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【短編版】スーパーヒロイン・スターライト

作者: MrR

せっかくなので投稿してみました。


 =登場人物紹介=


 リンダ・アイゼンバーグ

 

 金髪の髪の毛。

 青い瞳。

 温和そうで優しそうな顔立ち。

 白い肌。

 身長170cm代。

 120cm近くのとんでもない爆乳。

 全体的にムチムチしている体付き。

 

 孤児院出身でプロレスラーと正義のヒロインに憧れている少女。

  


 ジュディ・ライア―


 長い金髪以外はほぼリンダと外見的容姿は一致している少女。

 リンダと同じ孤児院出身。

 彼女もまたプロレスラーと正義のヒロインに憧れてる



 【本編】 


 Side ??? 


 黒塗りの巨大円盤が地球に向かっていた。

 

 彼達はブラックスター。


 デス・ブラックを首領とする恐るべき悪の軍団である。

 

 怪獣兵器、配下の宇宙人、戦闘ロボットなどを保有し、数々の星を死と恐怖に陥れてきた。


 そして次の目的は地球の侵略。

 

 さらには"とある鉱物"の入手である。


 

 ――ゆけ!! デスザウルス。


 そして本拠地である巨大円盤から怪獣兵器、暗黒星獣が放たれる。



 Side リンダ・アイゼンバーグ


 リンダ・アイゼンバーグ。 


 金髪の髪の毛。

 青い瞳。

 温和そうで優しそうな顔立ち。

 白い肌。

 身長170cm代。

 120cm近くのとんでもない爆乳。

 全体的にムチムチしている体付き。

 

 プロレスラーと正義のヒロインに憧れる少女。


 今日もリンダと同じくらい爆乳の少女。

 長いブロンドヘアーのジュディと一緒に女子プロレスラーになるためにトレーニングに励みながら学業やアルバイトを頑張る。


 一方で孤児院の院長のアマネさんは夢を目指すのはともかく、アルバイトしたり大学の進学を諦めたりするのは苦言を呈されていて悩んでいた。


 孤児院はわりと裕福な方だ。


 問題も少ない。


 アマネさんが好きだし言う事を聞きたいと言う気持ちもある。


 だけど恩返しをしたいと言う気持ちもあるのだ。


 そんな悩みを抱えながら今日もジュディと一緒に学園に通う。


 ジュディはリンダと比べて大人しいところがある。

 容姿も髪の長さと目の形以外はほぼ同じ(もちろん胸の大きさも)で姉妹に思われる事もある。


 だけど目指す未来は一緒だ。


 だけどやはりと言うか外国人で可愛くて大きな胸なのは色々と問題を起こす。


「相変わらず凄い胸だな」


「未だに慣れないよ」


「刺激が強いよ。教師連中だって噂してるぜきっと」


 などと男子の視線を釘付けにし


「どんな生活したらあんな胸になるのかしら」


「羨ましいと言うよりあのサイズは退くわ・・・・・・」


「服とかブラジャーどこで買ってるのかしら」


 などと女性徒達から呆れられたり、嫉妬されたりする。

 

 しかし当の二人はと言うと―― 


「キュー・・・・・・なんか昔からこうなんだよね」


 と、脳天気にリンダが返し。


「デスね」


 ジュディも同意する。

 二人とも天然と言うか無防備と言うか。

 あまり気にならないようだ。


 それに学生社会と言う奴は何時の時代も複雑怪奇。

 特に男性の場合、ジュディやリンダと関わるとスケベ認定されるような風潮が出来上がってるので告白とかそう言う話はあまりなかった。

 



 クラスではリンダとジュディは何時も二人。

 孤児院が同じでクラスも一緒。

 基本誰とでも分け隔てなく接する明るい人柄の子達なので孤立する事はなかった。

 

 また大きな胸と恵まれた容姿で性格の悪い人間を良くも悪くも選別出来たり、知らぬところで女性同士の結束や親衛隊みたいな壁が出来たりしていた。(性格の悪い女子やスケベ男子は弾かれる仕組み)


