【第1話】炎の巨人との邂逅、これ三回目なんですけど!
今晩は。
MAYAKOです。
初めましての皆様も、お馴染みの皆様も、よろしければお楽しみください。
では、続 The Lily 前世の記憶は邪魔である 礼羽編 スタートです。
意識の焦点がふっ、と重なる。
綺麗にピントが合う感覚だ。
……どこだここ?
真っ暗だ。
この感覚、以前もあった。
何処かに光が見えるはず。
どこだろう?
小さな針で突いたような小さな光。
それは小さな、小さな穴にも見える。
……あった!
ほら、誰かが呼んでいるみたい、行ってみよう!
私はその小さな光を捕らえ、進み出す。
どのくらい歩いたろうか?
進んでいる?
近づいている?
辺りは真っ暗だ、比較するモノが見当たらないから、一向に分からないっ!
と、思った瞬間、一気に視界が広がった!
「わっ!」
辺り一面、炎である。
その轟音で、周囲は満たされ、あらゆるモノを焼き尽くす!
……熱くない。
……でも怖い。
……この感覚、どこかで?それに、ここ、知っている?
ぶわっ!と炎が膨れ上がり、人の形を取り始める。
*そこにいたか*
?
誰?
*わしじゃ、俺!*
?
向こうは私を知っているみたいだけど?
恐怖心は湧かない。むしろ……あ!?
おおおおおおっ思い出したっ!
炎の巨人さんっ!
*だよ*
だよ、じゃないでしょう!
皆はどうなりました!?
酷いです!あの世界で私は、何もやり遂げていないっ!
*そうなのか?…………?どうした?*
う。
*う?*
うわああああああん!
*!!!???*
駄目だ、号泣が止まらん!
みんな!みんなっ!
*そ、そう、泣くな、過ぎたことだ*
えええっ!?過ぎたことぉ!?
ひっどおおおおい!
確かにそうかも知れませんが、他に言葉があるあるでしょう!?
そうあっさりと、割り切れるモノではありません!
くやしいし、悲しいし……うわあああああん!ごめんよ、エノン!エノン!シンお姉ちああゃん!
うぐっうぐっ、アイお姉ちゃん!アイお姉ちゃん!
みんな、みんなぁ!イオリちゃん、イオリちあああああん!
どのくらい泣いたのか、時間感覚がないので分からない。
かなり長い時間、泣いていたような気がする。
その間、巨人さんはじっと、私を見つめていた。
*そんなに悲しいか?*
こくこく。
みんなにもう会えない……。
軟弱者と笑います?
こんなに悲しいことはない。
もうあの世界には、あの時間には戻れない!
ハピ子……ん?あれ?
その時、不思議と力が湧いてきた。
何だろう?ハピ子を思いだしたら、力が湧いてきたぞ?何でだ?
ハピ子って!?
なんだろう?泣いてばかりいられない気がしてきた!
私にとって、ハピ子ってどんな存在なの?
あ、ごめんハピ子、勝負つかないままだ!
怒るだろうなぁ、ハピ子。
あ!
赤ちゃんは、どうなりました?
*みな、元気に生れたぞ*
そうですか。
赤ちゃんの、お母さんも?
*ああ、元気だ*
会いたかったな、ちっちゃい皆に。
でも、門は閉じた。
皆を、守ったよね?
……質問をいいですか?
*手短にな*
木山天狗さまって天狗さまですよね?
*そうだが?*
では。
パピーって何者なんです?
*!*
私の魔力を封じたり、過去、旅をしたり、あ、私にとっては未来ですけど。
あの巨人さん、はいったい何者なんです?
朱槍の強化とか、凄いブレスとか。
私がお父さんって、言うと、凄く喜ぶのです。
パピーって何です?
*それには……答えられぬ*
え?
*あのお方は、不可侵なのだ*
あの……お方!?
もしかして、炎の巨人さんの上位存在!?
まさか!
*何も答えられぬ、許せ*
余程の事情があるみたい?
勇者や魔王のシステムについても?
*ああ、答えられぬ……いまケチ、と思ったな?*
あわわわっ、ごめんなさい、少しだけです、ケチと思ったのは!
……私は上手く戦えたのでしょうか?
*真杖まで辿り着くとは、大したものだ*
そうなのですか?
*ああ、それに人々の努力は凄いな*
?
*不安定、稚拙ではあるが、特にあのズッ友システムは感心したぞ、あのようなものを作り出すとはな、あれは、ドワーフの王がお前のことを思い、命を削って作り上げたモノだ*
!
炎の巨人さん、公認!王さま、きっと喜ぶ!私も王さまが誉められると嬉しい!
それから、もう一ついいですか?
*なんだ?*
ポシェットくん、私の名前を知っていました。秋津川さんって、彼、誰なんですか?
*それも答えられぬ、お前が思いださなければならないことだ。その方が彼も喜ぶ、ふふっ*
ふふっ?
頑張って思い出してみるか……私が、いなくなった後、みんな幸せだったんだろうか?元気に暮らせたんだろうか……。
*……*
どうしたのですか?炎の巨人さん?
*お前は、あの世界の者達に、愛されていたぞ*
!
私は巨人さん言葉がとても嬉しく、笑ったけど、同時に涙が、流れた。
*ああ、時が満ちた、世界がお前を呼んでいる、次こそ摑め!*
え?
*真杖は生きている、あの者は種を撒き散らし、植物のように増えるのだ*
その時、異様な魔力を感じた。
隕石のような巨大な固まりが、炎の巨人さんを強襲したのだ!
ドオオオオオオンと大質量がぶつかる。
そして轟き、周囲を破壊する乱暴な魔力!
炎の巨人さんはその固まりを、いとも容易く右腕だけで振り払った。
*荒魂よ、この程度か?*
虚空に向って叫ぶ炎の巨人さん。
まさに炎の気性!
私とお話ししている時とは、別人だ!
……人ではないか。
あ!?そもそも、炎の巨人さんって、なんだ?
ぶわっ、と炎の大地から浮かび上がる、真紅の燃える槍。
次々に飛来する、恐ろしい固まりを燃える槍で粉砕する。
……炎の巨人さんにも、敵がいる!?
*ギルガメシュよ、お前の友、エンキドウを忘れるなよ*
き、巨人さん!?
え!?
雨のように降り注ぐ巨大な魔力。
きゃっ!
その内の一つが、私を直撃した!
私は蝋燭の火がふっ、と消えるように、その場から消えた。
いや、消えたのは炎の巨人さんだろうか?
それとも、みんな吹飛ばされたのだろうか?
魔力の直撃は、私の『何か』を壊した。
雀の声。
パチリ、と目が開く。
また、夢を見た。
あの巨人の夢だ。
炎の巨人、何か、お話ししているのだが思い出せない!
もどかしい!
最近、変な夢をよく見る。
子犬に変身する夢だったり、黄緑色のゴブリンみたいな怪物になって、怖い獣と戦ったり。
……ゲームのやり過ぎかな?
あ、自己紹介!
私の名前は秋津川空、そらと書いてアキと呼びます。
からっぽのカラちゃんと言う悪友もいるけど、カラちゃんはあまり好きではない。
現在、東野台陸中学の2年生だ。
……変な夢の数々……まさか、中二病発病ではあるまいな?
次回投稿は 2023/08/09 20時から21時の予定です。
台風の影響で変わるかもしれません。
サブタイトルは 好きでもイヤでも朝は来る です。
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