表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
5/95

【第5話】私の日常は非日常     

今晩は。

投稿です。


 結局、害獣は不起訴となり、今でもセンセーをしている。


 大人は、小学生の言うことを信用しないらしい。

 この国の制度、大丈夫か?


 まあ、私が投げ付けたグランドピアノの破片に、録音したスマホが潰されたのは痛かった。


 大事な証拠が……すまん、みんな。


 え?害獣?害獣は車椅子だよ。

 今では車椅子先生として、人気があるみたいだけど。


 一応、耳元で警告はしておいた。


 次はないよ、と。

 XXXXがXXXXになるからね、と。


 私のエノンやクルミちゃん、弟のような兄のような、赤間くんを傷つけるヤツは許さん。


 まあ、2、3回このようなことがあった。

 ……4、5回かも知れん。


 みんなが、心配するはずだよね。

 切れるなよ、と。


 同じ小学校の同級生は、大なり小なり私が危ないヤツという認識がある。


 修学旅行でも、タクシーひっくり返したし。


 何があったんだろうね、私。


 ……お、次は体育の授業だ。


 体操服に着替える時、クルミちゃんは私の背中を気にする。

 みんなに見えないように、盾になってくれるのだ。

 彼女は知っている。


 私の背中には、左肩から右のお尻に掛けて、一筋の線が走っていることを。

 痣だろうか、幅1㎝程の傷跡のようなモノがあるのだ。


 最初アイお母さんが見つけたときは、虐待の傷跡と思ったらしい。


 いや、今でも思っている。


 まるで、後ろから斬られたような痕なのだ。


 私も、そんな痕があるとは知らなかったので、指摘された時はかなりショックだった。

 それ以来、好きだった温泉が苦手になった。


 小学校の時の修学旅行お風呂は、クルミちゃんとエノンが必死にガードしてくれたけど。


 俯き加減で、体育館を目指す2組の女子メンバー。

 美人双子の体操服姿が見れると、浮き足立つ男子達。


 ……男って奴ぁ。


 何事も、ありませんように。

 これ以上、親に迷惑掛けたくありません!


 ただ、うちの両親、やるなら徹底してやり抜け、とか言うんだよねぇ。


 血の繋がりはなくても、どこか繋がっているのかしら?


 ふっと目が何かを捉える。


 右目は見えないけど、左目はよく見える。


 捉えたのは美人さんの双子。


 広い体育館、すぐに二人を見つけた。

 なぜか気になるあの二人。


 ん?


 体育の授業だよ?

 落とせよ化粧。

 いや、まだ中学生だろ?いいのかな?

 先生、見えているでしょう?耳のピアスあと。

 アレはリップ?いえいえ、どう見ても口紅でしょう?

 なぜあの二人だけ特別扱いかなぁ?


 義務教育はどこへ行った?


 まずはエノン達と双子チームの練習試合。


 私は横でパスの練習。


 試合開始と同時に怪我人が出た。


 肘打ちだ!確かに見た。


 噂通りの二人だった。


 お顔を押さえて座り込む、エノン。


「エノン!?」


 小さい悲鳴をあげるクラス女子。

 怒りを露わにする隠れエノンファンの男子達。

 鬼のような形相になる赤間くん。


 そしてダッシュで駆け寄る私。


 が、である。

 何事もなく進むプレー。

 おい、止めろよ!ゲス崎!


 控えのくるみちゃんがプレーを無視して、エノンに駆け寄る。


 挿絵(By みてみん)


 保健委員のくるみちゃん。

 くるみちゃんは男女問わず優しい。

 時々勘違いした男子が言い寄ってくるけど、全て私とエノンとホッシーで撃退する。

(ホッシーは4組なのだが、ちょくちょく2組にやって来るのだ)


 美観のスリーポイントが決まると、そこで笛が鳴った。


 遅すぎだろう!授業だぞ!?怪我人だぞ!


「うう、いててて、油断した」

「腫れてきた!保健室行こうね!」


 クルミちゃんがエノンの手を取る。


「おいおい、ボールがぶつかったか?それくらいでどうした!軟弱だな!」


 おいおい……先生の言う言葉か?

 私の後ろから声を掛け、肩に手を……え?なんで私の肩に手を置こうとするの?


 パシッと振り向くことなく脂ぎった、イモ虫みたいな指を払う。


「気やすく触るんじゃねぇ!」


 と言えたらいいんだけどねぇ。


「カラ、声でてるぞ!」


 あ?

 まじぃ、でてた?


 突っ込みありがと、赤間くん。


 突然切れて叫び出すゲス崎。


 大きい声出して脅せば、小さな子供や、女子はすくみ上がるってか?

 デカい声さえ出せば、言うことをナンでも聞くと思っている輩だ。


「きさまぁあああそれが教師に対する態度かあああああっ」


 私は更にデカい声で返事をした。


「だったら教師らしく振舞えよ?」


 残念だったね?デカい声ぐらいじゃ竦みませんよ。


 ひゅん!


 かなりのスピードでバスケットボールが飛んでくる。

 狙いは私の後頭部である。


 よっ。


 パチッ!


 軽い、乾いた音が体育館内に響く。


 目を見張るゲス崎と、ボールを投げつけた腐った美観。

 私は、飛んできたバスケットボールを左手だけで摑んでみせた。


 まず、私の小さな手では摑むのは不可能、と思うだろうなぁ。

 でも何故か、私の握力は時々100㎏wを軽く越える。


 理由は知らない。


 私は、軽く美観を睨み、真後ろにバスケットボールを軽く投げた。


 見もせずに、カンで後ろに投げた。


 多分、ゴールする。


 パスッ。


 ほらね。


 乾いたゴール音が聞こえた。


 響めく体育館。

 私は極悪双子コンビに、ニヤリと笑って見せた。


 ん?笑い声?エノン?


「クスッ、アキくん、オウンゴールよ」


 エノンが腫れたお顔を押さえ、笑いながら言う。


「おうん?オウンゴールってなに?」

「知らないの?」

「知らないわよ、それより、保健室行こう!」


 私とクルミちゃんは絵音を両側から挟み込み、保健室に連行する。


 後ろから怒鳴り声が響く。


 ゲス崎先生?あんなの無視!無視!


 途中、体育館との渡り廊下で、パトカー?消防車?のサイレンを耳にする。


「最近多くね?」


 エノンが外に眼を移す。


「アレじゃないの?あの黒い獣!」


 クルミちゃん、ゴシップ好きだねぇ。

次回投稿は 2023/08/12 21時から22時の予定です。

サブタイトルは 【第6話】壊れ始める日常 です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