警備が割り振られて居て、ガゼボの近くを通っていた。
見慣れない後ろ姿の女性がガゼボの中に立っているのを見つけて、俺は近づいて声をかけた。
「あの…」
「ッ!」
大きく肩を震わせてこちらへと振り返った彼女。
目が合った瞬間、時が止まったような錯覚に陥った。音が消え、風が吹き、花が揺れ、心臓が急激に動き出した。
可愛い。
と、ただそう思った。あれは、俺の初恋であり、一目惚れだ。
「すみませんっ!迷子になってしまって!す、すぐ出ていきます!」
「だ、大丈夫。ゆっくり見て行け。……名前は?」
「エリシア・リーヴェルです」
そう言って拙いながらのカーテシーを見せる彼女。動き一つ一つが俺の鼓動を早くさせる。
「俺はアレクシス・ヴァルクロードだ」
名乗ると、彼女は少し驚いた様子を見せながら、ベンチへ腰掛けた。
俺も釣られるように気付けば隣に座っていた。
それから沢山のことを話した。
俺の家は代々騎士一家で、将来騎士団長を目指していること。今の団長が父上なこと。
彼女も色々教えてくれた。
家の仕事の事、昔は身体が弱かった事。
それからしばらく、俺たちの交流は続いた。
そこにユリウスが加わったのは、そう時間はかからなかった。
「お前、最近コソコソ何してんだ」
「…別に」
最近の俺の行動を怪しんでいたユリウスが突っかかって来た。
特に隠すようなことでもないし、教える義理もない俺は適当にあしらう。
「なんかやってんだろ。白状しろよ〜」
「……はぁ。リーヴェル嬢と最近知り合って話してるだけだよ」
「リーヴェル…男爵家の?」
「あぁ」
俺の話を聞いたユリウスは、お前は無愛想すぎてリーヴェル嬢を怖がらせてないか心配だから着いていく。と、言い出し、二人で向かうこととなった。
いつもの時間帯に、ガゼボで1人佇む彼女。
今日も向こうを向いている、後ろ姿。
その背中が寂しそうに見える。
抱きしめてその寂しさを共に分かち合えたら。
「リーヴェル嬢」
いつものように声をかけ、彼女が振り向く。
「初めまして。ユリウス・アルヴェーン………」
ユリウスは名前を名乗り固まってしまった。この反応は、覚えがある。
ユリウスは彼女に堕ちた。
そう思って、彼女を見ると、彼女もユリウスを見つめ頬を赤らめていた。
これが、2人の出会い。
そして全ての元凶の始まり。
そこから2人が付き合うまで長くはかからなかった。
2人から付き合ったと報告を受けた日。
俺はおめでとう。と告げて、初恋に蓋をした。
そして、その蓋は、もう二度と開くことはないと思っていた。




