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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
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【第6話】壊れ始める日常     

今晩は。

投稿です。

「あれ、フェイクだよ!あんな生き物いないよ!」

「そうかなぁ」


 異様に怖がるエノン。


「またアップされたの、今度の動画は黒い獣みたいなワニみたいな生き物が、人を襲うのよ」


 え?なにそれ、事実なら怖くね?


「海外でアップされた動画なんだけど、凄くリアルでね」

「あれ、絶対CG、フェイク!あんなのいるわけない!」


 エノンが、全力否定する。

 ……元気そうね?エノン?


「……アキくん」


 ん?雰囲気変わった?


「切れたら駄目だって、うち、言った。レイくんも注意した」

「え?切れていないよ?」


 ちょっと目が泳ぐ私。

 その泳いだ目を、クルミちゃんが捉える。


「私達、心配なんだ」


 何がかな?


「アッキーが時々、凄い力を発揮するのは、知っている。何度も助けられたし、感謝している」

「アキくんは、うちらのヒーロー……ヒロインなんよ」

「小学校の頃は、単純に格好いい!凄い!で済んだけど、中学生になって、2年生になって、少し分かってきたんだ、アッキー」


 何がかな?


「新聞読んで、歴史や国語や勉強して、少し分かってきたんよ、現実世界のヒーロー、ヒロインは悲劇に終わるんよ、利用されたり、恨みを買ったりして」


「レイくんとか、隠れアッキーファンとお話ししたんだ。アッキーの力は変な大人達に利用されるかも知れないって」


 ……心配してくれるんだ。

 自分達で考えて、私のこと、思って……。


*お前は、あの世界の者達に、愛されていたぞ*


 !!!!!!!!!!!


 何だ!?

 今の言葉は!?

 誰の言葉だ!?


 何処かで……?


 その時、パンパンパン、と乾いた音が響き渡る。


 ビクッとする3人。


「……え?」

「な、何、今の?」

「……じ、銃声!?」


 渡り廊下で立ち止まる私達。

 なんだか凄く怖い。


 私の耳は、男の人の悲鳴と、怒号を聞いた。

 複雑な足音、人ではない、大きな獣……熊?


 あ、あのイヤな臭いだ!


 黒い影が、脳裏を過ぎる。


 なんだこれ!?


(来る)


 え?


 世界が、ゆっくりと動いているような感覚に襲われる。


 うわっ何!?


 ひ、人差し指が、異様に熱い!火傷した!?


 ふっ、と影が走る。

 何の影だ!?


 私は、無意識に二人を突き飛ばした。


 花壇の柔らかい土の上に、倒れ込む二人。


 ビックリして、私を仰ぎ見るエノンとクルミちゃん。


 渡り廊下の屋根が、轟音と共に落ちてくる。


 いや、落ちてきたのは屋根だけではない!


 体長5mほどの獣?


「2人とも、頭を下げろ!伏せるんだ!!」


 声の限り叫んだ!


 鋭い牙、全身を覆う鱗。

 そして、巨大な尻尾で、周囲のガラス窓や水飲み場を破壊する。


「ウゴオオオオオオッ」


 鋭い怒声。


 まともに聞いたら、耳が壊れてしまうのでは?

 なんでラグナルがここに!?


 ?


 え?だから、ラグナルってなに!?こいつの名前か!?


 なんで私は知っているの?


 あの悪夢は、予知夢なの!?


 その獣は私を見ると、巨大な牙だらけの口を開き、襲ってきた。


 息が止まる、身体が……え?動いている?

 私は流れるように獣の攻撃を躱し、誘導する。


 エノンやクルミちゃんから引き離すんだ!


 捕食の凄い勢いで私を追うラグナル。

 この巨体で、この速さ!?


 銃声がしたけど、効果無し?

 口元のあの赤黒い液体は、血か!?


 校舎内から悲鳴が広がる。


 校内の窓からスマホ片手に、私を見ている生徒達。


 おい、さっさと避難した方がいいと思うけど?

 先生!みんなの誘導を!


 あ、でも……どこに避難?

 こいつ相手に、安全な場所ってあるの?


 私が、引き離す以外に、ない?これが一番良い、選択かな?


 ならば、ここではマズい!

 まだだ、まだ離れなければ!


 学校を離れ、国道を横切り、河川敷を目指す!あそこなら!


 途中、何台か車が事故った。


 ごめんなさい!命に別状は無いと思うけど!

 ラグナルの鼻先、ギリギリで逃げる私。


 離れすぎると、他に行きそうだし、ここはこの距離で頑張るしかない!


 あと少し!一級河川!

 広い河原が見えてきた!


 よし、ここなら!


 怪物と対峙し、息を整える。


 間合いをとり、抜きを!


 ドオオオン。


 私が抜きを放つ前に、魔力還元するラグナル。


 誰だ!?


 挿絵(By みてみん)


 上空を見上げると、そこには袴?かな?上半身は裸だけど。

 赤い鬼が浮いていた。


「おい、きさま、今、抜きを放とうとしたな?何者だ?」


「秋津川空」


 あわわわっお口が勝手に!


「アキ?俺は勇者朱天童子……まさか!?ホルダー明季か!?」


 え?勇者?

 私はこの状況なのに、笑いそうになる。


「笑うなよ、中二病じゃないぜ?」


 え?


「童子、北で暴れている、いくぞ」

「ああ、わかったよ小角」


 勇者は飛び去った。


 そして、この日から、私の日常が崩れ始める。


 今のは、一体なんだ!?


 凄いな、熱のような存在感!

 何かを放出しているように存在していた。


 浮いていたよ?

 鬼さんだよ?


 あまりのリアルに、動画、撮ってもフェイクって言われそうだ。

 でも……この感覚、何処かで?


(勇者の有り余る魔力を、感じたのですわン)


 !


 誰!?


 い、今の、私の考え?


 胸の所で考えが、湧き上がった感じだったけど?


 明らかに私の考えとは異質だった!


 ……病気かしら?


 変な声が聞こえるとか……。

 あ、でも耳元ではない、胸の中央で湧き上がる感じがあった。


 これって??


 周囲を見回す。


 だいぶ学校から離れてしまった。

 早く帰らないと。

次回投稿は 2023/08/13 21時から22時の予定です。

サブタイトルは 【第7話】過去の記憶って邪魔じゃね? です。


ある日の会話


M MAYAKO

G 元帥さん(元帥さんモデルの人です)


作中の挿絵は元帥さんに頼んでいます。

さて、今回は?

M「……これは?」

G「胸に愛がなかと、スーパーヒーロー、勇者じゃ、なかっちゃろ?」

M「あのう、あれ、心に愛では?」

G「あら、ちごうた?胸やなかったと?」

M「1の挿絵も、お願いしますよ!」

G「わははっ、まあ気長に待ちんしゃい」


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