【第74話】 旅立ち、闘神の帰還2
今晩は。
投稿です。
今回で礼羽編は終りです。
「向きが違う!そっちじゃない!」
そっちが、どっちか分からないが、振動は更に激しくなってきた。
「に、2分経過!」
ほとんど叫び声の玲門。
「ぶ、無事に着くよね!」
私を握り締め、叫ぶ美観。
まあ、最初に実験で送ったのは、マートルのメッセージを入れたボトルだった。
サイザン君の魔力感知では、無事に着いたってことだけど。
もと、魔王の魔力感知、間違いはないと思う。
次に送ったのは、円のメッセージ・イン・ア・ボトル。
これは、どこか他の世界に行ったらしい。
……どこの世界だ?
「アンアン!」
大丈夫、私の直感では辿り着くって、なっているから。
直感が、外れたら意味が無いし、直感ではなくなる。
根拠はないが、確信がある。
必ず、辿り着く。
重力魔法が有効だとサイザン君に聞いている。
マートル!補正する!
感覚的に、こっちだな。
よっ!
重力魔法で、機体を包み、押してみる。
これでいい?
「あ!少し戻った!」
よし!いけそうだ!
なんせ技術者なんて一人も乗っていないし、皆10代女子だぜ!
頑張れよ、大人達!何してんねん!って話だよ!
「……」
「アンアン?」
どうしたの美観?
「さ、さっきから剣が、お、おかしい!は、発光している!?」
「!」
「あ、光っている?」
振動もしているかな?
何かに反応している?
マートル分かる?
「こ、これ、剣が何かに惹かれている!凄い力で、剣を引き寄せているよ!」
こいつが原因か?誰が引き寄せている!?
どこへ向うつもりだ?
「「「「!!」」」」
誰か話し掛けてきた!?
(凄いな、そんな稚拙な機械で次元航行するとは、自殺行為だよ?)
誰だ?
こんなことできるヤツ!
あ、今、魔力でスキャンした!?
(女性!?搭乗者は全員女性か?それも……こ、子供じゃないか!)
マートル、なにか接近してくる!
(どこかの世界の避難民?このまま進むと、アシュリーに捕まって帰れなくなるよ?)
咄嗟に剣を握る美観。
玲門は杖を構え、魔力を高める。
アシュリーに捕まる?どういうことだ?
(そちらに移る、危害を加えるつもりはない!)
移る?どうやって?
突然船内に現れる光の球。
直径20センチ?
これは眩しいな。
あれ?これ、似たようなモノ、以前見たことがある?
あっ!!!!!!!
勇者一寸法師!
「誰?今、勇者一寸法師って叫んだ人!」
違うのか?
光は徐々に光度を落とし……桃?
「れ、玲門、光る桃よ!なにこれ!?」
「わ、私も知らないわよ!マートル知っている?」
「マートル!?マートルだって!?獣人族の姫?ここにいるの?」
誰だこいつ!?マートルを知っているぞ!
魔族か?
「グルルルルッ」
「ぼく、ここにいるよ?きみ、だあれ?」
ごらああああああっマートールーっ相手も確認せずに名乗ったら駄目だろう!
玲門も名前出して!
桃はすっと割れ、中からマッパの男の子が……。
……鎧を着込んだ身長10センチの男の子!?
「君達、一瞬目を逸らしたね?裸ん坊って思った?僕の伝説を知っているの?」
桃太郎!?
あ、私を見た!
「犬?こんな危険な乗り物に犬を乗せているの!?」
え?
怒った?
「危険?ペロは家族よ!」
剣を握り締める美観。
「犬が家族か……まあ、獣人族には昔世話になったしな、犬、鳥、猿……筆頭も憑依しているみたいだし、軌道修正、手伝うよ。姫、座標は?」
え!?
助けてくれるの!?
(桃太郎が犬を見捨てたら、物語終わっちゃうよ!君、ホルダーアキだろ?あの噂の)
……え?どんな噂?
(ふふっ、成程ね、この不完全な船で、ン・ドント大陸を目指す?それも全員子供?蛮行か?勇気と誉めるか?無謀だろう!筆頭が認めるわけだ)
?
(命懸け?)
そうよ!
(でも、このままだと異界漂流だよ?)
!
無謀だと、笑う?
(まさか、天晴れ見事なり、それ程までして、母と友を助けに行くか?)
!
知っている!?
「座標はン・ドント大陸、北の聖地!」
「ああ、あそこか、座標の選定は見事だ、あそこは力の場所、分かりやすい。あ、まだ名乗っていなかったね、僕は勇者1番機、桃太郎。まあ名前は知っているようだけど」
(君も知っているよね、ホルダーアキ)
「補正する、その魔剣アシュリーが、最強最悪だった頃のアシュリーに引かれているんだ、あんな世界に飛び込んだら大変だよ、君も手伝え!ペロ!」
……犬扱い?
まあ、犬だけど。
マートルに意識を向けると、自然と魔力が流れ出す。
あ、振動が?
機体の振動は徐々に収まり、安定してきた。
「い、今、17分経過!」
大丈夫かな?機体。
「あと、5秒程で、異空間を抜けるよ、衝撃が凄いから、気をつけて!」
5、4、3、2、1。
ふわっ、と浮遊感の襲われる私達。
「きゃっ!」
「おわっ!」
「!」
バチバチッ!ボンッ!と内部に破壊音が響く。
壊れた!?
ドゴーン!
衝撃が伝わる。
そして転がる感覚。
この機体、内部は常に水平を保つように設計されている。
多分、今転がっているはずだ、ゴツゴツと吸収しきれない衝撃が伝わってくる。
「ほう、よくできた機体だね、これは稚拙とか言ってはいけなかったなぁ」
よ、余裕ですね?桃太郎さん!
喋ったら舌、噛みそうな程飛び跳ねているのに!
だけど、この感覚!明らかに私達の星、地球じゃない!
魔力がこの世界、満ち溢れている!
ガコンッ!
と、止まった?
「み、みんな、ぶ、無事!?」
声を上げたのは美観だ。
「僕は、大丈夫だよ」マートル。
「す、凄い衝撃だったね、つ、着いたの?」玲門。
「アンアン」私。
「ようこそ、僕達の世界へ、ホルダーアキの故郷へ」勇者桃太郎。
そして、ハッチが開く!
空気が違う!
ああこの匂い!
帰ってきたぞ!
ン・ドント大陸!
エノン!
アイお母さん!
目指すは……魔大陸!
礼羽編 終
次回投稿は 2023/10/18 夜を予定しています。
新章 魔大陸編 【第1話】 闘神の帰還
もしかしたら 2023/10/19 夜になるかもしれません。
空達は、ン・ドント大陸の協力者と共に、魔大陸を目指します。
お楽しみに。




