【第51話】 地上戦
今晩は。
投稿です。
ボロボロの私、使いモノになるかしら?
「まだ寝てろ、エノンさんかクルミちゃんを呼びたいが、お前、今男子だろ?アイさんはコロさんとデス・スパイダー狩りだし」
あ゛そうだった!
今私、角があるゴブリン?
……か、鏡が欲しい。
ゴブリン男子でも、中身は中2の女子なんですけど!
だが、それ以上に気になることを聞いてみた。
「ホッシー達は?」
「ああ、無事だ、火傷したみたいだが、もう回復しているはず、世界連合ビルを目指している」
火傷!?
「酷いの?火傷は痕が残るわ!」
「あいつらは勇者朱天童子が憑依している、大丈夫だ、火傷の痕は残っていない」
憑依?ああ、そんなふうに円には見えるんだ。
ホッシー達、無事なんだ、よかった。
ここで違和感に気づく。
?
ナビナナ?
(……)
「ナ、ナビナナ!?」
焦る!
どうしたの!?
身を起こそうとするが、全身激痛が走る。
「ぐっ!」
い、息ができない!?
これ、とんでもない痛みだ!
関節?筋肉?なんだ?この痛み!?
ゴブリンの痛感無効が!?
「無理するな、なぜ俺がここにいると思う?」
知らないわよ!
「回復に全魔力が使用されている、スキルは使えないぞ」
なにそれ!?
それよりなビナナよ!返事がない!
どこ!?ナビナナ!
「俺が、波動を出し続けないと、秋津川は回復が遅れるんだよ、無茶しやがって……魔力還元してしまうぞ?」
「……ナビナナ?返事がない、どうしたの」
声が震える、脳内に気配がしない!
円が不審そうに身を寄せる。
「ナビナナ?」
私は、目だけ動かして円を一瞬見る。
「もしかして、サイザナンシリーズのナビゲーターか?」
「そ……そうよ」
「あのポンコツか」
「!」
…………なんですって?
静かに、怒りが満ち始める。
「あれ、欠陥品だろ?あんなのよく使うな?やめとけ!」
……は?
「ドロトンさんは上手く使っているみたいだけど、実用には無理があるって聞いたぞ、リンドウさんとか使いにくいって」
「欠陥品……ですって?」
サイザナンシリーズは、遙か昔のドワーフの王さまや古代アトラ帝国の開発部長さんが、阿騎のために作ったゴーレムだ。
開発途中で亡くなったと聞いたけど、それでも一生懸命作ってくれたはずだ!
それを!
作り手の気持ち、考えての発言?
私は記録しか知らないけど、阿騎や明季が怒りだしている!
いや、これはもう殺意レベル!?
欠陥品だと?確かに時間制限はあるし、能力制限もあるけど、人工衛星落としたのよ?凄いのよ?なにより、会話をして私のこと、フォローしてくれるのよ?
今回だって私の言うこと、一生懸命聞いてくれて……寄り添ってくれて……。
それを!
ナビナナは欠陥品じゃないっ!
「いやそうだろ?マスターである秋津川を死地に導いた、無能だ。ゴーレムとして失格だ」
「私の友人を悪く言わないでくれる?」
「はあ?ゴーレムは道具だ、人ではない、依存したら駄目だ」
「依存?」
いぞんって何だっけ?
なら、阿騎や明季が絶大な信頼を寄せている、彼女はどうだ?
魔王に対峙する、最強のゴーレム、メイドンは?
彼女も道具か?
「なら、メイドンは道具なの?あの優しくも気高いゴーレムは?」
段々と痛さを忘れていく私。
怒りが、苦痛を通り越した!
アトロニアは?ルカトナは?ローロンサは?
ナツは道具か!
亜紀を支えてくれた彼らは!
少なくとも認めろ!敬意を払えっ!
「メイドン?あれも道具だよ、地牛博士が作った最高傑作品」
ぶちっ。
「ふざけるな!彼らは道具ではないっ!阿騎や明季は見た!彼らの意思を!彼らには明らかに意思がある!敬意を払え!」
ベッドを飛び降り、円に迫る私。
やっぱり円、嫌いだ!こいつ!
やなヤツだ!
「助けてくれたことには礼をいう、わざわざ海まで、ありがとう、でもゴーレムを大事にしないヤツは嫌いだ!ポンコツで悪かったな!?それでもナビナナは一生懸命手伝ってくれたんだ!」
「!!!!!!!!」
ん?
円の目が見開き、固まっている?
こいつ、どこ見ている?
その視線の先は?
あ?
え?
はぁ?
ああああああああああああっ!?
「っんきゃあああああああああっ!で、で、出てってええええええええっ!」
「な、なんで男の子じゃないんだよ!」
「し、知らないわよ!出て行けええええっ!」
ぱいぱい見られた!?
一番やなヤツに!
最悪だっ!
「だ、だ、駄目だよ、俺が離れたら!」
時計が飛んだ、ヌイグルミが飛んだ、本が飛んだ、手当たり次第投げ付けた。
バタン。
扉が閉まる音。
何で女の子?
いや、女の子なんだけど。
!
立っていられないくらいの、痛みが生じた。
あ、これヤバい。
ごふっ、と吐血する私。
ああ、真杖との戦いで、ボロボロなのだ、私の身体。
私はパタリと倒れると、そのまま動かなくなった。
脳内のステータ画面では、次々に赤い点が消えていく。
誰の攻撃だろう?
かなりの人数だ。
地上戦、私は戦えるのだろうか?
再び開く扉。
一瞬、エノンが見えた、クルミちゃんも。
……もう安心だ、エノンとクルミちゃんが来てくれた。
ああ、円の記憶、消したなぁ。
あまりの激痛に私は意識を失った。
次回投稿は 2023/09/25 の予定です。
おそらく夜になると思います。
サブタイトルは 【第52話】 地上戦2 を予定しています。




