【第62話】 強し!イー・シャンテン!
今晩は。
投稿です。
「ア・ダウで収まる思っていたが、まあ分体だからなぁ、俺様を引っ張り出すとは誉めてやるぜぇ、にわか騎士団!」
最初に攻撃したのはハーサーだった。
「ばかっ!さがれと言ったろう!」
円が叫ぶが、もう遅い。
私が重速術を使おうとすると、サイザン君が止めた。
「あいつの重速術は僕と同等、こちらから仕掛けるな、確実に倒されるよ」
え?サイザン君と同じ?
サイザン君ってどのくらいの速さで動くの?
じゃ、どうすれば!?
(逃げるんだよ、全速で、他に生き延びる道は無いよ)
えええっ!?
それ程までに強い?
記憶は半分くらい戻っている。
この経験、知識があれば?
戦えるか?
「ほうほう、朱ちゃんのナノマシンか?」
周囲の眷属が動く。
その姿は、機械的で弦楽器の一部に見える。
長い弦を幾つも蠢かし、ハーサーを迎え撃つ。
その動きは素早く正確で確実にハーサーの勢いを止める。
ハーサーの肩に弦が触れた!
ボン!と触れた肩が爆ぜる!
「ぐわっ!」
バラバラと肩から崩れていくハーサー。
え?
積み木が崩れるようにボロボロと壊れ分解していく。
その姿に恐怖した。
身体の、半分が分解したのだ!
な、何が起きたの!?
円が動き、眷属の一体をその長剣で破壊する。
そして分解していくハーサーを、獣化したジークが素早く回収する。
「ホッシー!」
ホッシーが魔力で包むと、崩れ身体が徐々に再生を始める。
なに?この現象!?
「朱ちゃんのナノマシンは解析済みだぜぇ~。けど、おっかしいなぁ?触るだけで全て分解するはずなんだがよぉ?」
「イ・シャンテン、ナノマシンがバージョンアップしている」
「はぁ?いつの間に!?バージョン5.6じゃないのか?」
「6.2」
真杖ア・ダウが的確に答える。
「ち、まためんどくさい解析かよ!だが、5.6でもかなり有効だな、お前ら俺様の下に付け、見逃してやるぜ?生かしてやる」
炎の渦がア・ダウとシャンテンを包む。
凄い業火だが一瞬にして消え去る。
「熱くもないぞ?お前ら、俺様のジツリキ分かっているだろう?黄泉がえりで苦労したのは分かるけどよぉ、それだけじゃ筆頭の俺様には届かないぜ?」
一瞬にして燃え上がる楠の騎士団メンバー。
「……!」
これは……魔力の動きが速すぎて感知できない!
片膝を着いて残ったのはホッシー1人。
それも大火傷だ。
「だから言ったのに、さがれと」
「で、お前は何してんねん?あん?円っち?」
「観察さ。秋津川さん、楠の騎士団の回収、いいかな?」
「分かった」
「おいおい、何返事しているんだ?回収?させると思うか?こいつら良質の実験材料だぜ?」
「円、どっちにする?」
サイザン君が円に尋ねる。
「ア・ダウだ、サイザン。残念ながらこの魔族、僕の手には余る、ギリギリ相討ちかな?」
「いい判断だぜ、円っち。だが相討ちにはならんぜ?お前の大敗だ」
「円、平常心。誘いに乗るなよ?」
「ああ、分かっているよサイザン」
「ひひひっ勇者の血統、名門のプライド、ボロボロだねぇ円っち。で、サイザン、賞品がほしいんだがよぉ」
「?」
「勝った方がホルダーアキを嫁にする、どうだ?」
!!!!!!!!!!!!!
はあああっ!?
「生き残ったヤツでもいいぜええっ!」
ここで私!?
嫁って!?
鋭い視線が私を捕らえる。
「お前の名は、魔大陸にも響き渡っているんだよ!ホルダーアキ!伝説の魔族アトロニアを従え、その子、魔王子ルカトナの魂を使役する!なんだそりゃ!?マジか?そして魔族チクリを大地に墜とし、賢者とする!まさに伝説!魔族の憧れ、ホルダーアキ!闘神アキ!」
あ、前世の記憶、邪魔かも。
!?
違和感!?
何かが蠢く!?
カーンという鋭い金属音。
えっ?と思うと、サイザン君のヘルメット?兜?が吹飛ぶ。
「ぐわっ!?」
悲鳴を上げたのは真杖、ア・ダウ。
右腕が吹飛んでいた。
大きく弧を描き、大地に落ちる右腕。
恐ろしい魔眼で円を射るア・ダウ。
そして、イー・シャンテンの周りに浮遊していた眷属全てが次々に燃え崩れた。
「……やってくれるなぁ?あん?サイザン!円!俺様の可愛い眷属を!」
「お前もなかなかだよ?シャンテン?」
次回投稿は 2023/10/06 22時から24時を予定しています。
遅れたらすみません。
サブタイトルは 【第63話】 激戦! の予定です。




