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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
71/95

【第71話】 解けた封印     

今晩は。

投稿です。

 傷だらけの二人が、目の前に倒れ込む。


「ハァ、ハァ、初心者にこのクエストは無理!」


「ほう、美観、弱音吐くの?ゲホゲホッ」


「はぁ?私より、怪我しているくせに、お口だけは達者ね?」


「あと何匹?」


「12よ、玲門」


「ええっ、あれだけ頑張ったのに、3匹しか倒していないの!?」


「……まあ、私達の実力はこんなもんよ」


 私を見る双子の姉妹。

 なんだ?


「美観、この剣と杖、抜けないかしら?」


「!?」


 え?これ、使うの?

 だんだんと意識の焦点が合ってくる。


 あ!

 エノン!

 アイお母さん!


 次々に湧き上がる記憶の数々。


 心乱れるけど、冷静な私もいる。

 怒りで自滅なんて、駄目だ。


 ゴブリンのスキル、兵器としてのバランス感覚を上手く使おう。

 落ち着いて行動だ、力の制御、もう失敗するわけにはいかない!


「え?抜いちゃうの?魔王化したアッキーを封印している、って聞いたけど?」


「名前のある武器らしいよ、このままでは私達、蜘蛛のご飯だよ!アッキーももう起きたいころだよ!抜いちゃお!」


「で、でもこれって、円くんやサイザンくんじゃないと抜けないし、主以外は認めないから、触らないようにって!」


 ざわざわと迫り来る、小型のデス・スパイダー。

 蜘蛛とムカデの合成みたいなその姿は、見る者を恐怖に陥れる。


 この世界の環境に合わせ小さくなったみたいだが、その凶悪さが、減少されることは全くなかった。

 おそらく、この世界は魔力が少ない。

 だから小型化し、効率化を図ったのだろう。


 どこの世界でも昆虫は優秀だ。


 だが、目の前で私の世話係を襲うのは許せんな。

 ピキピキ、と私を封印している丸い石が割れ始めた。


 しかし封印が解けても、私の身体は殆ど無い。

 怒りで魄を砕いてしまったからだ。

 魄の再生はまだ、元の身体に追いついていない。


 どうする?


 二人のうち、どちらかに憑依するか?


 剣に手を伸ばし、思いっきり引き抜く美観。

 あっさりと剣は抜ける。


 お?身体が軽くなった?


 ボンヤリしていた気分も、なんか爽快?


 剣を構え、見事にデス・スパイダーを斬ってみせる美観。


 え?剣、使えるの!?


 この使い方は……剣道?


 摺り足で間合いを詰め、さくっと斬る美観。


 玲門は杖にしがみつき、ゆっくりと引き抜く!


「こ、こっちも抜けた!使えるよ!美観!」


「と、とにかく一匹でも!」


「玲門は休んでな!背中の傷、深い!」


「で、でも!」


 二人ともボロボロである。

 私はまだ魔力を上手く扱えず、石の封印を割り切らずにいた。


 お?ドライアドの杖は赤く染まり、その姿を朱槍に変える。


「え!?」


「どうしたの!?玲門?」


「つ、杖が槍に!?これなら!」


 ヒュンヒュンと風切りの音。


 この使い方……薙刀だ!


「えいっ!」


 サクッ、と白菜のように綺麗に斬れるデス・スパイダー。


 朱槍、かなりの魔力を帯びているぞ。


 使いこなせる?


「み、美観、これ斬れるけど、なんか重い!」


「そうね、剣自体は軽いんだけど、魔力的に重いって感じだ!」


「あと、幾つ?」


「あと9!」


「うう、もうダメかな?」


「ええ!?イヤだよ、諦めるの!折角支配者(親)から解放されたのに!それにまだ誰ともデートしていない!ホッシーにもアッキーにもちゃんと謝っていないよ!」


「そうね、一応、私、薙刀の師範代だし、もう少し頑張ってみるか」


「そうそう、私だって有段者よ!まさかこんな所で、役に立つなんて」


 お家柄、いろいろお稽古事、させられたんだろうなぁ。


 でも、明らかに押されている。


 ん?デス・スパイダーの動きが変だ。

 何かを狙っている?

 二人が弱ってきたから、何か仕掛ける気だぞ!


 気をつけて!二人とも!


 シュッ、と嫌な音がした。


「!」


「糸!?」


 拳大の糸の塊が次々に二人を襲う。


「ぎゃう!」


 ゴム弾のような糸の固まりは、ぶつかると弾け、二人の行動を制限し始めた。


 二人の動きが鈍くなると、一気にデス・スパイダーはジャンプし、捕食に掛かった。


「うう、生き残ったら何したい?」


「アッキーとクッキー焼きたいね」


 !


 クッキー!?


 クッキーがパスワードだった。


 私の中の明季が咆えた。


 ドオオオオォォン!


 地響きと共に割れる石の封印。


 石の中から飛び出た私は、玲門と美観に襲いかかるデス・スパイダー9匹を瞬殺する。


 パチパチと、長い睫を動かす双子の姉妹。


「アンアン!」


「え?」


「ポメラニアン!?」


 ホルダーアキ復活である。


  挿絵(By みてみん)

次回投稿は 2023/10/15 夜の予定です。

サブタイトルは 【第72話】 異界へ を予定しています。


お詫びイラスト


お題 『MAYAKOの部屋は誘惑が多い』 


 挿絵(By みてみん)


M で、元帥さん、これは?

G 前回、挿絵がなかったけん、読者さんにお詫びの1枚。

M この髪型は、もうしていませんが?

G そぎゃんね?

M これ、ホントに載せるんですか?

G 後書きに載せちゃろ

M いや、ま、いいですけど。

G ペンタッチ変えてみたばってん、どぎゃんね?

M あの、私のお話、聞いています?

G ?

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