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アイス
「ねぇ見て、七宮さんだ」
「ほんとだ。無表情だけど……なんかウキウキしてるね」
ここは大学の売店です。
昼休みも残り半分。
パタパタと七宮さんが入ってきました。
心なしか目がきらきらと輝いているように見えます。
七宮さんは何かをとると、一直線にレジへと持っていきます。
「あれ、新発売のアイスだ。ゴリゴリくんのホワイトトリュフ・ブラックペッパー味」
「えぇ……。白いの? 黒いの?」
お会計を済ませた七宮さんはイートインの席につくと、待ちきれないとばかりにアイスの封をきります。
シャリッ。もぐもぐ。
「あ、アイス当たった」
ボソリと七宮さんが呟きます。
ちょっぴり口角が上がって、ふわふわのくせ毛がピコピコと揺れます。
「店員さーん」
アイスの棒を片手に、七宮さんは駆けていきました。
「私も買おっかな……」
「マジか」
七宮さんは、今日もしあわせ。
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