【第10話】赤い機神
今晩は。
少し急ぎ、この時間になりました。
ナビナナ、私、あれと戦ったこと、あるんだよね?
(はい、対戦成績は無敗ですわン)
まあ、私の身体能力、小さい時から、かなり異常だったし、これが本来の私か?
戦い方が知りたい、その知識のインストール?いやこの場合は思い出すのだから、修復?どのくらいの時間が掛かるの?
(3秒もあれば、充分ですわン)
たったの3秒!?
全力で走りながら、深呼吸を一つ。
知識だけだからね?変な感情や、再現はなし、だよ?
ほんと、過去に乗っ取られそうで、囚われそうで怖いのだ!
(はい、分かりました)
ホントかな?
ま、いいか。
んじゃ、お願い!
パシッ!
何かの音が響く。
あ、霊音だ!
?
霊音ってなんだ?
え?ここ?
日本庭園!?
いつの間に!?
か、身体が動かない?
直立不動だ!
(ここでの活動は、魔力が必要です)
誰!?
声だけ?
(ここの住人です)
ナビナナ?
雰囲気が似ている。
(私とナビナナは繋がっていますから、私のことはシルバーとお呼びください、アキさま)
アキ……さま?
そんな偉い存在じゃないわ。
アキくんとか、そらくん、でいいんだけど?
(……そのようなこと、言わないでください。私にとって、アキさまはアキさまです。他に呼びようがありません)
あ、なんか……凄く悲しそう雰囲気が漂ってきた。
この人にとって、私はそんな存在なんだ。
いったい、私はどんな過去を送ってきたのだろう?
不思議な感じだ。私はこの人を知らないが、この人は私を知っている。
それも生前の私をだ。
生前の私を、今の私の求められても困るけど、この人にとって、私は、死者に再び出会えた気分なのだろうか?
死んでしまって、もう会えないと思っていた人に、再び巡り会えた?そんな感じなのだろうか?
……まあ、悪いけど、私にとってはこの人、初めましてだが……。
過去の私と、今の私、一緒に見てもらうのも困る。
ああ、比較がイヤなのかな?
目の前に、キラキラと人影が現れる。
とんでもない美人さんだっ!
紙と鉛筆が欲しいな。
なぜか、レンズを向けてはいけない、と思った。
それは不敬にあたる。
肉眼で見て、描き留めるのは許される、そんな存在。
おそらくシルバーと名乗った人だろうが、これは人か?
衣装もヒラヒラキラキラ、凝っているな。
綺麗なお姉さんだぁ。
何処かで、遭っている?
あ、生前、遭っているのだろう。
ん?
そっとその細い指の手が、私の頬を挟む。
……心地よし。
ぷにぷにである。
まるでエノンのお手々だ。
え!?
お顔が近づいてくる!?
ち、ちょっと!?
な、な、何するのかな?
その赤いふっくらとした唇がほんの少しだけ開く。
チラリと白い歯が見える。
え!?
唇は、私の唇を通り越し、鼻を通り越し、目線を上に、あ、おでこ!
ぷちゅっ。
おおお、おでこにちゅーしたっ!?
あ!?
額から、生前の私の所業が流れ込んでくる!?
違う!額から、何かが解放されている?
私の全身にヒビが入り、表面がパラパラを割れて、古い私の破片が落ちて行く。
そんな感覚に包まれる。
(記録だけ、解放しましたが?私としましては、全てを解放したいのですが)
だめでぇす。
過去に、乗っ取られそうで怖いんです。
振り絞っても、そこまで勇気出ませんっ!
(そうですか、では、またのお越しをお待ちしております。ホルダー阿騎)
え!?
とてもその場所を離れるのは惜しかった。
ま、まだその場に居たい!留まりたい!と思わせる空間。
パチン!
目が覚める。
……あ、私の戦いの記録が、脳内にある。
うわっ!?
何これ!?凄い戦いの数々!
いつもボロボロじゃない!
周りの大人達、いったい、何していたのよ!酷いじゃないっ!
戦いの記録に意識を向けると、脳内にステータ画面が広がる。
……魔力不足でエラーばっかじゃん!
でも、馴染みがある。
これなら、行けそうか?
どうやって、記録を復活させたのだろう?
ナビナナ?何をしたの?
(……覚えていませんのン?)
?
何のこと?
(シルバーの名に、聞き覚えはありませんか?)
ない。
(やはり、記憶の持ち出しは出来ませんでしたか……)
?
なんじゃそりぁ?
(いえ、なんでもありませんわン。それでは、サイザナンシリーズ、3体、使用されますか?)
ええ、私の素性を隠して行動出来るのはこの3体だけ、みたいだし。
(制限時間はフルパワーコマンドで3分ですわン。魔獣を倒したならば、必ず魔石を回収してください、私の動力源ですのでン)
……ふーん。
動力源、電池みたいなモノか。
回収しないと、ナビナナ、止まるの?
(はい、ですわン)
……。
(あああっ!?今、ちらっと考えましたねン!?私って、そんなにうるさいですか!?ご主人さまンの補助をしようと、頑張っているににいいっン!)
あ、ごめん、ちょっとウザい時あるかなぁ、なんて考えた。
(……そんなぁ……ン)
悲しそうな声。
あ、ちっちゃい子に意地悪したような感じだ!
なんか、可哀想になってきたぞ。
で、でも、いないと寂しいかなぁ?
ちょっと上目遣い。
(!そうでしょう、そうでしょうン!魔石の回収、よろしくですわン)
で、これ、叫ぶの?
(はい、お約束ですわン!)
「ア、アクセス!」
パチッ、パチッパチッ!
今まで眠っていた回路が目覚める。
大きく空へジャンプして!
行くぞ!ジャケットの恩!
必ず助ける、おばさま達!
「オーバードライブ・ラブ・サイザナン・レッド!」
あっつううううっ!
赤い爪が燃えるように輝く!
急降下、目指すは市民ホール!
ドオオオオンッ!
市民ホールの天井をぶち抜き、避難しいた人達の前に立つ私。
逃げ惑う人達、裂けるように開いた魔獣の顔面を殴り飛ばす!
武器は?
ステータ画面に表示される武器の数々。
……うわっ……見た目と違って、武器だらけじゃん!
(この場では、剣をお勧めしますわン!)
腰辺りに手を回すと、パシュ、と内蔵されていた剣が飛び出す。
あれ?グリップだけ?
刃が無い?
摑んだ瞬間、燃え上がる剣身が現れる。
「ファイヤーブレード」
電子音みたいな声が響く。
……ちょっと恥ずかしいかも。
次回投稿は未定です。
が、毎日投稿したいので明日中には投稿したいです。
サブタイトルは 【第11話】瞬殺!×3 です。




