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18 誰も気づかぬ未来の発想
銀河連邦倫理会議が終わり、タツヤは自室で静かに装置を眺めていた。
「分子を結合させて再構成する…原子単位でバラし、別の場所で組み直す…」
その瞬間、頭の中でひらめきが走る。
「これって…テレポーテーションじゃないか?」
だれもまだ気づいていない。
人々は装置を最資源装置として、物質を復元する道具としてしか見ていない。
しかしタツヤにはわかる。
もしこの原理を応用すれば、物体を原子レベルで分解し、瞬時に別の場所へ送り再構成することが可能だ。
物質の移動速度は光速を超える必要はない。
すべては原子と電子の再配置で完結する。
彼は微笑む。
「誰も気づかないだろうな…でも、これが未来への扉になる」
弟が部屋に入ってきて、無邪気に聞く。
「兄ちゃん、何考えてるの?」
タツヤは目を輝かせて答える。
「ちょっとだけ、物を一瞬で別の場所に移す魔法の話さ」
弟は興奮気味に笑う。
「えー!それって、宇宙船いらないってこと?」
タツヤは微笑むだけだった。
「まだ誰にも見せる時じゃない。準備が整えば…銀河が変わる日が来る。」
その夜、窓の外の星々が静かに輝く中、タツヤの心に未来の可能性が広がった。
最資源装置の背後に隠された、銀河を一変させる発明の種。
誰も気づかぬまま、物語は静かに次の章へ進もうとしていた。




