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デットマンズ.ハンド

その店の中は青白く薄暗く、内装は正方形を多く使った幾何学模様で、広さといえば20畳より少し広く、立方体の空間の天井は高い。

デザインなのか太い柱がさして実用性のない場所に四本。その柱も正方形の幾何学模様が全面に掘ってある。

店内の人は当然だが、ウェップ種族だけで、他にはドールが数体。

開けた扉の前には角張ったカウンターがあり、カウンターには店主のバーテンダーが一人に、カウンターで酒を飲む客が四人。奥には幾何学模様の四角いテーブルが2つあり、2つとも満席で8人の客がいる。


店の中には椅子は見当たらない。


ウェップ星人は肉体構造は 上から腹→頭→腕(上半身)→足(下半身)で座る習慣がないからだ。


ウェップ星人には口が3つあって飲食する口は上半身の下。足の生え際。人間で言えば肛門の位置にあるので、椅子に座る習慣がない。立ち飲み、立ち食いである。


後の2つの口は頭にある目の下にあり穴の開いた突起物が2つある。


右穴からは蜘蛛の糸状の特殊な糸が出る。これがミックス体の原料となる。


左穴からは煙幕の様な霧状の黒い墨が噴射される。

コレは争いの時に使われ視覚を奪う催涙ガスの様なものだった。



偽ウェップはバーテンダーから一番離れたテーブル席のよく見えるカウンターの隅に陣取る。


マネキンといえば、ドール置き場に。感覚でいえば、店の隅の傘置き場の様な場所に。


「お前らも大変だなぁ」


と床に直接座り、2体の人間型のドールと1体の猫型のドールにマネキンが呟く。


カウンターの偽ウェップに店主のバーテンダーが注文を取りにいくが、偽ウェップのテーブル席をチョロチョロ覗く様子を見て、 (あっそっちの方かと) 店主は長居せずにクソ不味い酒を一杯置いて消える。


偽ウェップの覗き見しているテーブル席の四人の内、一人のウェップ星人のピンクの腹の色が黄色と黒のマダラ模様になり、波立って動きだした。興奮色である。


興奮色で波打つウェップ星人はテーブルを叩き、何やら叫びながら、おそらく暴言は吐きながら、店のドアを激しく閉めて出て行ってしまった。


コレ見た偽ウェップはテーブルの開いた間に陣取る。


「ここはポーカーだ。あんたイケるかい?」


テーブルを挟んだ側の、ゆでダコのように赤い顔をしたウェップ星人が偽ウェップに問いかける。


酒と同じく、ギャンブルも人類がウェップ種族に持ち込んだ堕落の象徴だった。


偽ウェップは場代を払い、チップメダルを買いこみ勝負を始める。




「百目の旦那も大変だね。こんな場所にいるって事は、あそこにいるのはカタコトの旦那ですね。」


突然の人類言に驚き、床に座るマネキンは顔を上げる。


そこにいたのは、メガネだった。


ある惑星に狩りで訪れた際に、ブラックキューブが電磁嵐に巻き込まれ、飛行不能になった事があった。しかも、この電磁嵐は3ヶ月も続く。その時に同じく電磁嵐にあい、飛行不能になったウェップ星人がいた。


そのウェップは目部分に入れ墨があり、それはメガネの様な柄だった。


百目とオレンジはウェップ星人をメガネと呼び。

メガネは百目の旦那、カタコトの旦那、もう一人をアネゴと呼んだ。


四人は妙に馬が合い、3ヶ月を協力して乗り切り、無事にそれぞれの場所に帰える。


「最近はアンドロイドが増えて、鉢合わせするんでコレつけるんですよ。」


メガネは頭部につけた翻訳発声器を触手で指す。


メガネの今の仕事は、死の星になった地球の遺跡泥棒で、高値のつく旧人類の遺跡を狙って地球に忍び込んでいた。


「ところで、アレ、イカサマですよ。あそこの三人と、隣の麻雀やってる四人も仲間ですよ。」


メガネは偽ウェップの座るテーブル席と隣の麻雀を囲むテーブル席に目配せする。


すると、偽ウェップのテーブル席に座る、ゆでダコのように赤い顔したウェップがコチラを触手で指し何かをまくし立てている。


「あの茹でダコは、何言ってんだ?メガネ。」


メガネは気まずそう触手で腹を掻きながら、


「そこの尻尾つきの人形は今から俺のモンだ。射撃の的にしてやるぜ。って言ってますよ、百目の旦那。」


マネキンは目頭を押さえて、一瞬呆れた顔して立ち上がる。


「隅に隠れてろメガネ。」


百目はメガネに一言かけると、ゆっくりと、偽ウェップのテーブルに歩んでゆく。


ポーカーのテーブル席まで来ると、偽ウェップ(オレンジ)を下がらせ、テーブル際に立つ。


「1.2.3.4.5.6.7.一人多いな。」


百目は7人のウェップを、一人一人をゆっくりと人差し指で数える。


ブスッという針の刺さる音がすると、百目の前にいた、赤い顔のウェップが2つの口と肛門の口から泡を吹いて倒れる。死んだ。


百目は腰に巻いた毒針の尻尾をほどき、赤い顔のウェップの土手っ腹に毒針をぶっ刺した。


一瞬、何が起きたか分からず、その場にいたウェップたちは静止した。


我に返った一匹のウェップが左の口から墨の毒霧を吐くと、その場にいた残りの敵、5匹のウェップも続けて毒霧を吐き出す。


毒霧の催涙ガスが広がり、辺りは黒い霧に覆われ視界は無くなる。


真っ黒な闇の中に

六発の銃声と六回の火花が響く。


真っ黒な闇が徐々に消えてゆくと、銃(コルトパイソン357マグナム)を構える百目が立つ。銃口から硝煙が上がっている。


床を見ると、触手に銃やナイフを仕込んだ六匹のウェップが転がっていた。


六匹のウェップは1発づつ眉間に穴が開いて、穴の焼け跡からは煙が上がっている。


そして、テーブルの上残っていたのは、1枚が裏返しのままの 5枚のカード


(スペード、グローバの8とAのツーペア)


百目には頭蓋骨の前方、前葉頭上に、生体電気を感知する器官があり、視界が利かない暗闇であっても狩る相手を正確に認識できる。



「百目の旦那、バックレましょう。」


予期せぬ結末に店内皆が固まっているうちに、偽ウェップとマネキンはメガネの手助けで店を抜けだし、一旦、メガネの隠れ家に身を寄せる。


コレはいつもの狩りと違い、文明社会の中における殺人事件のため、事件場所にはサイレンを光らす立方体のパトカーが集まっていた。



偽ウェップとマネキンはメガネの闇ルートの人脈を使い、惑星1414の勢力圏から逃亡することに成功する。

当然、メガネには高額な報酬を支払うことになる。



「お前、そのギャンブル狂、一回診てもらえ。」


マネキンを脱いだ百目は、ダンゴ虫に戻ったオレンジのカタコトの方に不平不満だらけだった。



今回の休日は大損害に終わるのだった。













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