【第73話】 旅立ち、闘神の帰還1
今晩は。
投稿です。
今回は不掲載のエピソードをちょっと後書きに載せました。
よろしかったら、どうぞご一読ください。
目の前には巨大なハンマー状の機械が二つ。
いびつな重機にも見えるし、ロボットの腕にも見える。
これがぶつかり合い、空間を壊し、異界への門を開く、予定である。
この巨大な施設は、学校の体育館内に作られた。
作ったのは小次郎お父さんの会社の人達と、楠の騎士団が、世界中から集めた科学者達。
世界連合ビルの地下で、作るのが一番効率いいのだが、皆、警戒した。
どんな未知のトラップがあるか分からないからだ。
だからここに、新たに作った。
今日は旅立ちの日だ。
私達4人は……ん?3人と1匹になるのかな?……無限鉄で作られた巨大なカプセル内を見つめている。
移動時間は約3分弱、3分後には異世界の予定だ。
カプセルの中は私達と武器だけ。
通信機もあるけど、これは気休めで、かなり怪しい代物だ。
コロお父さんの話によると、実験のでは一言送れたそうだが?
それも、ノイズ程度とのこと。
いや、それでも凄いとは思うけど。
拉致から2年と少し。
やっとここまで辿り着いた。
必ずいける、あの世界に!
「キューブには触るなよ?これ、魔族の電機ボールと同じ原理だからな、電気が詰まっている」
サイザン君が注意する。
この転送機、動力は電気である。
水圧発電から送られる電気は頼もしく、石油、石炭、天然ガス、ウランも何もいらない!とんでもなくクリーンなエネルギー!
その名の通り、水圧で圧電するからだ。
今、世界中に広まりつつある発電機。
まあ領土拡大に利用しようとする者とか、権威、権力、利益とか大変そうだけど。
でも、どんなに野心があっても、ホッシーを前にその野望は悉く砕かれる。
魔法使いを前に、嘘は通用しない。
陰では、歌う魔女とか言われているらしいけど、大丈夫かしら?
楠の騎士団の名前は世界中に広がりつつある。
徘徊する魔獣や魔昆虫を、倒しまくっているからだ。
楠の騎士団は世界中を飛び回り、魔獣を狩り、魔昆虫を駆除して勇者朱天童子のナノマシンをバラまいている。
(作者注:楠の騎士団それぞれのメンバーに、エピソードありました。が、全て、すっ飛ばします。いや、その、先を急いだ方がいいかなぁと思いまして……)
(あと120秒で空間を割る、見つけたか?駄目なら3日後だ)
コロお父さんの念話が響く。
この機械はマートルに同調していて、マートルが求める世界に繋がるよう設定してあるとのこと。
だだ、これが稼働し続けると、勇者がやって来ると思う。
勿論、見学にではなく、破壊に、だ。
私達を異界に送った後は、休止させるそうだ。
今後の課題は双方向での移動。
この機械は送るだけ。
この世界に帰るには、新たな設備が必要となる。
勇者達に気づかれることなく開発?
できるかな?
でもしてもらわないと、私達はこの世界に帰れない。
異世界にもあるはずだが、貸してくれるとは思えないしなぁ。
目標は、エノンとアイお母さんの奪還、全員無事この世界に帰還!である。
無謀な作戦だが、決行である。
「アンアン」
「クッキー、大丈夫よきっと上手くいくわ」
「ペロ、心配ないよ!マートル、どう?」
マートルはヘルメットのような巨大なゴーグルを装着していた。
ナビナナが起動すれば、もっと速く、正確な転送機が作れたかも知れない。
だけど、私の暴走以来、ナビナナは沈黙したままだ。
勿論、サイザナンシリーズも起動しない。
サイザン君の話によると、ブレーカーが落ちているだけ、ってことだけど、本当かしら?
向こうに行けば、修理できるだろうか?
召喚魔法が使えれば、開発部長呼べるけど。
「見つけたよ!僕達の村!」
!
「ここ、禁足地!ここが一番繋がりやすい!力の場所だ!」
!?
あ成人の儀式!報告の場所!?
あの不思議な場所!
あそこに繋がるんだ!