 そんなクラスの事など知らずリンダとジュディは体育館で行われる自分達が所属する女子プロレス部の公開試合について話し合う。


「なんか分からないけど沢山人が来るみたいだよ?」


 リンダが何故かその事に不思議に思い、


「私達の御蔭とか言ってました」


 ジュディはそう言うが本当にそれだけ自分達が魅力的なのか疑問視していた。

 

 リンダは「キュ? それホント?」と尋ねてジュディは「そうみたいデス」と正直に答えた。


 友人の女子はともかく男子達はなんかもう、"赤信号みんなで渡れば怖くない"的なノリで参加していた。


 十代の男子と言うのは性に敏感なお年頃であると同時に女子からスケベ認定されるのも恐い年頃なのである。

 にも関わらず参加するのは度胸があると賞賛すべきか、呆れるべきか。

 

「キュキュ。ともかく頑張らないと」


「そうデスね」


 自分達の魅力溢れすぎるボディと人柄が要因なことなど知らず、成功させるため事を誓うのであった。


 その一方で――


「あの体でプロレスするなんて凄い度胸よね」


「ある意味尊敬するわ」


「私なら無理。ぜったい男子のスケベな視線の集中砲火食らうわ」


 などと好き放題言いつつ二人を不安に思っていた。



 リンダとジュディは放課後。

 アルバイトを終えて帰宅途中の事だった。


「キュキュ!? な、なんなの!?」


「さ、さあ、分からないデス!!」


 突如として天空の彼方より二つの手のひらサイズの、金縁で飾られた青い鉱物がそれぞれリンダとジュディの元に一つずつ飛来した。


 更に驚くことに鉱物から女性の声が呼びかけられて二人は驚愕する。


『このスタージェエルに選ばれし者よ。この地球に危機が訪れています。私は手助けは出来ませんが戦う術を授けましょう』


「え、え? ジュディ? 分かる?」


「さ、さあ?」


『敵の名はデス・ブラック率いる暗黒の集団、ブラックスター。このスタージュエルが届いた頃には既にもう戦いが始まってるかもしれません。願わくばこの力が宇宙に平和をもたらす事を望みます』


 そして声は消えた。

 二人は首を傾げるが同時に金縁の青い鉱物から情報が流れ込んでくる。

 


 孤児院に戻り、二人の相部屋で今日の事を話し合っていた。

 

 自分達が女の子向けの変身ヒロインアニメよろしく選ばれてしまったらしい。


 相手は邪悪な宇宙人で地球に向かって来ている。


 二人にはどうすれば良いのか分からなかった。


「「どうしましょう・・・・・・」」


 リンダとジュディは浮き世離れしているところがあるが流石にこんな話、信じてくれるとは思わなかった。

 明日は待ちに待ったデビュー戦であるが不安な気持ちもある。

 



 Side 航空自衛隊 戦闘機隊


 まだ情報は伏せられているが世界中は大騒ぎだ。


 宇宙に突如として現れた円盤。


 そこから放たれた、謎飛行物体。

 

