20 光と影の閃き
実験室の青白い光が静かに揺れる。
小さな立方体の移動は成功した。
しかし、タツヤは表情を引き締めた。
「完璧…とは言えない」
弟が眉をひそめる。
「どういうこと?ちゃんと届いたじゃない」
タツヤは装置のエネルギー収支グラフを見つめ、淡々と説明する。
「微細な誤差でも、原子の再配置は狂う。
小さな物体なら大丈夫でも、大型になるほどリスクは指数関数的に増える」
「つまり…?」
「送信先で壊れたり、電子や原子の抜けが生じれば、復元されない。
生命体は論外だ」
だが同時に、タツヤの目は光る。
「想像してみろ…惑星規模の物質や、宇宙船、食料や資源の即時移送…物流も文化も変わる。
人間の限界を超えられる」
弟は静かに頷く。
「すごい…でも怖いね、兄ちゃん」
タツヤは微笑む。
「技術はいつもそうだ。
使う者の意志次第で、文明を救うか滅ぼすかが決まる」
実験室の窓の外には、銀河が静かに広がる。
輝く星々の間に、まだ誰も知らない可能性と危険の陰影が漂う。
そして、タツヤの心の奥に微かに芽生える想い。
「もし、この技術が悪用されたら…銀河規模で大きな混乱を招く」
物語はここで新たなステージへと動き出す。
文化と倫理を守る戦いから、未知の科学的挑戦と銀河規模の陰謀へ。
タツヤの発明は、人類と異星文明の未来に大きな影響を与えることになる。




