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王国の幸せを願う私はすぐに気を失ってしまいます

このお話は、前回よりも少しだけ過去のお話になります!

リュウさんとキミハがなぜ、コンビを組んでハンターをしていたのか?

キミハはなぜ、魔法陣を使うと気を失ってしまう体なのか?

このお話で明らかになります!

(セバスチャン視点)


「キミハ様、失礼いたします。こちらならお食べになれますか」


私は主人であるキミハ様に、そう告げる。

しかし、キミハ様からはより良い返事は頂けません。


「ごめんなさい、セバスチャン、食欲がないのです」


この村に来て、数日、まだ、何も口にされていないのです。


「そうですか...お気持ちは分かりますが、少しは食べた方がよろしいのではと思いますが」

「ごめんなさい、セバスチャン、1人にしてもらえると助かります」

「ここに置いておきます。何かあれば申し付け下さい」


私は、主人であるキミハ様に何をしてあげれば良いのか...

全く分かりません。

これでは執事失格でございます。


私は食べずに残っていた、朝ごはんを下げて、お盆をお昼ご飯に差し替えて、部屋を出ていきました。  


キミハ様に元気になってもらう方法を私は考えました。

そして、1つの作戦を思いついたのです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私は旧友のリュウに、協力を仰ぎ、その作戦を実行することにしました。


次の日の夜中です。

ガチャリと、小屋の音がなりました。


リュウはお願いした通り、この小さな小屋に忍び込んできました。

そして、打ち合わせの通り、私はキミハ様の寝室に押し入って、声を上げます。


「キミハ様、野党です。お逃げください」


キミハ様は私が寝室に入った時にはもう、目が覚めていらっしゃいました。

リュウには、大きな殺気を放って、押し入るようにとお願いしたので、その殺気に気づかれたのでしょうか。

キミハ様の王国一の魔法陣使いという肩書は伊達ではないことが分かります。


すぐに打ち合わせた通り、リュウがこの寝室に侵入してきます。

リュウには、魔法陣を使い、分身を連れてくるようにお願いしていました。

一人で押し入る野盗なんていないからでございます。


「バルナタリナクス!」


リュウは複数の矢を放つ魔法陣を展開して、キミハ様に向かって矢を放ちます。


私は魔力の波動を体に纏って、キミハ様に覆いかぶさるようにして、体で守ります。

私の背中には矢が刺さりますが、体には届いていません。


「おい、その老人は魔法陣を使えるぞ。先に殺るぞ」


リュウは示し合わせた通り、私との決闘に持ち込んでくれます。

キミハ様の方を私は確認します。


まだ、キミハ様は心あらずと言った具合でしょうか...


キミハ様、荒療治ではありますが、今から起こる出来事で目を覚ましてください!

お願いです!

私は、あなたを幸せに育てる義務があります。

亡くなられた魔王様、女王様の代わりに私はあなたを健やかに育てる義務がございます!


ここからは死闘です。

演技ではありません。

本気の決闘です。

偽りの決闘ではキミハ様の心には届きません!


リュウとその分身は魔剣を構えます。

私は魔剣を持ち合わせていませんので拳を構えます。


リュウが、踏み込んで、私に近づきます。

リュウは魔剣を振って、私を攻撃してきます。


私は拳に魔力を集中させて、リュウの魔剣に向かって、拳を放ちます。

ピカーっと大きな輝きが起こった。

大きな魔力をぶつけ合った証拠でしょう。


私は元ですが、私もリュウもAランクにハンターです。

魔力も他人ひとの数倍はあるでしょう。

そんな力が撃ち合えば、大きな輝きが起こるのは当然といえば当然でしょう。


私とリュウの決闘は続きます。

しかし、現役のAランクハンターであるリュウとはずっと撃ち合えないでしょう。

私の力はすでに衰えています。


撃ち合うごとに私の疲弊感は増していき、ついには、床に膝をついてしまいました。

その一瞬の隙です。


リュウはキミハ様に向かって、矢を放つ魔法を放ちます。

私の魔力はもう、残っていません。

そんな状態で、キミハ様を庇う為に矢を浴びれば体に刺さって鮮血が飛ぶでしょう。


守らないわけには参りません!

主人を守らない執事がどこにいるでしょうか!


私は矢を浴び、よろけます。

リュウはその瞬間を見逃しませんでした。


私に飛びかかり、魔剣を振り下ろします。

魔剣は私の背中に刺さり、貫通していました。


「ゴフッ...」


私は口から血を吐きます。


キミハ様、戻ってきてくださいませ!