 それがよりにもよって日本に降下してくるのだとか。


 自衛隊の戦闘機にはもちろんスクランブルが掛けられたが攻撃は出来ない。


 対応を間違えれば宇宙戦争勃発だからだ。


 例え相手が既に国際宇宙ステーションを問答無用で破壊したとしていてもだ。


 戦闘機パイロット達の操縦桿の握る手が、体が緊張で震える。


 相手は某国の領空侵犯してきた戦闘機ではない。


 未知の宇宙生物らしいからだ。


 その姿は間もなく見える。


『なんだアレは!?』


 そして戦闘機乗りは視てしまった。


 黒い宇宙生物。


 戦闘機は小型で15m(コクピットがある先端からジョットエンジンがある後部までの長さ)。

 大型で二十m越えである。


 宇宙生物の大きさは大体10mぐらい。


 恐竜サイズで学校三階分ぐらいの大きさだ。


 某光の巨人に出てくる怪獣の大きさは50mだがそれでも、宇宙から大気圏突入して地球に降下してくるその様はまるで特撮ヒーロー物のようであった。


 黒い一本角に刺々しい白い背びれ。

 そしてどう猛かつ凶悪そうな恐竜のような怪獣。

 いや、宇宙生物と言えば良いのだろうか。


 それが此方の姿を確認した瞬間、突然口から光線を出して攻撃してきた。

 戦闘機達は光線で両断されるように呆気なく撃墜される。



 Side リンダ・アイゼンバーグ


 リンダは練習試合の準備を中断することになった。

 と言うのも学校でリングの設営中に緊急事態が起きた事をスマフォで知ったのだ。


 具体的に言うには宇宙人が現れて、宇宙から現れた怪獣がこの近辺にある自衛隊の駐屯地に落下して破壊の限りを尽くしているらしい。

 学校は避難所の一つとして解放される事となった。


「スタージュエルの情報は本当だったんデスか?」


「そうみたいデス・・・・・・」


「戦わなければいけないでしょうか?」


「だと思いマス――」


 スマホで戦闘の様子を見る。

 命知らずな報道関係者が遠方から自衛隊の駐屯地の様子を生中継で報道していた。

 まるで怪獣映画のようだった。

 黒い怪獣が火を吹き、角から電撃を撒き散らし、背びれから光線を撒き散らして次々と駆けつけた戦闘機や戦闘ヘリを撃墜している。


 あの様子では戦闘機やヘリの人間は死んでいるのは間違いない。

 自衛隊の駐屯地の人達も大勢死んでいるだろう。


「――私、いくよ」


「きをつけてくだサイ」


 そして体育倉庫の裏手の物陰に隠れてリンダ・アイゼンバーグはスタージュエルに教えられた手順で――スタージュエルを掲げて変身する。


 体全体を光のカーテンが覆う。


 内部では――


 頭に青い宝石が付いた金のリング。

 胸元の上にも宝石がつく。

 腰回りを金色のリングが絡みつく。


 腰、腹回り、股部分は青、胸は赤い生地で星のマーク、120cm近くの胸の谷間が丸見えのレオタード。

 腕は袖口と手首が金色に飾り付けられた赤い長手袋、手はオープンフィンガー式。

 リンダのムチムチした両足はレッドのサイハイブーツで覆われる。

 

 自分がなりたかったレスラー衣装、憧れのスーパーヒロインとしての姿になった

   

 そしてリンダは空へと飛び去った。

 慣れない空中飛行だが時間経過と共にどんどん慣れていく。

 速度は軽く戦闘機以上は出しているかも知れない。

 邪悪な波動を辿り――そして敵を見つけた。

 

「アレが敵――」


 黒い怪獣。

 スタージュエルが言うには暗黒星獣。

 一種の生物兵器らしい。

 サイズは10mだが生でこうして近付いて見下ろすように視るととてつもなく大きく感じた。

 

(とにかく早く倒さないと!!)


 自分が何を出来るかは分かるが、いざ戦うとなると思うように体は動かない。

 取りあえずリンダは両足を揃えて顔面目がけてドロップキックをかました。

 

 ズゴオオオオオン!!と言うバトル漫画のような轟音が周辺に木霊して怪獣はよろめく。

 お返しとばかりに電撃を放った。


「きゃあああああああああああ!?」


 リンダに電撃は直撃。

 普通なら黒焦げになるところだが――


 少しよろめいて、体のところどころが焦げているだけで済んだ。

 続いて大きな手で掴まれ、駐屯地内のアスファルトの地面に叩き付けられる。

 

(凄い痛い!! けど負けられない!!)


