【第31話】円卓の騎士と楠の誓い2
お早うございます。
朝刊です。
「そんな、どうして?昔からあった大きな木なのに……駅前の、街の象徴!」
枯れた葉と一緒に、小枝が折れ、降ってくる。
その音は大きく、雨のようである。
「あんなに緑で、綺麗だったのに!子守りの楠!」
「まるで、私達の身代わりみたい」
ホッシーのその悲しい声と発言は、皆の胸を打った。
毎日見ていた大きな木だ。
彼らは、枯れていく木を始めて、その目で見たのだ。
彼らはもう引き返せない。
人、ならざる者。
「!」
「きっとそうだ」
「身代わりだよ」
「数百年の命を俺達に、くれたんだ!」
「枯れた楠に誓おうぜ」
「ああ、左近、そうだな」
「桃園ではなくて駅前の楠、子守りの楠の誓いね」
「ホッシー、詩人だろ?頼むぜ」
「ええっ!?」
パーシーの目が、悪戯っ子のように光る。
「無茶振りする悪童達に無理強いされ、愛しいアッキーのためその身を捧げ、誓いの文を苦作するホッシー、その運命やいかに!?……モエます?ホッシー」
「……ちょっとパーシー、貴方の方が向いていない?なにそのセリフ!まあ、モエるけど……ではいくわよ!」
ホッシーは子守りの楠に対して、抱きしめるように両手を伸ばす。
「私達6人、生まれや育ちは違うけれど、この街を、人々を守り抜き、再び黄泉路につく時は、皆同じ日、同じ時を願わん!どう?」
「いいね「「「「「私達6人、生まれや育ちは違うけれど、この街を、人々を守り抜き、再び黄泉路につく時は、皆同じ日、同じ時を願わん!」」」」」」
「私は皆のために!皆は私のために!」
「「「「「私は皆のために!皆は私のために!?えっ!?」」」」」
「ちょ、ホッシー!?えええっ!?私のため?」
「そう来たか、ホッシー!」
ニヤけるホッシー。
「私のためって、特定した方が想い、強くならない?それぞ皆が、それぞれのために動いてくれるのよ!」
「奥ゆかしさが足りない気がする」
「そこ!うるさいっ!」
枯れた葉は音を立て降り積もり、黄泉帰らなかった仲間を覆い尽くした。
「弔っているみたいだ」
「そうね……」
「俺達は、もう普通の考え、この世界の考えじゃないんだな」
「ああ、師匠朱天童子の教え、戦国時代みたいな教えだ、敵を倒し、守るべき命を守る、一瞬の判断で生きるか、死ぬか、が決まる」
「全部思い出した?」
「いや、半分も思い出していない」
「それ聞いて安心したよ、俺、ほとんど思い出せないもん」
「じゃ、キャプテン、行くか?」
「……」
「どしたん?」
「高野はテル、龍木はロンギ、ホッシーはホッシーだな」
「……まあ、そうですケド」
左近は続ける。
「十文字はジーク、畑野はパーシー、で、オレは?」
「キャプテンという呼び名はイヤだと?」
「え?いやぁ、イヤじゃないけど、色々とダブるからさ」
ホッシーが呟き始める。
「山波左近……なみ、波、左近、さ、コン……波左……ハーサー!」
「えっ?」
「今から、ハーサーね!決定!」
次回配達は 2023/09/07 朝の予定です。
サブタイトルは 僕の名は? です。