私とあなたの絆は、もっと深いところにあるでしょう!!


リュウは魔剣を私の背中から抜いて、止めをさそうとしてきます。


リュウの魔剣は私に振り下ろされます。


私は静かに目を瞑ります。


暖かい魔力...

よく晴れた気持ちの良い日の日光ののような魔力...


そんな魔力を感じたと思った瞬間でした。

甲高い音がこだましました。


キイイン!


私は静かに目を開けます。

そこには、夜空をかける大河を連想させる美しい髪をした女性が私を庇って、リュウの魔剣を受け止めていたのだ。


キミハ様...

一瞬、主人かどうかも分からなかった私は執事失格でしょう...


キミハ様は、リュウの剣を払う。

そして、魔剣を腰の部分で構え直し、抜刀の姿勢を見せる。

ナイフ型だった魔剣が、ロングサーベルの長さになる。


そして、魔力の波動を爆発させ、リュウの分身は消滅し、リュウ自体もふらっとした。

キミハ様はリュウに言います。


「下がりなさい、野党。これ以上の狼藉は許しません」

「お前、化け物かよ」


リュウのその言葉は、心の底から出たものでしょう。

キミハ様とリュウの決闘が始まりました。

剣を打ち合った瞬間、リュウは床を転がります。


いつものリュウではそんなことにはなりません。

キミハ様の力が、圧倒的すぎるのです。


勝負は瞬く間に、決しました。


キミハ様は床に転がったリュウに素早く近づいて、馬乗りになりました。

そして、魔剣を両手で握り、大きく背中を剃らせて、突き刺す体制に入ります。

しかし、キミハ様はその姿勢で、停止してしまいました。


キミハ様、戻ってきてくださいませ!

いつものキミハ様であれば...

リュウはそんなキミハ様に言葉をかけます。


「俺の負けだ。とどめを刺せよ」


キミハ様はそのままの姿勢でしばらく沈黙します。

そして、静かに口を開きます。


「私は…」


今度は先ほどよりも大きな声でキミハ様は話します。

「私はセバスチャンを傷つけたあなたが許せません」


キミハ様は剣を振り下ろします。


ザシュッ!


魔剣が刺さります。


しかしリュウには刺さっていません。

床に刺さっているだけです。


キミハ様は泣いているのでしょうか。


主人を泣かせる計画をしたこのセバスチャンをお許しください...


キミハ様は魔剣を握っていますが、その手にはもう、力が入っていないそのような感じがいたします。

キミハ様の涙が、リュウの顔の上に落ちています。

キミハ様はリュウに向かっていいます。


「私はあなたが許せません。人を、私の大切な人を傷つけたのですから」


私は自分のことを言われているような気がして、なんて残酷な計画をしたんだと後悔しました。

キミハ様はは真面目な泣き顔でさらに続けました。


「しかし、私はそんなあなたでさえ、殺めることができません。私は人を傷つけるために魔法を、魔法陣を学んだわけではありません。そんなことのためにこの力を使えません」


キミハ様の目の奥には消えぬ意思の光が点っていた。


あの目の光はいつものキミハ様でございます...


「今、セバスチャンを助けたいと願った時、私はそのことを思い出しました。私はこの国のみんなを分け隔てなく、幸せにしたいのです」


そう言って、キミハ様は微笑みました。


「じ、時間切れです...」


その時、キミハ様はは気を失って、気を失いました。

そして、溢れんばかりの血がその一帯を包み込みます。


リュウ、早めに治療を!


