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「ファインダー」

作者: まきのはら。

初投稿です。

1時間程度で作ったので完成度は低いですが読んでみてください。

僕の彼女が亡くなって2年が過ぎようとしていた。


僕は、大学4回生。就職活動真っ只中。部屋は1DK。一人暮らしには充分だ。2年前までは、同じ大学の2つ上の彼女と暮らしていた。彼女は交通事故で亡くなったのだ。彼女が使っていた物や大切にしていた物はひとつのダンボールに閉まってある。今日は、彼女の誕生日だったから亡くなってすぐに片付けてから1度も開けていないダンボールを開けてみようと思った。開けてみると一緒にゲームセンターで取ったぬいぐるみや誕生日に送った手紙などが入っていた。他には、カメラとたくさんのアルバムが出てきた。彼女はカメラがとても好きだった。家の中でもしょっちゅう撮っていた。アルバムを開けると、写真に映っているのは僕ばかり。洗濯物を畳んでいる僕。寝ている僕。ご飯を食べている僕。2人で映っている写真はほとんどなかった。普段から彼女に「2人で撮らないの?」と聞くと、「君との時間を思い出として残しておきたいんだよ。」といつも言っていた。彼女は記憶障害が定期的に出てしまうのだ。それも、僕との記憶だけ。付き合う前は、友達などの記憶良く無くしていた。その当時は、何故か僕との記憶は凄く覚えていてくれた。しかし、告白しようと決めていた日。LINEの連絡が突然返って来なくて大学で何故返してくれないのか聞こうと話しかけると困り顔で「どちら様ですか。」と言われた。「え…。」っと思わず言ってしまった。「LINEたくさん送られて来てませんでしたか?」と聞くと「君だったんだね」と笑顔で答えた。先輩はLINEを見返して「私すごく楽しそう…。」と呟いた。僕は告白するつもりだったが先輩をご飯に誘った。二つ返事でOKを貰った。それから先輩は忘れないようにLINEの名前の最初に「可愛い後輩」と入れていると聞かされて僕は少し照れた。そして、クリスマスの日に告白して付き合うようになった。同時に僕の家で同棲することも決まった。大学の先輩から僕の彼女になった。彼女との生活は毎日が楽しくて新鮮だった。勉強も出来るのでテスト前になると勉強会したり、ご飯も交代で作ると言ったのだが、彼女が「ご飯は私が作る!」の一点張りでその根気に負けて彼女がご飯を作ってくれていた。その代わり、他の家事は僕がするということで話は収まった。

彼女はインドア派であまり自分から外に出たがらない。唯一、外に出るのがカメラを持って出かける時くらいだ。なぜカメラを好きになったのかを聞くと、「私、記憶がたまに無くなっちゃうからさぁ。カメラで撮っとけば見返した時にこんな所行ったんだなぁって振り返れるでしょ。」とニコっとして答えていたが少し寂しさも感じた。だから家でも僕を撮ったりベランダに出て夕日を撮ったり何気ない日常を彼女はよく撮っていた。

僕は、彼女の誕生日の日にブレスレットをあげた。凄く喜んで泣いていた。彼女は嬉しくなるとすぐ泣く癖がある。そんなところも可愛いかった。「ずっと付けるね。」と涙でクシャクシャになった顔で笑いながら言ってくれた。

その二週間後が僕の誕生日で、彼女は張り切って大学の授業が終わって直ぐに帰って晩御飯の買い出しとケーキを買いに行くと言っていた。僕は、講義が19:00まであったので帰ったら準備が出来ている状態にしておくと言われたのですごく楽しみにしていた。17:30に講義が終わって次の講義まで休憩している時に彼女から電話がかかってきた。なんだろうと出てみると…。「救急隊員です。??さんのお知り合いですか。」と言われて「はい。」と答えると「??さんがたった今トラックに轢かれて意識がない状態なので直ぐに○○病院まで来てください。」と言われた。僕は頭が真っ白になった。気が付くと病室の前に座っていた。それに気づいてから3時間が経った。病室の扉が開いた。先生に駆け寄り「大丈夫ですよね!?」と問うと先生は、「手は尽くしましたが…。」と答えた。僕は膝から崩れ落ちた。それから先生に別の部屋に呼ばれて、「これを。」と渡された物は僕があげたブレスレットだった。「周りで見ていた人が言うには、信号のない横断歩道でこれが外れて落としてしまい拾いに戻る時にトラックに轢かれたみたいで轢かれた後もこれだけは握りしめていた」と聞き僕は涙が止まらなかった。「どうして。」と言った時にあの時の記憶がフラッシュバックしてきた。「"ずっと付けるね。"」あの時の言葉と顔を思い出した。「その事はちゃんと覚えてたんだ。」僕の事をどれだけ好きで居てくれたか。僕の為に誕生日の準備をしてくれて僕のあげたブレスレットを意識がない状態でも離さないでいてくれた。それから、少ししてから家に帰った。すると部屋はHappybirthdayと飾られていた。ほんのり彼女の甘い匂いもした。その日は一睡も出来なかった。

彼女のお葬式の日。僕はブレスレットを棺桶の中に入れさせてくれと彼女の両親にお願いをした。彼女が大事にしてくれたブレスレットを天国でも付けられるようにと。彼女の両親は入れていいと言ってくれたので、手紙とブレスレットを棺桶に入れた。

アルバムを見ていたら昔のことを思い出していて外は夕日が出ていた。「なにやってんだ俺。」と自分に言い聞かせた。僕はダンボールの中にあったカメラを手に取り部屋から夕日を撮ろうとファインダーを覗いた。そこには彼女が嬉しそうに僕を撮っている姿が見えた。すると、ボヤけて見えなくなり「あれ?」とファインダーから目を離すと、自分が泣いていることに気づいた。彼女との楽しそうな生活を幻覚だろうけど見た僕は泣いてしまっていた。「もっと一緒に居たかったなぁ。」と泣きながら夕日をカメラで撮った。次の日に、その写真を現像して彼女のアルバムに加えた。「"りあ"誕生日おめでとう。」と言ってダンボールにアルバムをしまい押し入れに片付けた。

そして、僕は今就職活動をしている。カメラに携われる会社に就職しようと頑張っている。なぜなら"りあ"も将来カメラ関係の仕事に就きたいと言っていたからだ。"りあ"が良く言っていた「みんなにもファインダーから見える世界を知ってもらいたい。」僕も"りあ"が見てきた世界を色んな人にも感じてもらいたい。これが僕の夢になっていた。それを実現させるために"りあ"のぶんも僕が生きてカメラの良さを伝えていきたい。そして、僕がそっち(天国)に行った時に色んな話が出来るように…。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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