「えっと、ここにマーキングするんだね」
ゴーグル内が、どうなっているかは分からないけど、異界に繋がっているのは確かだ。
「これでいい?サイザン?」
(それでいい、マートルあとはこっちで調整する。あまり長引くと、勇者が破壊に来るからな、さ、カプセルに入ってくれ)
外が騒がしく感じる。
「アッキー、外、大丈夫かしら?」
玲門の不安そうな声。
「アンアン」
大丈夫、円もいるし、サイザン君もいる。
私の魔力の詰まった長巻もあるしね。
「でも、真杖3体だよ?」
「アンアン!」
そう、今ここは襲撃されているのだ。
真杖ア・ダウとその軍団に。
弱体化した真杖だ、ここまで辿り着けないよ。
楠の騎士団は確実に強くなっているし、赤間くんなんて私の長巻で真杖一体、倒しているし。
カプセル内に入った私達。
ガチリッ、と分厚い扉が閉まる。
「アン!?」
(ホルダーアキ!我らも連れて行けぇええっ!帰るのだ!故郷に帰るのだぁああ!皆の者!この施設を奪え!帰るぞおおおおっ!)
何が故郷よ!
この世界、目茶苦茶にしといて!
人様の故郷、壊しといて!
(破壊こそ、我が使命なり!)
でも、お家には帰りたいんだね?
(愚弄するかっ!ホルダーアキ!)
こっちのセリフです。
(そら、あと5秒……4……3……)
じゃあね、真杖ア・ダウ!
(おのれ!下郎の分際でぇえええっ!)
(……1!無事に帰ってこい!アイさんを、頼んだぞ!)
パリーンッ!
ガラスが割れるような軽い音が響き、空間が割れる。
そして打ち出される無限鉄の真球カプセル!
怒!ゴオオオオオオオオォン!
文字にすると、こんな感じかしら?
轟音と共に、私達は異界へと旅だった。
色々な声が届き、遠くなっていく。
(クルミだよ!アッキー!聞こえる!?聞こえる?必ず、必ず帰ってきて!オトちゃんを!オトちゃんをお願い!……)
(アイさんを、アイを頼むぞ!……)
(藤木家によろしく伝えてくれ、修行不足で帰れなくなったと……)
(何かあったら、僕の両親を頼れ!必ず力になってくれる!ニトとリュートだ知っているよね?……)
(…………)
(……)
(…)
「1分、経過した」
凄い振動の中、玲門が手の中のストップウォッチを見つめる。
「あ!?」
どうしたの?マートル?
「ず、ズレている!変な方向に、知らない方向に向っている!」
「えっ?」
「えええええええっ!?」
実験では上手くいったけど……80%くらい……だけど。、
「アンアン!」
恐怖が、皆の心を鷲掴みにする。
次回投稿は 2023/10/17 夜の予定です。
23時までを目標としております。
サブタイトルは 【第74話】 旅立ち、闘神の帰還2 です。
すっ飛ばした、ホッシーのエピソード、一部公開
クルミちゃんと円君の会話です。
「あ、円さんネット、復旧したって本当?」
「え?ああ、あの通信施設?一部だけどね、ホッシーのファンがサーバーから作りたいって言うから協力したんだ。今ある施設は真杖が全て壊したからね。あれに繋ぐと壊れる可能性があるの」
「凄い知識ね?向こうの世界にもあるの?」
「いや、ないけど、この世界の科学技術は魔石に変換できるからそれ程難しくないよ。サーバーってヤツも説明聞いて、サイザンと二人で作った。中身は方向性を持たせた魔石だよ。凄いのはホッシーのファンだよ」
「?」
「海を渡ってきたのだろう?小さな船で船団を組んで」
「そうね」
「彼らの協力があったから、サーバーできたのだけど……」
「なに?」
「いや、命懸けでこの街に着いて、目の前にホッシーがいるのに、モニターを通したホッシーに熱狂する気持ちが、分からん!」
「あ、それ、私も!」
「まあ、なかにはナマ・ホッシー!とか言って、叫び出す人達もいたけど……」
「シンギング・フェアリー(歌う妖精)とか言われているけど?凄い二つ名よね」
「ははっ、シンギング・ウイッチ(歌う魔女)じゃないの?」
「え?円さん、英語も勉強しているの!?」
「おい、そこの二人!なにリア充してんの?誰が魔女だって?」
「「あ、ホッシー!」」
と、このようなお話しを作っていました。
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