【第64話】 騎士団退避
すみません、大幅に遅れてしまいました。
サブタイトル変わりました。
なぜ戦場に出てきたの!?
エノン、ここはヤバい場所だって!
小さな灯りを手にちょこちょこと動くエノン。
周囲は瓦礫と化しているのに、危ないよ!
エノンに意識を集中すると、更に記憶が刺激される。
記憶が蘇るというより、湧き出る?吹き上がる?そんな感じだ。
過去の私達と今の私が、歯車のように噛み合い、綺麗に動き出す。
カチ、コチ。
時計の針が進むように、私の止まった記憶が動き出す。
「ホッシー!こっち!」
「……アッキー」
歌姫ホッシー、あなたはいつの時代でも歌い続けているのね。
「どうしたの?アッキー」
「こっちのセリフよ!よくもホッシーを!」
「え?」
ボロボロのホッシー。
辛うじて焼け残った服が、大事なところを隠している。
急ごう。
さっと軽くお姫さま抱っこする。
「きゃっ!」
「ホッシー、じっとして、運んであげる!」
「なんかデジャヴあるんですけど?」
「そう?行くよホッシー」
ぽん、と飛ぶようにジャンプする。
ホッシー、ぐったりとして、覇気がない。
ううっ!シャンテンめ!
「痕、残るかな?」
ひっそりと呟く。
「残らない」
「え?」
「あの勇者朱天童子が憑依しているのでしょう?修行すれば、もっと強くなれる。その内、勇者朱天童子のナノマシンは不要になり、新生ホッシーになる」
「え?」
「ナノマシンはギブスと思って、頼るのは今のうちだけよ」
「アッキー?」
うーん、どこの、誰の知識だ?
これは、私の知らないアキの知識では?
サイザン君の影響か?
ブンッ!
イヤな羽音。
魔昆虫が襲ってくる!
ホッシーが身を縮め、私の腕をきつく掴む。
虫、苦手?
まあさすがに、このサイズは誰でも苦手?いや恐怖を感じると思う。
デカいヤツで3m?小さいヤツでも50㎝はある。
大きくても小さくても、毒のある虫は基本、怖いな。
「こ、怖くないよ!」
むっ、として強がるホッシー。
「え?」
「自分で退治できないのがイヤ!」
涙目ホッシー。
スッ、と周囲に魔力を放つ!
次々に雷に打たれ、一撃でバラバラになる魔昆虫達。
「!」
弱っているホッシーを見ていたら、獣人族の明季の意識が強く出てきた。
人族より、より獣に近い獣人族。
基本、獣人族は子供を大切にする。
明季の知っているホッシーも学生だったけど、もう充分大人だった。
少なくとも、あのスタイルは反則だった。
このホッシーもスタイルいいけど、あどけない。
子供っぽさが残っていて可愛い。
「……」
「なに?アッキー?」
ぺろぺろ。
「きゃっ!」
「元気出せ、ホッシー!」
ホッシーの切れ長の目が、大きく開き、私を捉える。
こくこく。
震えるように頷くホッシー。
……セクハラしてしまった。
いや、これは獣人族固有の愛情表現!
ホッシーには迷惑だったかな?
「……ありがと、アッキー、元気出す!」
おお、セクハラと愛情表現の違い!
相手に感謝されるか、嫌われ訴えられるか、この差は天と地だね。
「エノン、ホッシーもいいかな?」
そっと大地にホッシーを降ろす。
戦いの場所から、かなり離れたな、大丈夫かなサイザン君。
ここまで離れれば、ひとまず安全か?
「うん、うちに任せとくんよ、お水、いっぱい持ってきた。ペットボトル2ケース!あと、救急箱も!」
エノン、野球部、あれほど嫌っていたのに?
あ、目が合った。
こっち、来た!?
(あのね空くん)
こっそり話すエノン。
いや、皆見ているけど、暗視できるし。
「なに?」
(街の皆を助けようと、野球部、頑張っている姿、見たんよ。一生懸命だったんよ)
「……」
(うち、今でも野球部好きじゃない、でも嫌い、やめたんよ)
「そうなの、エノン?でも、それはいいことだと思うよ」
(そう?)
「ああ、そう思うよ」
エノン、こいつら全員魔法使いだ。
今の会話、全部筒抜けだよ、と言いたいけど黙っておこう。
「水は助かる、怪我の方はナノマシンが動いて超回復するけど、喉の渇きはどうしようもない」
ハーサーがエノンを見つめ感謝を述べる。
口々に感謝の言葉が溢れる楠の騎士団員。
ここは大丈夫か?凄い速さで回復しているし。
遠目にサイザン君を見る。
押されている?
シャンテンは不気味だ、召喚もするし、魔力の量が突然増えたりする。
まだ何か隠し持っている?
ナビナナ、再構築終わった?
(……ジッ……ピーッ)
まだか。
どうする?応援に行くか?
戦いの邪魔になるようだったら、近づかない方がいいけど。
……もう前世の記憶は十分だし、能力も身体に満ちている。
人族の身体だけど、獣人族だしゴブリンとして、この身体は動く。
今の私はホルダーアキだ。
怖がっていた過去の記憶は、思い出してみると全然怖くなかった。
相変わらずメインは私、空だし。
過去に、飲み込まれることもなかった。
思い出してみると、今の人生に邪魔になる記憶が多すぎる。
目の前の人物の過去を知るのが、自分だけって言うのも、なんかイヤだ。
まあ、バトルの知識、経験は助かるけど。
行くか、獣人族とゴブリン族の能力をフルに使って!
?
ん?みんな私を見ている?
「空くん、耳が……それに背が……伸びている!?」
「耳?背?身長?」
あ、犬耳になっている!?いつの間に?
ぴっ、と動く私の耳。
それにエノン!私より小さくなっている!
下から強い視線を感じる。
ホッシーの目、キラキラである。さらに息が荒い!?。
「ア、アッキー……さ、触っていい?ハア、ハア」
なんかイヤ、怖い。
「ダメ」
「ケチ」
よし、記憶は充分だ。
「楠の騎士団、エノンは人族だ、怪我させるなよ?」
自然と声が凄む私。
「エノンを保護しつつ、この場を離れ、周囲の魔昆虫の退治をいいかな?」
「わかった。アイさんやマートル、小次郎さんはどうする?」
「大丈夫、不思議と戦い慣れている。先ずはエノンを安全なところへ、私が連れて行ってもいいけどサイザン君が心配なんだ」
「わかった。円っちは?」
「問題ない。エノン、行ってくる」
「えっ?」
エノンの頭を撫で、その場を後にした。
脳内でステータス画面を開く。
ネクロマンサーは使用不可だが、他の項目はどれも使用可だ。
長巻を拾い上げ、サイザン君を目指す。
次回投稿は 2023/10/09 夜の予定です。
すみません、時間指定は難しいです。
サブタイトルは 【第64話】 放浪のエノン の予定です。




