【第12話】 地牛博士の秘密
今晩は。
今回は間に合いました。
美観と玲門はそれぞれイオリちゃんとニトお父さん、リュートお母さんと話をしたみたいだ。そして剣と杖、大事に使わせてもらいます、と言ったらしい。
あと、異世界での円、サイザン君の活躍を詳しく話していたみたいだけど?
「そうですか、必要とされ、頑張っているのなら嬉しい限りです」
イオリちゃんは活躍を聞いて嬉しそうである。
「あの子の技術で、皆様を助けるとは、嬉しい限りです」
リュートお母さんも嬉しそうだ。
私は診察中。
耳がいいから、壁の向こうの会話も聞こえてくる。
診察室にはニトお父さんとメイドンと私。
「どうデスかニトさま?」
「無理のしすぎだ、魔大陸への上陸は休止を薦める」
休止?取敢えず止めておけと?
「中止が一番良いが、それではアキにとって意味がない、身体の回復を待つのが一番なのだが……」
何度生まれ変わっても、心配ばかり……ごめんなさいニトお父さん。
「ああ、何度生まれ変わっても、アキは私の子供だ、これは誰にも譲らん、リュートも同じ考えだ」
ありがたし。
「メイドンはアキを包んでいるナノマシンが誰のか分かるか?かなり古いナノマシンも、あるようなのだが?」
古い?ナノマシン?
「一度、魔族や勇者のナノマシンに感染すると、魂が覚え、意思や魄を使ってコピー、再生させる時がある」
え?自前で作ると?
「そうだ、まあ魔力が一定以上あるのが条件だが……」
私の場合は魔力、クリアーしていると?
「ああ、十分だと思う。これが更に活性化すると、少なくとも満月の三日間は獣人バージョンになれると思う」
え?剣や拳が使えると!?
「ああ、三日間だけだが。今調べているが、魔族のナノマシンもあるようだ、魄を強化する薬を調合したいが、割合が……」
チラリ、とメイドンを見る。
目を、うるうるさせて。
教えて!メイドン!
どう?ポメのウルウル攻撃!
「ラ・ベンダ、メイドンにその攻撃は通用しませんデス」
ちぇ。
「仕方ないデス……勇者小角、勇者朱天童子、勇者桃太郎、勇者一寸法師、魔族チクリ、魔王ルーカス・マーカス、魔族アトロニア、あと、意思の回路が深層でパピー、木山天狗さま、アシュリー王と繋がっています、ナノマシンは勇者4種、魔族3種、合計7種デス」
そ、そんなに繋がっているの!?
「他にも繋がりがありますが、ここまでデス」
あ、ありがとう!メイドン!
「凄い数の加護だな?これなら、強い薬を処方しても大丈夫か……身体を安定させ、バランス良く成長、回復させる薬だ、次の満月には獣人化できる」
2週間後?
上陸後か?上陸を遅らせるべき?上陸に合わせる?
いや、上陸はこの戦艦とメンバーだ、うまくできるだろう、問題は上陸後だ。
このままで行こう。
「魔大陸の住人は、基本、皆人族デス」
え?エルフとかゴブリンとかいないの?
「中心部にはいません、いても辺境でひっそりと暮らしていますデス」
それでこのメンバー?
「デス。前回のン・ドント大陸侵略は強化、改造された人族と、合成された魔法生物が主力でした。彼らは人族でありながら、獣人族と同等、もしくはそれ以上の力を発します、上陸後はなるべく戦闘は避けてください、いいデスか?」
分かった。
あとで美観や玲門にもお話ししなきゃ。
「そうデスね、上陸メンバーはしっかりとミーティングを、作戦を練りましょう、いいデスか?」
ええ、メイドン、勿論よ!
診察が終わると、メイドンと甲板に出た。
薬は明日の朝、できるそうで、獣人バージョンか、楽しみだけど服装がちょっと心配かな?
基本、人族だし、マッパはやはり恥ずかしい。
リュートお母さんに相談してみるかな。
「夕日デス」
綺麗だね、メイドン。
「デス」
波の音、風の音、潮風、海の匂い。
怖いくらいの夕日。
……メイドンと二人っきりって、珍しくないか?
この機会は生かさなければ!
ねえ、メイドン、質問いいかな?
「……答えられる範囲デスよ?」
ええ、それでいいわ。
長年の疑問。
地牛博士って何者?
どの世界でもいたような気がする。
世襲制だろうか?名前を継ぐとか?
それとも、私のようなホルダー?
「メイドンの制作者、お父さんデス」
だよね、確かにお父さん……で、そのお父さん、今どこに?
なんと答える?メイドン?
「どこかの世界で、戦っていると思います、彼は戦士デス」
!
え?何歳?人?エルフ?
夕日を眺めるメイドン。
ポツリと呟く。
「彼は、星々の住人、創造の聖霊達の一柱が作り上げた、不老不死の戦士デス」
ええええええええっ!?
不老不死?不可能では?
「あるモノは呪われた戦士といい、あるモノは祝福の戦士と呼びますデス」
……戦士?誰と、何と戦っているの?
「世界の憎悪デス。真杖ア・ダウは名前を変え、形を変え、あらゆる世界に存在します、それら破壊者と常に戦っていますデス」
憎悪と?終わらないのでは?
「いえ、何らかの答えを見つけていますデス。その一つがメイドンであり、アキ、あなたデス」
はい?なにそれ?
私、そこまで大変な存在ではないよ?
「地牛博士は、あらゆる世界に根を張っていますデス」
そうなの?まるでア・ダウみたい。
「デス、ある意味ア・ダウと同じ存在デス、方向性が違うだけの……」
これ以上はこのお話、ヤバくないか?
聞いていいのか?いや、質問したのは私だけど……。
「もっと話せる時期がきたら、お話ししますデス」
時期尚早と?
「では、最後に一つ、面白い情報をいいデスか?」
「アンアン」
「メイドンと異界の戦士ローロンサは同じOSで動いています、不思議デス」
え?
ええええ!?
OS?
オペレーティングシステム?
「バージョンこそ違いますが、基本は同じデス、ローロンサを作り上げたのは、間違いなく地牛博士デス。そして彼、ローロンサは遙かに年の離れたメイドンの弟です」
え!?
なにそれ?
!
校長先生が地牛博士ってこと!?
でも、交通事故で亡くなっているし。
「亡くなったのは、ア・ダウと同じ、分体デス、本体は……」
「ここにいたのですか?アキ?」
あ、リュートお母さん!
「夕飯だそうですよ、食堂へ行きましょう?」
「アンアン」
質問したのは私だが、これは一体?
考えることが一気に増えたが、私の脳はあっさりと目の前の奪還、救出作戦を優先させた。
地牛博士のことは奪還後、改めてメイドンに聞くことにしよう。
次回投稿は未定です。
毎日投稿を目指していますが。




