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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
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【第4話】ラグナルってなんだ?     

今晩は。

投稿です。

諸事情で、この時間になりました。


 さすがに運動大好きのエノンも、ちょっとイヤなお顔である。


「肘が当たったんだと」

「肘?」

「故意ではない、と言っているけど、あいつら俺らで反則の練習していないか?」


 相手が悪いよ、隣のクラスはバスケ部の在籍者が多い。


 特に極悪双子コンビ、美観と玲門は有名だ。

 こいつら反則が得意で、綺麗なプレーをしないともっぱらの噂。


 県大会でも際どいプレーをしたとか。


 運動部に属さない私ですら、噂を聞いたことがあるくらい酷い女子!


 でも美人さんなんだよねぇ、この二人。


「アキくん……」

「なに?エノン?」

「ラフプレー、怒ったら駄目だよ?」

「切れるなよ?カラ?お前切れると、誰も止められないからな」

「そう?」

「自覚、しているよな?」


 ちょっと赤間くんが真剣なお顔になる。


「自覚はしているけど、赤間くんやエノン、クルミちゃんが怪我したら確実に切れる」

「私がどうかした?」


 私より、ちょっと背の高いクルミちゃんが、現れる。

 ショートカットで、目が大きくて綺麗な女の子。


 THEクルミちゃん。

 2組のアイドル。


「4組の怪我の話だよ」

「あ、私も聞いたよそれ!事故だって4組の人達言っているけど」

「でもよ、体育の先生は、女子バスケ部の顧問も兼任しているゲス崎だろ?」

「赤間くん、菅崎先生ね?」

「カラに注意されるとは意外だな」


 をい、どういうことだ?

 それにしても何かみんな、ピリピリしているな?

 私が見回していると、クルミちゃんが反応する。


「動画じゃない?黒の獣の動画!」


 なんだそれ?体育の授業じゃないの?ピリピリの原因。


「なに?それ?体育が原因じゃないの?」

「お?アッキー知らないの?黒の獣、世界連合のビルがあるところに、必ず現れる怪物よ」

「怪物?都市伝説?フェイクでしょう?絶対映像におかしいところ、あるって」

「世界連合、何か隠しているって、話だよ?」


 政府機関に付きまとう陰謀論?


「実際、凄く大きなトラックが、何台も出入りしているんだって」


 熱弁を振るうクルミちゃん。


「あれはトレーラーだぞ、俺も見た」


 赤間くん、このお話し、乗っかるの?

 この手のお話しはまず、無視するのだけれど、ちょっと気になった。


 その……前置きが。


 世界連合のビル?


「それが凄いリアルなのよ、アッキー、これなんだけど……」


 華麗な指捌きで、スマホを操るクルミちゃん。

 それを覗き込むエノン、赤間くん、私の3人。


「!」


 外国?そこには、ワニのような、獅子、ライオンのような?蛇も入っているかな?キメラ怪物が、一瞬映っていた。


 周囲には赤黒い血だまり?周りから判断して5m以上はある!


 その獣を見た瞬間、ゾッ、とした。


 挿絵(By みてみん)


 なんで、ラグナルがここに!?


「!」


 ……ラグナルってなんだ!?


「これ、魔獣って呼ばれているの、削除された動画も沢山あるみたい」

「アキくん?どうかした?」

「気持ち悪い……」

「でしょう?これ本物じゃない?この街にも世界連合のでっかいビルあるでしょう?その内、出現するじゃない?」


 ……一瞬、この怪物と目が合ったような気がした。


「あ!?」

「どした?カラ?」


 赤間くんが私の異変に反応する。


 この怪物、見たことある!

 最近、夢の中に出てくるヤツ、そっくりだ!?

 いや、同じ!?


 そして予鈴が鳴り、退屈な授業が始まる。


 エノンもクルミちゃんも大きくなったなぁ。

 小学生の時は、私の方が大きかったのに。

 エノンとクルミちゃんは、保育園から一緒だ。


 出会いはお漏らししたエノンを、トイレに連れて行った所から始まる。


 私は当時から、今と大して変われない状態だった。

 身体は幼児で頭脳は……って、おいおい、あぶない!


 色々な知識があった、と記しておこう。


 クルミちゃんもしかり。

 転んで、膝を擦りむいたクルミちゃん。


 大泣きである。


 私は小さいながら、クルミちゃんを抱っこして、傷口を洗い、消毒して、一緒にお昼寝をした。


 この二人、友達なのだが、親戚の子供?妹?みたいな感じもする。


 赤間くんは小学校からだ。


 帰国子女の赤間くん。

 親の都合で学校に行っていなかった。


 本当は私達より、二つ程年上なのだ。


 両親の離婚、連れ去り、保健室で泣いている赤間くんとばったり出会い、お友達になった。


 レイ・レッドは向こうでの呼び名だ。


 この3人は私の秘密をちょっとだけ知っている。


 私はとんでもない身体能力を隠し持っている。

 意識して使ったことはないし、使おうと思っても、発動しないのだけど。


 これがバレた事件がある。


 小学校3年生の時、吹奏楽で有名な先生がいた。

 この先生、吹奏楽の指導で有名らしく、必ず毎年入賞、もしくは金賞を受賞するのだ。


 ただ、指導は厳しすぎで、体罰は当たり前だった。


 それでも受賞歴が凄まじく多く、成績重視で名誉が欲しい大人達は、こいつを優秀と褒め称え、誰も問題にしなかった。


 こいつには裏の顔があった。


 生徒にやたらと触りまくると、噂が絶えなかった。


 ある日クルミちゃんを、音楽授業、吹奏格指導の一環として、放課後音楽室に呼びだした。


 おかしい、と感じた赤間くんとエノンは、スマホの録音機能をオンにして音楽室に乗り込んだ。

 施錠してあったので、ドアを外して侵入したそうだ。


 赤間くん、どこで覚えた?そのテクニック。


 そこには、泣いているクルミちゃんに手を伸ばすそいつがいた。


 赤間くんは勇敢にも椅子を投げ付け、人の形をした害獣に挑んだ。


 が、小学生と大人では、体力差があり殴り倒されたそうだ。


 そしてその害獣は、赤間くんのズボンとパンツに手を掛け引き下ろした。


 その異様な光景にクルミちゃんは気を失い、エノンは声にならない悲鳴を上げた。


 私はクラスが別だったので、校庭で落書きをして待っていた。


 その時、確かに私はエノンの悲鳴を聞いた。


 どうやって3階の音楽室に辿り着いたか覚えていない。


 ここだ!と直感した。


 私は3階の窓をぶち破り、最短距離で駆けつけたのだ。


 呆けた顔で振り向く害獣。


 まあ、普通、3階の窓から小学生は侵入しない。


 赤間くんは害獣の股間を蹴り上げ、転がり私の方に逃げて来た。


「っぶねぇ、た、助かったよ、カラ」


 ぐしゃぐしゃの泣き顔でお礼を言う赤間くん。


 ゆっくりと目を開けるクルミちゃん。


「大丈夫だ、もう心配ない」


 私は静かに言葉を放った。


次回投稿は 2023/08/11 20時から21時の予定です。

サブタイトルは 【第5話】私の日常は非日常 です。


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