【第20話】 私の気持ち
今晩は。
投稿です。
「今どんな顔だ?イヌのお前では表情が分からん」
言ってくれるな、魔王ルーカス・マーカス!
あいつが?あいつが助けた……魔族チクリが……。
「あいつはイー・シャンテンに言った、魔族からの感謝、どれほどのモノかと。そしてこうも言ったぞ、感謝した時点でイー・シャンテンは魔族ではなくなると、別の何かになってしまうとな」
「いや、マーカス、俺サマは相変わらず魔族だぜ?」
「違うな、お前はもう非情にはなれない。自称魔族だ」
「チッ」
「舌打ちはおやめ下さい、イー・シャンテンさま、小さい子が真似をします」
「うるせーアイ、黙れ」
「黙りません、あなたはこの地の国の英雄ですよ?チビ達のお手本です!」
えええ?こいつが?こいつか英雄!?
「チッ、チビ達を出すな、卑怯だぞ」
こいつの口から卑怯だって!?何があったイー・シャンテン!?
「お前も黙れ!イヌ!」
グルルルルルッ
私は小さいながらも牙を剥き唸った。
「魔王ルーカスさま?そのイヌは?」
「エンキドウ、こいつが気になるか?」
「……はい、なぜでしょう?目が離せません」
!?
「誰だと思う?」
「誰?とは?イヌですよ?」
「こいつは獣人族の能力を使って、魄の崩壊を防いでいる。そして、そこまでしてお前に逢いに来た者だ」
「え?獣人族?ご冗談を、小さすぎます!」
「次元航行までして来るとはな」
「どういうことです?このイヌは、非常食ではないのですか?」
「非常食?このイヌ、俺サマでも食うには手こずるぜ?」
「では狩り、猟犬ですか?猟犬にしては小さく見えますが?」
「ふふ、こいつはアキ、ホルダーアキ、魔神アキだ」
「!」
「まさか?ご冗談を」
アイお母さんとエノンが私を凝視する。
「玉座へ向われますか?」
アイお母さん?玉座とは?
「ああ、あそこならギャラリーも少ないだろう」
更に奥に通される私達。
質素な扉の向こうには、重圧な椅子が中央に一脚、置いてあった。
誰もいない?
でも椅子に気配が?
魔王の気配だ。
あれは……指輪かしら?
「地の国の……魔王の指輪だ。ここには限られた者しか入れない」
王は?どこだろう?
「魔神アキ、アイやエノンにえらくご執着だな?」
当たり前だ!
早々に返して貰う!
地の国の魔王なんて、どうでもいい!
「イー・シャンテン、お前もこの二人特にエンキドウに執心だな」
「チッ」
舌打ちをして顔を背ける魔族イー・シャンテン。
「魔族イー・シャンテン様には感謝していますが?」
エノン!?
感謝!?こいつに!?
エノンの口から出た言葉は、少なからず私を動揺させた。
その言葉に怒りすら感じる!
「エンキドウ、お前、何者だ?」
!?
魔王ルーカス・マーカスの問に戸惑うエノン。
「え?私は、私ですが?」
「異世界、いや、元の世界に帰るか?アイ、エンキドウ?」
「帰る?なぜです?この地をこのままにしてどこに帰るのです?ここは私の……私達の故郷ですが?」
なっ!?
違う!ここじゃない!ここは異世界だ!私達の生きていた世界じゃない!故郷では待っている人達がいるのに!
「じゃあ無理矢理連れて帰るか?魔神アキ?こいつら、強えぇぞ?」
黙れ!ルーカス・マーカス!
何をしたっ!イー・シャンテン!
「命を繋いだだけだ」
「こいつに感謝したらどうだ?魔神アキ、この二人、死んでいたんだぜ?」
ふざけるな!
「帰ったとしても、何も覚えちゃいない。思い出してもほんの一部、もう、こいつらはこの世界の住人だ、ここで生きて、ここで死んでいく一生だ」
それでも!
