【第19話】 記憶と再構成
今晩は。
投稿です。
今回から挿絵は不定期掲載になります。
「なんだ?非常食か?」
えええ!?ここでも!?
私だよ!アイお母さん!
そらだよ!
アキだよ!
助けに来たよ!
こんな怖い世界、もう抜け出して元の世界に帰ろうよ!
「なんだ?このイヌ?キャンキャンうるさいな?」
軽く摘ままれ、メイドンに渡される私。
……ショックである!なぜ!?
アンアン!アン!
念話が届かない?通じない!?
「アキ、回路が開いています、それにチャンネルが違いますデス」
どういうこと?メイドン?
「念話は無理デス」
なんで?メイドン?
険しいお顔だ。
何があったの?アイお母さんとエノンに?
半地下の広間に、妖精達が集まり始める。
20人程だろうか?アイお母さんの後ろに控え始めている。
よく見ると、皆負傷している?
魔力が少ないのだろうか?それともヒーラーが不在か?
怪我の治りが悪いように感じるけど?
「エンキドウ、客人か?どこの国の者だ?先程の地震、この者達と関係が?」
ふっ、と美観と玲門に目を留めるアイお母さん。
アイお母さん、エノンとお揃いの鎧?
この世界で戦っているの?
「大規模の魔法攻撃、敵は引いたよ……一時的だと思うけど……」
おおおっと歓声が広がる。
「一時的か、それでも助かる。私はコロ・アイ、この国、地の国の戦士だ。こっちはアキ・エンキドウ、私の娘だ」
!?
どういうことだ!?コロ?アキ?
チラリと美観が私を見る。
「私は美観、こっちが玲門、メイドンにアッキー……アキよ、外で警戒している男性はローロンサ」
「ふっ、イヌまで紹介か?ん?君達は双子か?まさに救い主、天からの使いだな?メイドンは名前を控えたがいいだろう」
なんで?
「デス?」
「この魔大陸ではメイドンは魔王さまの宿敵、破壊のゴーレム、悪鬼メイドンとして伝わっている」
ええっ!?ひどい!誰よ!伝えたのっ!
「では、この者達は、ン・ドント大陸からの戦士達か」
「多分」
「美観とやら、婦人会の情報はあるか?」
「え!?婦人会?」
「獣人族の婦人会だ、この魔大陸にも女性の輪が広がってきている、魔王さまの結界が強くて最近は訪問者が来ていないが」
「そ、その件に関しては知らないわ」
「敵国の炎の国にも婦人会の輪が広がりつつある、我ら婦人会はこの戦争を止めたいのだがな、真杖ア・ダウの弾圧も強いと聞く……助けに行きたいのだが……どうしたエンキドウ?」
「アイお母さん、この者達、私のことをエノンと呼ぶんだ」
「え?なら異世界のことも知っているのか?」
異世界?自分達が暮らしていた世界を!?ここが異世界だよ?
忘れている?
桃太郎は何と言っていた?
確か、次元航行には魂、魄、意思に負担が掛かると、人族なら普通は耐えられない?
あの言葉を聞いた時から、イヤな予感はしていた。
でも、二人は生きていると聞いて安心したんだけど……。
「やっぱりだ、君達二人は朧気だが覚えているぞ」
!?
美観と玲門を見て二人に近寄るアイお母さん。
朧気?覚えている?
「君達は私やエンキドウの前身を知っているだろう?」
前身!?
記憶が無い、決定だ!
メイドンの腕が少しだけ震えた。
メイドン、知っていること、全て話して!
「……」
言いにくいこと?かまわない!話して!
言葉に、いや念話に力が籠もり、強く響き出す。
「アキ、この二人は世界の壁を越えることに、耐えられなかったのデス」
え?
「ああ、その通りだ、重傷だった私達はどこの世界にいても死ぬ運命だった」
あっさりと認めるアイお母さん。
「再構成デス」
なにそれ?
「意思を壊さず、傷つけず、魄と魂の繋がりを再生……リセットとも言いますデス。しかしリセットを行使できる者は稀デス」
リセット!?
神妙なお顔で私を見つめるエノン。
「このイヌはアキというのか?」
アンアン!
「私の最愛の人、アキ」
!!!!!!!!
「私はアキという名前しか覚えていない、出会えるなら、逢ってみたいものだ」
そっと、私の頭を撫でるエノン。
「その名を留めたくて、アキ・エンキドウを名乗っているのデスか?」
「そうだ。母さんはコロという名を忘れたくなくてコロ・アイを名乗っている」
「再構成を実行したのは誰デス?魔王筆頭でも困難な魔法デス」
「「エノちゃんは私達を覚えていないの?」」
「悪いな、覚えていない。母さんは少し覚えているようだけど」
「「どうして?なんで忘れたの?」」
エノンは目だけを動かしてアイお母さんを見る。
促されるように話し出すアイお母さん。
「私達は死ぬはずだった。エノンは前の世界で真杖ア・ダウの攻撃を受けたと聞いた。その時点で手遅れなんだ。真杖ア・ダウの攻撃は魔王さますら弱体化させる恐ろしい攻撃。まして人族のエノンは為す術がないんだ」
じゃ、あの時点でもう手遅れだった!?
「私は、私に憑依している勇者小角のナノマシンを使い、エノンを助けようとしたらしいが、逆に真杖ア・ダウの胞子にエノンを通して感染した」
「そこで俺サマがこの世界に引っ張り込んだ」
!
魔族イー・シャンテン!
いつの間に!
その場にいる私達以外全員が跪いた。
エノンも!アイお母さんも!
きさま何をした!
「まぁ、聞けよ、魔神アキ」
魔王ルーカス・マーカス!
「こいつは俺と小角を呼びだし、頭を下げ懇願したんだ、この二人を助けてくれと」
!
「だが、無理な次元航行に真杖ア・ダウの胞子、とても助けられる状態じゃなかった。この二人は、お前達の世界でもう終わっていたのさ」
アンアン!
そんなことあるかっ!
「筆頭魔王と勇者が揃っても助けられん、当時桃さんも法師も別次元だったしな」
ではどうやって?
「どうやって?こいつは泣き叫んだ、エノンが死ぬと、俺も死んじまうってな」
「おい、マーカス、その辺りは飛ばせ、話さなくていい……」
「イヤだね、魂も魄も意思も全て消えてもいいから、エノンを助けてくれと」
「チッ、そんなこと言ったか?」
「言ったね、するとどうなったと思う?魔神アキ?」
……誰かが……助けた?
……だから二人はこうして生きている。
膨大な魔力……アシュリー王?パピー?天狗さまか?
!?
あいつか……!?
「そうだ!助けに来たんだよ!あいつが!あいつが現れたんだ!言ってみろ!そいつの名を!」
……彷徨える賢者、魔族チクリ……。
「そうだ、あいつが現れた!報酬は感謝のみのあいつだ!」
次回投稿は 2023/12/22 夜の予定です。
サブタイトルは未定です。
泣き虫弱虫魔王さまの続編を始めました。
よろしかったらご一読ください。