 持ち前の強い正義感。

 そしてプロレスラーとしての練習の日々を思い出しながら受け身を取り、痛みに耐えながら立ち上がる。

 続いて猛攻。

 口から光線が放たれ――爆発した。


 リンダは――


「きゅ、きゅ――危なかったです・・・・・・」


 光のシールドを張って防いで見せていた。

 思わず安心してへたり込む。

 そんなリンダの気持ちなど知る由もなく、踏み潰し攻撃が来る。


「きゅ、きゅ?」


 慌てて再度シールドを張ろうとするも間に合わず、思わず身を屈める。

 とても重い。

 だが思ったよりも重たくはない。

 頑張れば押し返せそうだと思い、リンダは飛び上がる要領でそのままドンドン上へ上昇してあっと言う間に暗黒星獣を引っ繰り返す。


「えーと必殺技は――」


 空中に飛び上がり、まるで説明書を確認するかのように頭の中で検索し――その時、まだ人がいるのを確認できた。

 男の自衛官らしき負傷者二名。

 

 慌てて救助に駆けつける。  


「だ、大丈夫ですか!?」


 当然の事ながらリンダの凄い恰好に二人の自衛官は驚く。


「うぉ!? き、君は一体!?」


「す、凄い大胆な恰好だな・・・・・・」


 基本、自衛隊の男子は女慣れしてないのが多い。

 普段のリンダでも目の毒なのに今の昭和アメコミスーパーヒロイン染みた恰好はもっと目に毒であり、二人の自衛官は恥ずかしそうに目を背ける。


 そんな時、怪獣が尻尾を叩き付けてくるが――


「大体この力の使い方が分かってきました!!」


「う、受け止めた!?」   


「す、すげえ・・・・・・まじもんのアメコミヒーロー?」


 自衛隊の男二人は呆れながら怪獣の尻尾を受け止めたリンダをどう受け止めて良いのか分からないような視線を送る。


「どこか人が居ない場所に投げ飛ばさないと――」


「な、投げ飛ばす?」


「ちゅ、駐屯地の外は逆にまずい。駐車場の方に投げ飛ばせば――」


「分かりました!!」


 相手は50m級の怪獣ならともかく10m級の怪獣である。 

 

 駐車場で戦闘フィールドにするなら周辺の被害を抑えられる。


 リンダは空中に飛び上がりながらグルグルと回転し、10mの巨体を駐車場の方に投げ飛ばした。


 投げ飛ばされた怪獣は駐車場にクレーターをつくり、グロッキーになる。


 そして頭部のリングについた宝石を相手に向けた。


「スターバスター!!」


 手で拳銃の形をして逆にして両手の人差し指を青い宝石に挟み込むような形にして照射。

 黄色い光線が怪獣の胴体に直撃して爆発。

 体はバラバラになり四散する。


「勝てたんだ・・・・・・」


 リンダは敵を倒したのを確認してその場から立ち去った。

 

 これが初めての戦い。


 そしてブラックスターとの死闘の幕開けであった。



 あの戦いから幾度かの戦いを経験した。


 敵はあの手この手――怪獣だったり怪人だったり、ロボットだったりと資格を差し向けてくる。


 ジュディ・ライアーもスターカウリングへと覚醒し、危ない場面も何度かあったが連戦連勝を重ねている。


 そのせいかニュースは二人の爆乳スーパーヒロインのことで話題騒然だった。


 スタージュエルの認識阻害機能が上手く働いているのか正体はバレてはいなかった。


 それでも未だに宇宙人の侵略、最悪の事態、終わりへの始まりなどと暗い方面の報道を耳にすることもある。


 リンダとジュディの二人はは宇宙人と同じく遠い星からやって来た正義のエイリアンだとか、色々と謎が包まれた存在みたいに報道されており、、最終的には「有力情報求む」で締めくくられるのが殆どだった。


(最初は嬉しかったけど・・・・・・)