魂は知っているはず!
「まぁな、でも思い出すヤツは稀だ、諦めろ、お前達だけで帰れ!元の世界に!」
帰れだと!?
「そうだ、今からこの世界は、ン・ドント大陸、お前達の言う西の大陸、そしてこの魔大陸、勇者の空中都市、全てを巻き込む大戦になる」
!?
真杖ア・ダウとの全面戦争?
「ああ、あいつら感情兵器を完成させた。その攻撃で、この地の国の魔王は消滅した。炎の国や他の国の魔王達も跪いた」
魔王が消滅!?
では勇者にも有効?
「そうだ、有効だ。部外者は帰れ」
アイお母さんやエノンも部外者だ!
「違う、ここで再構成、簡易転生した、ここの住人だ」
ひょい、と抱っこされる。
エ、エノン!?
「あなたが、何をワンワンと叫んでいるのか、私には分かりません」
そ、そんなぁエノン!私だよ!アキだよ!
「この世界は空気も食べ物も全て汚染されていて、それを数百年以上、もしかしたら数千年も食べ続けました。その結果、この国の人達は皆、弱体化しているのです。魔力は乏しく、剣を振るう力も弱い」
おい、魔族!元々はお前達の仕業だろうっ!
そう仕向けたのだろう!
「否定はしない」
「炎の国の住人達は、機械との合成でその弱体化を補い、私達は魔石で補ってきました」
魔石?
「私とアイお母さんは魔石を必要としませんが、他の者達は魔石がないと動くことすら困難です」
「その魔石もここ数年、劣化が激しい」
魔王ルーカス・マーカス、結界を解いて、ン・ドント大陸に助けを求めろ!
北のゴブリン達は必ず力を貸すぞ!
「汚染が拡大するだけだ。それこそ真杖ア・ダウの求めているものだ。この地はこのまま封印して封印内で決着をつける。だがあいつらは、各大陸で武装蜂起する予定だ」
また異界ゲートを開く気か!?
「あれは実験だ」
あれで実験!?
「今度の大戦は真杖ア・ダウ本体が動く」
大陸の者達は知っているの?
「秘のゴブリン達は知っている、勇者達もだ。水面下で動いているが強敵だ。お前達の世界は無事だと思うが、早々に帰れ」
連れて帰る!
「アイ、エンキドウ、お前ら前の世界に帰るか?」
アイお母さんは答えた。
「帰ってどうするのです?この世界の皆を見捨てて?私には朧気な記憶しかない」
……アイお母さん……。
「私達はここで暮らしている、前の世界の記憶があったとしても、今の私達には邪魔です、そんな前世の記憶は邪魔でしかない」
帰ったところで……彼女達はもう……別人だ……。
あの時、死んでしまったんだ……ここにいるのは記憶の欠片を持っているこの世界のアイお母さんやエノンなんだ……この世界の住人になってしまったんだ。
連れて帰っても、意味あるか?
きっとこの世界に帰りたがる!
いや、それどころか恨まれる。
二人はこの世界の住人を見捨てることができない。
自分達が死ぬことになってもだ!
なら、私はどうすればいい!
魔族イー・シャンテンを踏みつけるか?
くそう!意味無し!
うううううっ!亜紀!阿騎!明季!考えろ!
どうすれば皆笑える?
悲しまずにすむ?
!?
パピー?
……この世界と私達の世界を繋げばいい、無理なく負担なく、往来できるようにすればいい!
円やサイザンくん、気軽に往復できるようにすればいい!
ならば!
まず、やることは……真杖ア・ダウを倒しアイお母さんやエノンを安心させること!
それから世界を繋ぐ!
……メイドン、私は参戦するけど、どうする?
「お供しますデス」
メイドンは即答した。
お話しの再構成と再構築で投稿が遅れるかも知れません。
ですので、次回投稿は未定です。




