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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
22/95

【第22話】憧れ     

今晩は。

投稿です。

「……おい、キャプテン起きろよ!」

「?」

「どこだよ、ここ?」

「俺達、死んだよね?ここ死後の世界?」

「なんでみんな、一緒なんだ?」


『時間は充分にある、よく考えて、どちらかを、選べ』


「?」


 荒れ果てた荒野で目覚める、15人の少年達。


 目の前には大きな赤い鬼。

 赤い鬼の先には小川が見えた。


 赤い鬼が指さす。


『あれが見えるか?』


 小川の向こうに見える防護ネット。

 照明、ナイターの設備も見える。


 数人の子供達が野球の練習をしている。

 声が響き、厳しい練習が行なわれているようだ。


「うわぁ、なにあの設備!?」


 厳しい練習、でも、楽しそうである。

 広い野球場、周囲は綺麗な花が咲き、小川の向こうは別天地だ。


『あの地に渡れば、大好きな野球が好きなだけ出来る』


「おおおっ!すげーっ!」


 歓声に湧く野球部メンバー。

 が、キャプテンは冷静だった。


「赤鬼さん、行かなければどうなるの?」


 赤い鬼は後方を指さす。

 指の先は、黒い雲が渦巻き闇のような世界があった。


『あそこに戻ることになる。あの世界では、もう野球は出来ないだろうな』


「なんで?」


『あの世界を選べば、私の影響でお前達は人ではなくなる。鬼のような戦士になる』


「それはイヤだな」


『ははっ、はっきり言ってくれるぜ、さあ選べ』


 その時、一人の少年が闇の中に、蛍のように光る何かを見つける。


「おい、あれカラじゃねぇか?」

「え!?」

「あ、カラちゃんだ!」


 挿絵(By みてみん)


 そこには止まれの標識を振り回し、異形の怪物と戦う女の子がいた。


「何やっているんだ?あいつ!?」

「後ろに女の子がいる!」

「猫耳!?」

「犬じゃね?」

「変な怪物と戦っているぞ!?」


『あれはお前達の未来の姿だ』


「あれが?」

「カラちゃんが?」

「なんで?」


『あの世界に戻ると、お前達はあのアキのように戦うことになる。さあ、どちらか選べ』


「キャプテン、どうする?カラちゃんだぜ?」


『秋津川がどうかしたのか?』


「小学校の時、カラと野球で勝負したんだ」


『無謀だな』


「ああ、無謀だった」


「カラには酷いことしたよな……」


「始まりは、キャプテンのホームランだったよな?」


「小学校の時、キャプテンのホームランが女の子に当たりそうになったんだ」


「その女の子を庇って、カラちゃんが素手でボールを取った」


「そして、何か叫んで投げ返した」


「ボールは、キャッチャーミットに直接ダイレクトに届いたんだ!」


「怪物みたいな女の子がいるって聞いていたけど、まさか本当にいるなんて!」


「それで、凄い肩だから、野球部に誘ったんだけど、断られて……」

「でも、どうしても野球して欲しくて、一度でいいから勝負してみたくて」


「……いじわるした」


『あいつは見た目と違って大人だったろう?』


「意地悪しても……笑っていた」

「どうしても勝負したいって言ったら、赤間君の立ち会いで、一度だけ投げてくれた」


『ほう』


「こっそり、スピードガンで計ったんだ」

「球速は160km/h越えた。キャッチャーの高丸君はミット吹っ飛んで手と胸骨、肋骨、骨折した。バッターの僕は……球が見えなかった」


『よく生きていたな、キャッチャー』


「うん、痛かったぜ、生れて始めて救急車に乗った」

「カラちゃん、泣いて謝ったよ、謝る必要無いのにね、散々意地悪して、無理強いしたの、俺達なのにさ」


『お前らガキだな?』


「ガキだよ!」

「当時、小学生だぜ!」


『小学生でも、許されることではないぞ?』


「赤鬼さん、凄まないで……なんか漏れちまうよ!」


「今も中学で、ガキと大して変わらないよ!」


「キャプテン、秋津川は何年生の時だっけ?」

「カラちゃん、いっこ下だから4年生だ」


『小4でいじめか?』


「羨ましかったんだ」


「結局、怪我人出て、怒られたのはカラちゃん」

「家まで謝りに来た」

「俺達さいてー」

「それでクラスでいじめが始まったんだ」


『秋津川のクラスでか?』


「カラちゃん、チビゴリとか言われて」

「暴力女とか、傷害女とか」

「カラちゃん、何も悪くないのにね」


『お前ら、野球小僧失格だな?』


 溜息交じりの勇者朱天童子。


「ああ、だから俺達、謝りに行ったんだ、カラの家に」


『ほう、勇気あるな』


「カラちゃん、許してくれたけど、赤間くんと桜木さんは許してくれなかった」

「音ちゃん、今でも無視だもの」


「ホッシーから聞いたけど、カラ、野球は好きだけど、嫌いだって」

「なんだそりゃ?」

「キャプテンは知っているよな?」

「ああ、ホッシーから直接聞いた。カラちゃん、野球している男の人の夢を見るんだって」


『!?』


「エッチな夢か?」


「違うよ馬鹿!そんなんだから、カラやオトちゃんから嫌われるんだよっ!」


「その人、カラちゃんを助けようとして、いつも死んでしまうらしい」


「なんだよそれ?ただの夢だろ?」


「何その男?頑張れよ!カラが困っているなら、助けてやれよ!」


『……』


「夢に見るくらいだから、カラのお父さんかな?」


「違うだろ?」


「じゃ、誰だよ?」


「す、好きな人かな?アイドル?」


「大事な人?」


「夢だろ?」


「でも、おれ、そいつに焼き餅焼いてさ、なんで俺じゃないんだろうって」


「なんだよ、キャプテン、カラ好きなのか?」


「憧れているんだ」


「は?憧れ!?」


「世界に通用する身体能力だぜ?超人種じゃん」


「それだけ?」


「いや、なんか大人っぽいし、優しいいし、さ。目が、悲しそう?なぜか、惹かれるんだ!」


「あいつ、化け物だぜ?何処かの組織に捕まって、改造されたんじゃね?それとも珍しいから、解剖されたりしないか?」


「知らないよ、そんなこと!お前、戦隊モノの見過ぎだ!」


「……俺はカラ嫌いだな、あいつ人を馬鹿にしている」


「え?」


「あれだけの実力ありながら、何もしないなんて、なに気取ってんだよって話さ!おれ、球場に行くよ!」


「ああ、僕も球場に行く、だいたい秋津川いじめていたの、何年前だ?もう忘れているよ!僕も覚えていないし」


「そうだよ!キャプテン拘りすぎ!あいつも忘れているって!」


「じゃ、キャプテン先、行ってるよ!」


 次々に小川を渡るメンバー。


 キャプテンは遙か、黒い雲を見つめる。

次回投稿は 2023/08/29 22時から23時の予定です。

サブタイトルは 【第23話】それぞれの道 です。


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