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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
57/95

【第57話】 地上戦7 咆哮     

今晩は。

投稿です。

「おい、サイザン、マジかぁ?」


「だって円、この出会いは奇跡なんだよ!本当なら秋津川さん抱きしめて、踊りたい気分なんだ!」


 あ、それ無理かも。


「ニトお父さん、リュートお母さんも呼びだして、大宴会したい!メインデッシュはトビトカゲで!」


 その時、何かが反応した。

 あ、動きがある!?

 世界連合ビル、魔力が動いた!?


「そら、言っておやりよ!」


 え?

 アイお母さんが言葉を添える。


「その言葉で、サイザン君の心が動くのなら、言っておやり!」


「ええっ!?アイお母さん、私の気持ちは?」


 アイお母さんは、常に悩める者の味方だ。

 そして必ず、子供の前に立つ。

 100才の、お婆ちゃんになっても、70才の子供の前に立つだろうな。


「言葉はどんなに使っても減りはしない、なら良い言葉、相手が欲しい言葉を沢山プレゼントしなきゃ!」


 うう、アイお母さんらしいなぁ。

 きっと、小次郎お父さんにステキな言葉のプレゼント、沢山送ったのだろうなぁ。幼稚園のチビちゃん達にも!


(そら、素直に信じるな)


 え?小次郎お父さん?


(今のセリフ、幼稚園の園長先生からの、受け売りだぞ)


 え?


「おい、動いたぞ!」


 世界連合ビルの周囲の蜘蛛の巣から、デス・スパイダーは這い出してきた。


「サイザン、建物の結界は?」


「元魔王、次期勇者の結界だぜ?破れるモノなら破ってみ?余裕だよ円」


「だよな、行ってくる」


「死ぬなよ?俺が覚醒したら、ちゃんと連れて帰るから」


 ん?

 覚醒?

 あ、そういうことね、勇者として覚醒したら、異界に渡れるんだ!


(まあ、それがいつになるかは分からないけどな、100年後か、200年後か!)


 円が私の意思を読み取り、返事をする。


「騎士団、抜刀!」


 ハーサーが叫ぶ!


「行くぞ!俺達の世界を!日常を!取り戻す!突撃!」


 次々と行動に出る楠の騎士団達。

 真っ先に正面玄関を目指す小次郎お父さんとアイお母さん!


 野球部の皆は、死が怖くないのだろうか?


 ン・ドント大陸の人達は、いつも死と隣り合わせ。

 死は身近だった。

 だけど、この世界の人達は?


(俺達は一度死んでいる)

(悲しきかな、元の俺達じゃない)

(俺達は、人に似た何か別のモノだ!)

(死は一度体験している、それも恐ろしい『死』をな)

(そして死の国から帰ってきたんだ)

(死は怖いさ、だけど、目の前の化け物共に負けるのが、もっと怖い!僕達が倒れたら、残った者はどうなる?抗う術はあるのか?)

(あそこまで修行した俺達が負ける?なら俺達を倒した敵は誰が倒す?この世界にそんなヤツ、いるのか?)


 みんな、それぞれの覚悟があるんだ。


 私は、静かに世界連合ビルを見る。

 私、独自の霊視だ。


 凄い結界が、世界連合ビルを抑えている。

 この結界から抜け出ることは不可能だろう。


 だけど、真杖の他に凄いヤツがいる。


 私の脳内判定は勝利。

 勝利はするだろうけど、かなり厳しい戦いだ。

 野球部メンバー、何人生き残れる?

 

 私だって危うい。

 

 分かっているはずだ、あの異様な輝き、強さ。

 しかし、それでも挑むんだね。


 目の前に凄い魔力が集中する!


 ドロドロとした黒い情念?怨念?


 来たな。


 私の左手には、ずしりと重い長巻。


 私はサイザン君の守護者。

 私とマートル、クルミちゃんと赤間くんが1班メンバー。


「マートル、サイザン君のところへ」


「わ、わかった。だ、大丈夫ですか?アキお姉さま?」


「これくらい、問題ないわ!クルミちゃん赤間くん、無理は駄目だよ?危ないと思ったら、逃げなさい!生き残ってこそよ、逃げても誰も責めないわ!」


 目の前に顕現する五首の怪物。

 高さ、50mは軽く越える。


「これは……真杖!どこから召喚した!?」


 青ざめるサイザン君。


 この異質で異様な魔力!

 私は知っている!


 死の世界から召喚された怪物だ!


(どうかしら?八岐大蛇ならぬ五頸大蛇いつくびのおろちよ!魔力12000での召喚!勝てるかしら?フフッ)


 強さは、魔力だけではない。


(あら、お口ではなんとでも言えるわ、証明できるかしら?)


 私は左腕を軽く振った。


 ボヒュ、と首が一つ飛ぶ。


(!)


「セリフ、言ってあげる」


 挿絵(By みてみん)


「え?」


「セリフよ、えっと、なんだっけ?」


 サイザン君は少しはにかみ、再びセリフを口にする。


「サイザンお兄ちゃん、頑張って!だよ!」


 奇跡の一言か。

 まあ、サイザン君にとって、だけど。


 ボヒュ、二つ目の首が飛ぶ。


「了解、言うよ、一回だけだからね!」


「おう」


「ちゃんと聞いてね?聞き逃さないでよ!」


「おう!」


「ゴブゴブ、サイザンお兄ちゃん、大好きゴブ!」


 え!?


「!!!!!!!!!!!!!!!」


 え!?誰!?


「阿騎っ!?」


 私の口から出たセリフは、私が言いたいセリフとは違っていた。

 声の質も、しゃべり方も!

 私は驚き、そして自然と笑いたくなった。

 ふふっ、よかったね、サイザン君。

 いや、サイザンお兄ちゃん!

 かつてない力が漲り、私は咆哮と共に一歩を踏み出した。


 負ける気がしないっ!

次回投稿 2023/10/01 夜の予定です。

サブタイトルは 【第58話】 強いのなんの! です。

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