慟哭
強い朝日が身を刺す。
私は蹲っていた。膝を抱えたまま泣き叫んでいた。
公園の真ん中で。
傍から見たらただの狂乱した不審者であろう。自分でもそれは分かっている。
でも泣かずにはいられなかった。叫ばずにはいられなかった。
周りは怪訝な表情でこちらを僅かに一瞥してから、何か汚いものでも見たかのように顔をそむける。
もう何時間こうしているのかすらわからない。そんなこと気にしていなかった。
何で泣いてるんだっけ。そんなこともどうでもよくなっていた。
いつの間にかすり替わっていた。目的と手段が。
自分に起きた何かを紛らわすために、多分とっさにこんなことをしていたはずなのに、今はこの行為を行うために、自分に何かが起きたと考えてしまう。
こんなものは最早自慰行為と何ら変わりはない。
恥はなかった。涙と一緒に流れていったようだ。
もう水分も出尽くしたのか、喉も嗄れたのか。出てくるのは小さな、唐突な痛みに喘ぐような嗚咽だけだった。
それでも私は泣く。声も出ないのに叫び続ける。
そうしなければならないという強迫観念にとらわれていた。
もうどうしようもなかった。止まらなかった。止まれなかった。
どんな些細なきっかけだったのだろう。私をこんなにしたそのきっかけが少し憎い気もする。
地面についている臀部や脚が下のほうからドロドロに溶けていく。大地と自分が一体化するような錯覚に襲われる。
単純なことしか考えられなくなる。
今度はゆっくりと自分が消えていく。全身から自分の魂が抜け出て、それを養分に体から何か生えてきているのではというようにさえ思う。
もう何も話したくない。こんな独白でさえも気持ち悪い。
見てるんでしょ。なんとなくわかるの。
ねぇ。傍観者のあなたは今どんな気持ちなの?
惨めな私を見て笑ってるの?
私の気持ちに勝手に共感して悲しんでいるの?
誰に対して向ければいいのか戸惑いながら怒っているの?
やめて。
私を考えないで。
吐き気がする。
私を見ないで。
文字なの、
映像なの、
何でもいい、
今すぐやめて。
私を見ないで。
貴重な脳みそのリソースを使わないで。
どうにかなってるのにさらに狂いそう。
頭がおかしい。
おかしくなる。
何も考えたくない。
見ないで。
見ないで。
やめて。
やめて。
やめて。やめて。
やめて。やめて。やめて。やめて。やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて
…。