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惑星9292

「よし トビーそのままこっちに追い込め」


ハンターの百目は狩りのために訪れた地球の白亜紀に似た 惑星9292 の真っ青な空に、コアエメラルド製のタイルを敷き詰めた2メートル強の正方形の板型の飛行体の中央に乗機し、片膝を立てて座り、冷却弾を1発ずつ発射するボルトアクションライフルを構えて、スコープを覗いていた。

無機質でのっぺらぼうな赤い荒い塗装を施したフェイスマスクは中央部分だけ、出っ張りがあり、そこからは熱風が吹き出し、まるで長い鼻のように見える。


フェイスマスクには視覚の調整、大気を調整する呼吸補助器、通信機など様々なテクノロジーが集約されている。


フェイスマスクの下には、江戸時代の火消しがつけるような肩までかかる頭巾をかぶり、その頭巾はミックス体が含まれ、見た目以上に強度がある。


体の各場所を保護する赤色のプロテクターは彼の住む星の真っ赤な大型のサソリに似た生物の外骨格の素材を加工し作られ、トグロを巻いて腰に収納された赤色の目立つ硬質な針を持つ尻尾も、その生物の尾を加工して移植した物だった。


その他にも生体電気感知器官、超跳躍の出来る足のスプリング式の筋肉組織など人体改造を行い、光熱弾を発射するヤツデ型になるハンドガン、自動で冷却弾を発射する銃などを装備している百目だが、彼の目的は標的の殺害ではなく、冷却弾を用いてのなるべく外傷のない獲物の捕獲で、生け捕りが絶対条件であった。


トビーは真っ青な 惑星9292 の空を滑空し、今回の獲物であるこの星の1メートル程あるコウモリに似た生物の群れをライフルを構える百目の方に追い立てる。


トビーは百目の住む星に住むトンボ型の生物で、真っ黒な2メートル強ある飛行能力にすぐれた昆虫だった。トビーを猟虫にするために百目は訓練し、必要な機器を生体に移植した。トビーは優秀な猟虫なり、百目の狩りのサポートをする。


トビーに追い立てられたコウモリの群れは、百目の射程距離内に入り、百目はボルトアクションライフルの単発式の銃を素早く操作し、5発連射する。

冷却弾の当たったコウモリ五体は真っ青な空を落下しながら、瞬時に冷却されてゆく。トビーはその落下する冷却物を空中でホバリングしながら、キャッチする。連携の取れた見事な狩猟だった。


獲物を捕らえた百目とトビーはこの星の中央地帯にある湖の畔に着陸した船 ブラックキューブ に帰還する。


コアエメラルドとミックス体で作られた立方体型の宇宙船は元々はウェップ星人が乗っていた船だったが、百目とオレンジは、それを自分達好みに改造し元々、緑光りした船体の色は黒光りなり、彼らはコレをブラックキューブと名付ける。


ブラックキューブの近くに着陸した百目とトビーが獲物を降ろし積載の準備をしていると、ブラックキューブ周りから叫び声と言うか怒鳴り声のような音が聞こえてくる。


「コノ クソムシ ファック$%5#!0#@%0^%$」


そこには普段はダンゴ虫型を好むアンドロイドのオレンジがオレンジ色の無数のコピーミミズを変体させて、まるで矢印に手の生えた生物に変身していた。

変化させたその手には火炎放射器を持ち、悪態をつきながら炎を出す。


百目が覗くとブラックキューブには巨大なヒルのような生物が数体ほど張り付いている。このヒルのような生き物は吸電生物で、惑星9292 の太陽光を吸収してエネルギーに変えているブラックキューブの外装コアエメラルド板に張り付いて食事している。


百目は面倒くさそうに腰に剣のように指した、光弾銃を抜くと、50センチある銃身が八枚の掌のように開き、そのヤツデ型に開いた1つ1つの銃身銃口は自動で数体いるヒルを捕捉し、発射された光弾はヒルは蒸発させる。


それを見たオレンジは平常心に戻り、アンドロイドの小型核を寄生させた10センチ程のオレンジミミズの母体をコントロールして無数のコピーミミズを矢印型からダンゴ虫型に変えると、お礼も言わずに上機嫌で船内に戻る。


ブラックキューブのタイルを貼り付けたような外装に音もなく、穴が開くように入口が開かれ、百目とオレンジとトビーは船体に入り、入口は音もなく消える。


百目はいつも通りに防備を外すと、ベッドに横になり、トビーは自分のテリトリーで羽根を休める。


オレンジは慣れた手つきで長い触覚を動かしコントロールパネルを操作し、ブラックキューブは自分たちの母星である カカオ星 に向けて消えてゆく。


宇宙空間に出たオレンジはモニターで一番近いワープゲートの入口の場所と出口である カカオ星 の太陽系の場所を検索する。


ワープゲートは、超古代文明星人が築いた移動ツールで時間、距離、空間の制約がないトンネルだった。


ワープゲートについては、人類もウェップ星人もまだまだ解明されていない部分が多く、その無数にある門の数すらも把握出来ていなかった。その門は大型船が数体通れるほど巨大で、馬の蹄につける蹄鉄のような形をし、その素材はケイ素生命体鉱物で作らており、厳密にいうと門自体がエイリアンである。門のエイリアンは生体から特殊な超音波を発しており、人類とウェップ星人はその超音波を探知、検索して門位置を把握していた。



「エンジンの調子が良くないわね.....」


ワープゲートに侵入し、コアエメラルドエンジンからZエネルギーエンジンに切り替えたオレンジは、エンジンの不調に原因を探す。


ワープゲート内ではなぜか、ウェップ星人のコアエメラルドは上手く発電せず、人類の核融合システムで発電するZエネルギーエンジンしか使えなかった。


そして、ワープゲート空間内で起きる凄まじい衝撃波は人類の持てる物質では耐えられなく、ウェップ星人のミックス体のみがその衝撃に耐えれる物質だった。


このZエネルギーとミックス体がワープゲート飛行には必要不可欠で、これが二つの種族を辛うじて平和状態保っている。


ワープゲートはこの二つの種族が混同で管理する中央局という組織で管理され、ブラックキューブはオレンジのハッカー技術により、中央局の目をかいくぐり、カモフラージュされ、騙し、空間の隙間をジャックしていた。


「まだ昆虫生命体の比率が高いな。食虫生命体をもっと増やさないといけないわ。」

オレンジは船の操作をしながら カカオ星 の生命体の分布クラブを眺め、体より長い触覚のような触手を小刻みにに揺らしながら呟く。


百目はロボットアームでトビーのテリトリーに食事用のネズミを放しながら気づく。


(オレンジは入れ替わったみたいだなー)


オレンジの人格は二つあり、1つは激昂型でカタコトの面倒臭いが人間よりの人格で。1つは冷静沈着型のいかにもAI内蔵のアンドロイド人格をしている。


どちらの人格の時も、優秀なパイロットに違いはないが人間型人格の時はギャンブル的な危険な操縦も目立ち、危機に陥ることもあるが、その操縦の腕前で問題を解決していた。


今、アンドロイド人格をしているオレンジは母星の カカオ星 を目指し、完璧な運行を実行していた。


ブラックキューブはワープゲート空間を轟音を響かせ疾走してゆく。



 









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