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続 The Lily 前世の記憶は邪魔である   作者: MAYAKO
第一章 礼羽編
16/95

【第16話】獣人族の姫・これからどうする?     

今晩は。

投稿です。

「マートル、大丈夫か?」


 マートルは円を名乗った戦士に飛び込んでいく。


「うひいいいいいん、ごわがったよおおぉっ」


「マートル、円、さっさとずらかるぞ!勇者達が転移装置を片っ端から破壊している!帰れなくなる!ここはまだ異世界だ、帰ってから泣けよ」


 円と目が合う。

 こいつが円?

 円は女の子じゃなかったっけ?


「この世界の獣人族か?」


「……」


 なんの感情も湧き上がらない。

 そして横の男の子がサイザン?

 ゴブリンだった時の兄?

 名前が一緒なだけか?


 足下に落ちているブーメランを見る。


「威嚇だ」


 いや、弾かなかったら当たっていた。

 結構過激な人達だな。


 パリン、カチン、パリン!


 背中に刺さっていたガラスが、身体から押し出される。

 床に落ちたガラスは割れ、身体の再生が始まる。


「サイザン、なんでここにエノンさんがいる?隣はクルミさんか?」


「俺達の世界のエノンさんは魔力還元している。これは別のエノンさん、異世界の、子供のエノンさんだ」


「そのエノンさんとクルミさんが、マートルを保護していたと?」


「考証、検証はあと!行くぞ!」


 ちょいちょい。

 マートル、円の袖を引っ張っている?


「服、もらったの」


 ……あれ?あげたっけ?貸したつもりだが?


「おい、だから急ぐぞ!円、マートル!」


「分かった、マートルは返してもらうぞ!」


 マートルと目が合う。


「あのね、ありが……!」


 ひゅん!

 風の音と共に、3人は消え去った。


「……行っちゃった」


「私達も、保健室に行こう、ここは危ないよ」


 私は二人を促し、保健室を目指す。


 学校は更に混乱を増していた。

 まあ、ね、校舎壊れたし、瓦礫が、ね。


 魔獣は周辺にはいないし、その内落ち着くのかな?

 怪我人はこれ以上増えないと思うけど。


 保健室の周りは、怪我人でいっぱいだった。


「廊下、通れないね」


「取敢えず、水で洗おう!」


 一体、何匹の魔獣が暴れたんだ?

 水飲み場は空いていた。


「アッキー、バイ菌入ったら大変だよ、体育館に行ってみよう」


「あ、赤間くんも怪我したって?」


「……うん」


 歯切れが悪いな。

 何かあった?


 体育館も人が溢れていた。


 避難してきた人達、怪我人、先生に生徒達。


 あ、白衣!


 運良く保健のノブ先生に巡り会い、エノンの治療をしてもらう。


 みんなの味方、保健の新庄信 (しんじょうのぶ)先生!


「なんなんだろうね、あの怪物!スマホもパソコンも、タブレットも使えないし、困る!ほい、消毒、完了!他、痛いところない?」


「先生、ありがとう!」


 お、エノン、元気出た?


「どこが安全か分からないから、困るんだよねぇ」


 ナビナナ、周囲に何かいる?


(いえ、有害な存在は確認できません)


 判断が難しい。


「勝手に帰宅している生徒、先生もいるし、生徒の安全が第一なんだけどね」


 え?先生帰っているの?いいのか教育者?

 あ、教育者と言っても、家族があるし、お子さんだって。


 あ!?


 ここで私の左目は赤間くんを見つける。


 青いお顔、なんと呼吸音までカウントできる!

 呼吸が浅い?

 重傷?


 混雑して体育館の人混みをすり抜け、辿り着く。


「赤間くん!?」


「……よう、どこ行っていた?」


(重傷ですわン!)


 私は、言葉を失う。


 死?


(……あと半日ですわン)


 気がつくと、赤間くんの両脇に美人姉妹が?

 憔悴したお顔、涙の痕!?


 チラリと私を見る。


「凄い音がして……体育館から出たら……怪物が……」

「私達を庇って……」


「カラ、焼くなよ?俺、両手に花だぜ?」


 震えながら、赤間くんの左右の手をそれぞれ握りしめている、美人姉妹。


「そうね、でもさ私、エノン一筋だから」


「チェ、ごふっ、ゲホゲホッ」


「お医者さまは?」


 玲門に聞いてみる。


「医薬品が足りないって、出来ることはするけどって……ぐすっ」


「私達なんて、放っておけばよかったのよ!」


 まあ、赤間くんは誰であれ、庇ったであろうな。


 !


 背後に気配。


 誰?


「おい、そこの二人、その手を放すなよ。そいつ、お前達の癒やしの波動で命を繋いでいる」


 振り向くとそこに円がいた。


「え!?帰ったんじゃなかったの!?」


「今、サイザンが薬草を摘みに行っている。安心しろ、お前助かるぞ」


(ご主人さまン、お友達、助かりますわン!)


 なんで?


(サイザンさまは、薬神ニトさまのご子息ですわン!)


 ぎゅっ。


 私の右腕を、ぶら下がるように抱きしめるマートル。


「フンフンフンッ、うん、いい匂い」


 ……何してんねん!?


  挿絵(By みてみん)


 おい、先程まで、泣いていなかったか?

 お家に帰りたいって!?


「ふんふんっ!」


 そんなにいい匂いなのかな?


 円をチラ見する。


 気まずそうな円。

 いや、あんだけ格好付けといて?


 まさか?


「いやぁ転送機、全部勇者に壊されちまってよ……」


「あと少しだったのにね!」


 なぜか明るいマートル。

 ああ、円とサイザン君がいるから、安心しているのか?


 これは、絶大な信用だな。

 この二人がいれば、マートルは、異世界でも怖くないんだ。


 で、3人さん、どうすんのよ!?


 帰れないじゃん!


 マートルは安心しているけど、もしかして、マートル・ガーディアン、ポンコツ!?


「おい、今ポンコツとか思っただろう!?」

「さあぁ?」


 そこにスルリ、とすばしっこく現れるサイザン君。


「おい、レイ・レッド、これ飲め!速効で効く、キマるからよ!」


 キマ……ち、ちょっと大丈夫なの!?


 差し出されたのは、間違いなく理科室のフラスコだ!

 中にはなんとも言えない、グロい色の液体?いやゲルか?


「お前、誰だ?」


「おい、そんなこと言うなよレイ!綿菓子、作り方教えてくれたじゃん!」


「綿菓子?知らんぞ?」


「ま、いいから飲め、このままだと、お前、魔力還元するぞ」


「サイザン、ここの人族は魔力が少なすぎる、魔力還元はしない」


「え?円、そうなの?なら、尚更早く飲め!どの世界のレイ・レッドにも、俺は死んでほしくない!」


 ……いいヤツじゃん、サイザン君。


次回から投稿は不定期になります。

目標は毎日なのですが、週2回程度になると思います。

サブタイトルは 【第17話】なぜか我が家に集合 を予定しています。

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