 だけど本物の死闘はそんな浮ついた気持ちが吹き飛ぶような物だった。

 テレビの中の美少女戦士達はこんな恐怖や苦痛に耐えながら戦っていたのかと改めて尊敬の念を抱くほどだ。

 

 ともかく今日の学校は休み。

 アルバイトも非常時続きなのでなしである。

 

 リンダは気晴らしにランニングでもしようかと思った。



 ジュディと一緒にランニング。

 近所の人にとっては胸のサイズ的な問題でとても目に毒ではあるのだが常連さんからすればもう見慣れたもんである。

 公園近くの自販機でジュースを買って休憩し、ジュディと話し込む。


「キュー最初は嬉しかったけど、どんどん不安が広がってきますね」


「リンダ――そうデスね」


 二人はシリアスな雰囲気で話込む。


 道路を見ると自衛隊の車両やパトカーなどが多く見掛けられた。

 

 上空もヘリが飛び回っている。


 そのさらに上の宇宙ではデス・ブラック率いるブラックスターの円盤が待機している。


 難しいことはよく分からないが弾道ミサイルによる攻撃やら、交渉やらで偉い人達の意見はバラバラで何が何やらである。

 

 ともかく大人達は頼りにならなそうだと言う印象だった。


「おう。こんなところにいたのか」


 と、ここで長い赤い髪の毛で美人だけど野性味が感じられる美女が現れた。

 衣装は自分達と同じく動きやすい短パン半袖でランニングシューズとトレーニングに適した背格好だ。

 

「あ、焔部長」


 リンダはちょっと照れくさそうに呼びかける。

 焔 ヨウコ。

 リンダとジュディが所属するプロレス部の部長。

 よく二人の爆乳にセクハラをかましてくる。

 

「やっぱし凄い爆乳だな?」


「キュ、キュー・・・・・・流石にここではやめてください」


「私もそこまで鬼じゃねえよ。折角のデビュー戦残念だったな。あれから部活もロクに出来なくて――まあこればっかりはしゃあないか・・・・・・いきなり宇宙人だの侵略だの実感湧かないよな」


 そう言って焔部長は自販機でスポーツドリンクを買う。


「しかも謎の女戦士が倒したと来た。一体誰なんだろうな」


「さ、さあ?」


 リンダは内心ばれるんじゃないかとヒヤヒヤしていた。

 ジュディもそわそわしている。

 二人とも嘘をつくのがとても苦手な方だ。


「まあこんな状況下だ。暇で暇で――トレーニング付き合ってくれ」


「は、はい」


 リンダは同意した。

 ジュディも「分かりマシた」と頷く。



 軽いトレーニングしながら三人は談笑する。


「で? お前ら恋愛とかはしないのか?」


 ふと焔部長は三人にそう尋ねた。


「キューそれはその――」


 リンダは顔を赤くし、


「私もデス――」


 ジュディも表情を朱に染めた。 


「反応が初心で逆に心配になってくるな。まあお前らなら作ろうと思えば作れるだろう」


 その一言にリンダは「きゅ? そうですか?」、ジュディは「ちょっと自信ないデス」と返事する。

 

 この二人の態度に焔は露骨に呆れてしまう。


「は~これだもんな~今時小学生でもSE○のやり方知ってる時代なのによ」


 その一言にリンダは更に顔を真っ赤にして「ちょ、ちょっと焔部長下品です」と返す。


「まあ男には気をつけろよ。その体でそんな性格だからお前らの事を狙ってる男子は大勢いるからな。」


 その言葉に言い返せず、リンダは「は、はい」、ジュディは「・・・・・・分かりマシた」と暗くなりながら返事をした。


 そして――


「ここはプロレスラーなら気合入れて張り倒してやりますよぐらいは言わないとダメだぞ」


「キュキュ!? 突然胸を揉まないでください!?」


「おー元気出た出た。やっぱりこの方法が一番だな」


 突然爆乳を揉まれて慌てて振り解くリンダ。

 焔部長は快活に笑って「してやったり」な表情をする。

 ジュディは自分は狙われるんじゃないかと身構える。


 焔部長は笑っていた。


「・・・・・・知らない男の人とはともかく、クラスの男子とも関わるって事なのかな?」


 リンダの問にジュディは

 

