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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
9/95

【第9話】ナビナナとパスワード     

今晩は。

投稿です。

 補助システムとか言っていたけど、呼びづらいな?

 なんて呼んだらいいのかしら?

 ナビゲーターみたいだし……。


 ナビナナ、私は過去、何をしたの?

 どんな生涯、転生だったの?

 知っているなら教えて。

 これを聞いて、判断するから。


(ナビナナ?ナビナナとは、なんですのン?)


 あなたの名前よ、名前あった方がいいでしょう?名前、あるの?


(ありませんわン)


 じゃ、今からあなたはナビナナね。


(……)


 イヤだったかな?

 ちょっと強引すぎたかしら?


(あああああありがとうございますっううですわン!)


 バグった?


(い、今まで以上の忠誠を誓わせてもらいますわン!)


 いや、今まで知らんし。

 大体、寝ていたんでしょう?


 なんか、あやしいんだよね、この機械?


 でね、私のこと、教えて?


(はい、分かりましたわン)


 どんな過去?


(オリジナル秋津川亜紀の生涯は、生後すぐに両親は死亡、施設で育ち、大変ないじめに遭い、銀行に就職。その後、19才で巨大企業に暗殺されていますわン)


 は?


(次、異世界で実験体のゴブリンとして生れますわン)


 は?


(実験体の妖精を纏め、この施設を破壊、脱出して故郷を目指し、1才で死亡)


 は?


(次、獣人族、村長の娘として生れ、王都攻防戦に参加、世界を異界からの侵略から守り、1才で死亡、以上ですわン)


 は?


 ろくでもない人生ばっかじゃん!

 ちょっとナビナナ!これ、本当のことなの!?


 なに!その一歳って!?酷くない?妖精の世界って、そんなに過酷なの?

 それ、思い出す価値あるの!?

 思い出したら、私、怒りで暴れたりしない?


 過去の記憶って、邪魔なんじゃ?


(……否定はできませんわン)


 今回だって、私、捨てられているし!

 なに?なんか、暴れたいんですけど!?


(お、落ち着いてください!ご主人さまン!)


 自然と早歩きになる私。


 ……ねえ、その記憶、ダイジェスト版とかあるの?

 記憶を蘇らせるではなく、あ、それ、知っている!程度にできない?

 映画みたいな感じかな。


 なんて言ったらいいのだろう?


(記憶を、知識として欲しいのですかン?感情を抜きにしてン?記録を見たいとン?)


 そう!それ!

 出来る!?


(できますわン)


 その知識と、私のこの身体能力、上手く使い熟せば、学校や周りの人達、あの化け物から守ることができるかも。


 先ずは、知識が必要だ!


(できればフルでインストールして欲しいのですけどン)


 ええっ?それはイヤ!

 聞いたお話じゃ、イヤなことばっかじゃない!

 酷い目にばっか遭っていそう!

 それに、過去の私に、乗っ取られそうでイヤ!


(……分かりました、では知識のインストールをしますかン、YES・NO?)


 その前に、あなた信用できるの?

 ウイルスとかが、その知識や記憶とやらに混じっていない?


(信用してもらうしかありませんわン、逆に、どうしたら信用してもらえますかン?)


 なんと答える?


 うーん?

 あなたの一番大切なモノって何?


(それは、ご主人さまと同じですわン)


 お、即答したぞ?

 私の一番大切なモノ?

 エノンが、真っ先に浮かんだ。

 ……まあ、大好きだけどね……。


 なんだ?家族?友達?


(エンキドゥ、ですわン)


 !!!!!!!!!!!!


 世界が、止まった。


 音がしない、何も動かない。


 私の世界は、エンキドウという言葉しかなかった。


  挿絵(By みてみん)


(ご主人さまン?)


 あ。


 世界が動き出した!?

 な、なに!?エンキドウって?

 ゲームに出てきた?

 何処かで聞いた名前?


 ナビナナ!教えて!エンキドウって何!?


(ご主人さまンの、パスワードですわン)


 私のこと、詳しく知っているみたいね?


(はい、私は、スーパーゴーレム達、サイザナンシリーズ起動時からずっとお側に控えておりましたわン。ドワーフの王さま、開発部長は、あらゆることを想定して私を用意しましたわン。私が、起動しているということは、ご主人さまン、あまりいい状態とは言えませんわン)


 なぜか、ナビナナは信用できる、という思いが浮かび上がってきた。


 ……うう、のど渇いてきた!


 気づけば炎天下、立ちすくんでいる。


 自販機……あ、カード、お財布学校か……。


(お水ですかン?)


 ジュースでも可。


「おい!」


 声を掛けられ立ち止まる私。


「?」


 視界に二人組の男性が入る。


「学生か?」


 そう言って、ペットボトルを一本、投げて寄越した。


「え?」

「そこのコンビニで配っているんだ、やるよ!」

「あ、ありがとうございます!」


 うわっ!ラッキ!

 このジャケットといい、お水まで!


(よかったですね、ご主人さまン)


 パキュ、とキャップを外し、ごくごくと水を一気飲みする。


「学生か?」

「はい」


 ごしごし。

 ちょっと零れた。

 あは、恥ずかしいや。


「学校に連絡してやりたいけど、携帯、使えねえんだ」

「これ、例のヤツじゃね?」

「ああ、あの都市伝説か?以外と本当かもな」

「?」


 何の話だ?携帯が使えない?


「携帯は製造過程で影の世界政府のチップが組み込まれているって話さ」

「そうそう、都合の悪い情報は消されるって話だぜ」


 ……え?


「この騒ぎも、あの怪物が出てきた瞬間、携帯、連絡もムービーも止まったしな」


 え?なにそれ!連絡できない?とんでもない迷惑じゃん!


 その時、ドオオオンと後方で音がした。


「やべ!学生!逃げろ!あの化け物だ!」


 近くのビルの駆け込む二人。


(ごごごご主人さまン!)


 どうしたのナビナナ?


(拡張しますわン!)


 え?


 周囲の状態が脳裏に映し出される?


 何これ?


(魔力感知ですわン!早く!早く!)


 ?


 あ!?


 音がした方向は……市民ホールの方だっ!


 おばさま達が!?


次回投稿は 2023/08/15 22時から23時の予定です。

サブタイトルは 【第10話】赤い機神 です。

台風の影響で延期になるかも知れません。

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