【第16話】獣人族の姫・これからどうする?
今晩は。
投稿です。
「マートル、大丈夫か?」
マートルは円を名乗った戦士に飛び込んでいく。
「うひいいいいいん、ごわがったよおおぉっ」
「マートル、円、さっさとずらかるぞ!勇者達が転移装置を片っ端から破壊している!帰れなくなる!ここはまだ異世界だ、帰ってから泣けよ」
円と目が合う。
こいつが円?
円は女の子じゃなかったっけ?
「この世界の獣人族か?」
「……」
なんの感情も湧き上がらない。
そして横の男の子がサイザン?
ゴブリンだった時の兄?
名前が一緒なだけか?
足下に落ちているブーメランを見る。
「威嚇だ」
いや、弾かなかったら当たっていた。
結構過激な人達だな。
パリン、カチン、パリン!
背中に刺さっていたガラスが、身体から押し出される。
床に落ちたガラスは割れ、身体の再生が始まる。
「サイザン、なんでここにエノンさんがいる?隣はクルミさんか?」
「俺達の世界のエノンさんは魔力還元している。これは別のエノンさん、異世界の、子供のエノンさんだ」
「そのエノンさんとクルミさんが、マートルを保護していたと?」
「考証、検証はあと!行くぞ!」
ちょいちょい。
マートル、円の袖を引っ張っている?
「服、もらったの」
……あれ?あげたっけ?貸したつもりだが?
「おい、だから急ぐぞ!円、マートル!」
「分かった、マートルは返してもらうぞ!」
マートルと目が合う。
「あのね、ありが……!」
ひゅん!
風の音と共に、3人は消え去った。
「……行っちゃった」
「私達も、保健室に行こう、ここは危ないよ」
私は二人を促し、保健室を目指す。
学校は更に混乱を増していた。
まあ、ね、校舎壊れたし、瓦礫が、ね。
魔獣は周辺にはいないし、その内落ち着くのかな?
怪我人はこれ以上増えないと思うけど。
保健室の周りは、怪我人でいっぱいだった。
「廊下、通れないね」
「取敢えず、水で洗おう!」
一体、何匹の魔獣が暴れたんだ?
水飲み場は空いていた。
「アッキー、バイ菌入ったら大変だよ、体育館に行ってみよう」
「あ、赤間くんも怪我したって?」
「……うん」
歯切れが悪いな。
何かあった?
体育館も人が溢れていた。
避難してきた人達、怪我人、先生に生徒達。
あ、白衣!
運良く保健のノブ先生に巡り会い、エノンの治療をしてもらう。
みんなの味方、保健の新庄信 (しんじょうのぶ)先生!
「なんなんだろうね、あの怪物!スマホもパソコンも、タブレットも使えないし、困る!ほい、消毒、完了!他、痛いところない?」
「先生、ありがとう!」
お、エノン、元気出た?
「どこが安全か分からないから、困るんだよねぇ」
ナビナナ、周囲に何かいる?
(いえ、有害な存在は確認できません)
判断が難しい。
「勝手に帰宅している生徒、先生もいるし、生徒の安全が第一なんだけどね」
え?先生帰っているの?いいのか教育者?
あ、教育者と言っても、家族があるし、お子さんだって。
あ!?
ここで私の左目は赤間くんを見つける。
青いお顔、なんと呼吸音までカウントできる!
呼吸が浅い?
重傷?
混雑して体育館の人混みをすり抜け、辿り着く。
「赤間くん!?」
「……よう、どこ行っていた?」
(重傷ですわン!)
私は、言葉を失う。
死?
(……あと半日ですわン)
気がつくと、赤間くんの両脇に美人姉妹が?
憔悴したお顔、涙の痕!?
チラリと私を見る。
「凄い音がして……体育館から出たら……怪物が……」
「私達を庇って……」
「カラ、焼くなよ?俺、両手に花だぜ?」
震えながら、赤間くんの左右の手をそれぞれ握りしめている、美人姉妹。
「そうね、でもさ私、エノン一筋だから」
「チェ、ごふっ、ゲホゲホッ」
「お医者さまは?」
玲門に聞いてみる。
「医薬品が足りないって、出来ることはするけどって……ぐすっ」
「私達なんて、放っておけばよかったのよ!」
まあ、赤間くんは誰であれ、庇ったであろうな。
!
背後に気配。
誰?
「おい、そこの二人、その手を放すなよ。そいつ、お前達の癒やしの波動で命を繋いでいる」
振り向くとそこに円がいた。
「え!?帰ったんじゃなかったの!?」
「今、サイザンが薬草を摘みに行っている。安心しろ、お前助かるぞ」
(ご主人さまン、お友達、助かりますわン!)
なんで?
(サイザンさまは、薬神ニトさまのご子息ですわン!)
ぎゅっ。
私の右腕を、ぶら下がるように抱きしめるマートル。
「フンフンフンッ、うん、いい匂い」
……何してんねん!?
おい、先程まで、泣いていなかったか?
お家に帰りたいって!?
「ふんふんっ!」
そんなにいい匂いなのかな?
円をチラ見する。
気まずそうな円。
いや、あんだけ格好付けといて?
まさか?
「いやぁ転送機、全部勇者に壊されちまってよ……」
「あと少しだったのにね!」
なぜか明るいマートル。
ああ、円とサイザン君がいるから、安心しているのか?
これは、絶大な信用だな。
この二人がいれば、マートルは、異世界でも怖くないんだ。
で、3人さん、どうすんのよ!?
帰れないじゃん!
マートルは安心しているけど、もしかして、マートル・ガーディアン、ポンコツ!?
「おい、今ポンコツとか思っただろう!?」
「さあぁ?」
そこにスルリ、とすばしっこく現れるサイザン君。
「おい、レイ・レッド、これ飲め!速効で効く、キマるからよ!」
キマ……ち、ちょっと大丈夫なの!?
差し出されたのは、間違いなく理科室のフラスコだ!
中にはなんとも言えない、グロい色の液体?いやゲルか?
「お前、誰だ?」
「おい、そんなこと言うなよレイ!綿菓子、作り方教えてくれたじゃん!」
「綿菓子?知らんぞ?」
「ま、いいから飲め、このままだと、お前、魔力還元するぞ」
「サイザン、ここの人族は魔力が少なすぎる、魔力還元はしない」
「え?円、そうなの?なら、尚更早く飲め!どの世界のレイ・レッドにも、俺は死んでほしくない!」
……いいヤツじゃん、サイザン君。
次回から投稿は不定期になります。
目標は毎日なのですが、週2回程度になると思います。
サブタイトルは 【第17話】なぜか我が家に集合 を予定しています。




