25 外交官・めぐみの大功績
「銀河三文明協定」を成立させた日
銀河連邦外縁宙域:中立ステーション〈ハーモニック9〉
タツヤの呼びかけで宇宙に公開された分解再構成型テレポーテーション技術。
その可能性に惹かれた文明もあれば、存在そのものを危険視する勢力もいる。
技術は銀河の均衡を揺るがす。
「どこへでも瞬時に移動できる」技術は、軍事には悪夢、医療と救済には希望。
だからこそ各文明の利害は複雑に交錯した。
そのど真ん中に、メグミは立たされていた。
緊急調整会議
参加文明は三つ。
リュオネ機械知性体文明
危険性を理由に技術の全面封印を主張。
エルサリエル星間宗教連合
文化と歴史の保全を願いつつ、慎重な共同開発を希望。
ハダル自由連邦
商業利用に前のめりで、早期の技術移転を要求。
対立は凄まじかった。
機械知性体の代表《β=オリオン9》は冷徹に言い放つ。
「あなた方の技術は、銀河規模の安定性を破壊し得る」
宗教連合の司祭は震える声で訴える。
「文化が再構成されるのは神意の否定に他ならない」
自由連邦の外交官は苛立ちを隠さない。
「利用価値を潰すつもりか?」
議場の空気は破綻寸前だった。
メグミは、静かに立ち上がった。
文化保全モードのデモンストレーション
タツヤと共に開発した「文化復元プロトコル」を提示。
文化物は原子単位加工を最小限に抑える
修復は欠落部分の補填のみ
歴史の改変には絶対に使えない「倫理ロック」を実装
これにより、宗教連合は大きく態度を軟化した。
軍事利用を不可能にする安全設計
彼女自身が主主張した不可逆軍事封印コード。
兵器系物質は分解段階で自動識別
未登録の大量破壊系物質は再構成不可
軍事利用が検出された場合、装置が自動停止
これにより、リュオネ機械知性体の最大懸念が解消した。
ハダル自由連邦への経済誘導提案
平和利用の範囲内での商業化プランを提示。
医療、救助、文化保全など、利益と倫理を両立させるモデルを構築。
自由連邦は飛びついた。
銀河三文明協定の締結
わずか三日のドラマの末、三つの文明はついに署名する。
銀河技術共有のための共同研究所『G-ARC』設立
テレポーテーション技術の平和利用を保証する銀河条約制定
文化歴史の保存を最優先とする倫理コードの採択
署名の瞬間、議場は静まり返った後、拍手で満たされた。
メグミは微笑んだ。
彼女の言葉が、核心を射抜いたのだ。
「この技術は、危険だからこそ、私たち全員で守るべき未来です。」
銀河中から研究者がタツヤの元へ雪崩れ込む
共同研究所が即日建設に着手
技術反対派は一部沈静化し、暴走勢力の影も薄まる
銀河市民は「瞬間移動が身近になる未来」を実感し始める
メグミの功績は、
ひとつの技術を銀河文明の共通財産へと昇華させた
歴史的事件として語り継がれることになる。