「だけど焔部長の言う通り私達の体って、そのヤラシイみたいだからそれ目当てでよってくる人は多いみたいデスね」


 と返した。

 

 クラスの女性達は口酸っぱく心配するように言っているので実際その通りなのだろう。


 本当は皆と分け隔てなく仲良くしたいが世の中そうもいかない。

 特に男とは歳を重ねるごとに見えない壁のような物を感じ初めていた。

 その前に他の女子がシャットアウトするので関わりようがないのだが。


 理由は焔部長が言ったような理由だろう。

 他のクラスメイトをそれを分かっている。

 だから真剣に自分達を思っての行動なのだ。


「本当に純粋に育ったんだな二人とも。まあ、そんなだから皆が惹かれたんだろうけど」

 

「うん? どう言うことですか?」


 その焔部長の一言にリンダは疑問に思った。


「何時までも子供のままじゃいられないからな。時間の流れの中で、色んな事を体験していくウチに現実って奴を思い知って妥協点を探しちまうのさ。人間って奴は」


「焔部長も?」


「ああ。正直自分の進路についても迷っているよ。だからハッキリしないウチは大学に進学かなとも思ったけど、大学行くのもタダじゃ無いからな。テキトーな大学にってのもアレだし、だからと言ってプロレスラーだけってのも気が引ける。最近親の気持ちって奴が分かってきたよ」


 自分達が知らない意外な焔部長の顔だった。

 

「・・・・・・ウチの院長先生もそんな感じなのかな」


 ふとリンダは院長先生の事を思い出す。

 院長先生も同じだろうか。


「ま、将来――十年、二十年先とか考えても分かんねえよな。突然災害だのなんだのに巻き込まれるかもしれないし、今見たいに宇宙人の侵略とか想像もつかなかった。だけど受け身のままダラダラ過ごすのは間違いなんだろうな」


 まるで教師のように自分の考えを述べる焔部長。

 正直意外だった。


「人生勉強が全てじゃないって言う奴もいるけど、全く勉強しないといけないってワケでもねえし難しいよなホント」


「あの、その、なんで私達にそこまで?」


 リンダは当然の疑問を述べる。


「さあな。正直不安なのかもな。こんな近くに宇宙人とか現れて、侵略者が出てきて。人生設計が分からなくなって。それにお前らの事もなんだかんだで心配だし――よくわかんねえや。アハハハハ」


「部長・・・・・・」


「・・・・・・正直言うと将来が不安なんだよ。そろそろ引退しなきゃだしな。で、ふと考えてみた。自分の人生って奴を。そしたら不安が増してきてちょっとって感じなんだ」


 そして焔部長は空を見上げた。


「でも、夢は諦められないんだ。同世代のスーパースターや今日本で頑張っているレスラーみたいになれるかなって」


 この時二人は焔部長に複雑な感情を抱いていた。


 大人の女性みたいに大人びていて。


 だけど、とても寂しくて、悲しそうだった。


 二人が取った行動は。


「ちょっと何抱きつくんだ!? 苦しいって!? 場所を考えろ!!」


「ごめんなさい! とても悲しそうで、辛そうだったから――」


「そうです。焔先輩らしくないデス!」


 と二人は泣きながら焔に抱きついていた。

 焔は恥ずかしくなって二人を引き剥がそうとするが二人は女性にしては信じられない程の馬鹿力だ。

 ルックスだけでは女子プロレスラーは務まらないからこそ、焔部長達プロレス部の皆は二人を認めたのである。


 そして二人――リンダとジュディは思った。


 あの夢へ全力に追いかけていた平和な時間を取り戻そうと―― 

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[一言] 心が温まる話でした。
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