そう思ったとき、リュウはすぐにキミハ様を治癒の魔法陣で癒してくれました。

ベッドにキミハ様を素早く寝かせます。

そして、すぐに私の元に駆け寄ります。

私にも治癒の魔法陣をかけてくれます。


「タリトナグクール!セバス、起きろ!キミハ様が危ない」

「気を失うのはいつものことですから、治癒の魔法陣をかけてくだされば、時期に目を覚まします」

「そうなのか...」


リュウはそっと胸を撫で下ろします。


「セバス、これで、作戦は成功で良いな」

「はい、助かりました」

「お前、荒療治すぎるだろう」

「はい、キミハ様の傷は小さな傷ではなかったのです...しかし、リュウのおかげで、王国の民を幸せにしたいと願うキミハ様が戻ってきました」

「ああ、素晴らしい姫様だな」

「はい、12歳の少女ですが、私の尊敬する主人でございます。リュウ、座って話しましょう」

「ああ」


私はリュウに椅子を進めます。

リュウと私は椅子に座りました。


「キミハ様のことを詳しく話しておきましょう。キミハ様はご自身の魔力にお体が耐えられないのです」

「キミハ様は、魔族であられるのだろう、人間よりも遥かに強い体のはずだろう。どうして、魔力に耐えられないのだ」


私は、少し考えてから、口を開きます。


「先の戦争で、王国中を守るような大きな結界の魔法陣が張られたのを覚えていますか?」

「ああ、つい先日のことだ。覚えている」

「それを張ったのがキミハ様なのです」

「神級魔法陣クラスであろう、あの大きさは」

「そうです。キミハ様は神級の魔法陣を使える力を持っていたのです」

「なるほどな、さっき戦った時も驚いたよ、中級魔法陣、5つを同時に起動していたからな」

「はい、キミハ様には、魔法陣の才能があるのです。もちろん、常人では考えられない努力もなさっておりました」

「そんな、魔法陣に長けたキミハ様がどうして、魔法陣を起動して、気を失ってしまっているんだ」

「それは先ほどの神級魔法陣の話に戻ります。神級魔法陣の起動は、キミハ様に取っても、ギリギリのものでした。魔法陣を起動した後、魔力をギリギリまで使い果たしたキミハ様は、体が完全に光化してしまい、命の危険に犯されていたようです。キミハ様は、通りかかった魔法陣使いが治療して難を逃れました」

「完全に光化した者を治せる魔法陣使いがいるのか!」

「はい、救った彼は魔法陣使いではなく、おそらく魔法陣創造師でしょうが。話を戻しますと、命の難を逃れましたが、キミハ様はその治療の際に魔族の体ではなく、人間の体として治療されてしまいました。もともと、ご自身の魔力量に合う魔族のお体であったのが、ご自身の魔力に合わない人間のお体となってしまいました。今のキミハ様は持っている魔力量と、お体が耐えられる魔力量が非常にアンバランスなのです」

「そういうことか。魔力は血管を伝って流れやすい性質を持っている。出血したのは、魔力が流れすぎて、体が耐えきれなくなった影響だな」

「はい、今回はリュウの手伝いもあり、キミハ様は戦争のショックで失ってしまった本来の心を取り戻せたように思われます。しかし、まだ、キミハ様には課題が残っております。おそらく、魔法陣を使わない戦い方を教えてくださいと、お願いされるでしょう。その時に、リュウに協力して欲しいのです」

「セバスが教えたらいいんじゃないか、元Aランクのハンターだろう」

「いいえ、私は、執事の身でありながら、主人を野党に襲わせた悪どい老人です。流石のキミハ様もお許しになられないでしょう」

「俺も、野党として、ここに押し入ったんだぞ。それは無理なのではないか」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私とリュウの考えがまとまるよりも前に、キミハが目覚められました。

2日後の朝、キミハは目を覚まされます。


「キミハ様、お加減はいかがでしょうか」

「セバスチャン…よかった…」


キミハは元気な私の顔を見て、涙を浮かべながら喜ばれます。

しかし、私のうかない顔を見て、私が何か後ろめたいことをしたのだろうと思われたのでしょうか。


キミハ様は真面目な顔になります。


「セバスチャン、私に何か報告があるのならば、先に済ませましょう」


私は正直に白状します。


「キミハ様、大変申し訳ありません。この度の襲撃は私が画策したものなのです。主人を襲撃させるなど、この場にいることさえ、許されません。私を…」


キミハ様は私の言葉を切って、口を開かれます。


「セバスチャン、あなたは私を亡きものにしたかったのかしら?そうではないでしょう。塞ぎ込んでいた私に以前の私の思いを思い出させてくれたのでしょう」

「いえ、私は…」


私は浮かない顔をするしかありませんでした。

キミハ様はお優しいですが、それに甘えるわけには参りません。


キミハ様はため息を1つ吐き、おっしゃいます。


「確かに、使用人たちに裏切られ、失った私には、セバスチャンまで失ってしまうのではないかと気が気でなかったわ。あなたの罪は大きなものです。セバスチャンには罰を与えなければいけませんね」

「…」


私は覚悟をしていましたが、いざ、そう言われると、焦ってしまいます。


「セバスチャン、罰として、私に剣を教えてくれませんか?」

「!」


私は思いもよらぬ言葉に目を丸くしました。

そのように望まれることを予測はしていましたが、まさか、自分の罰として、お願いされるとは思いませんでした。


私はまだまだ、主人のことを理解していないようです。

執事失格です...

「私は今では一人の平民として、暮らすことになりました。しかし、今でも、私は王国の国民を幸せにしたいという思いは変わっていません」


キミハ様は強く先に進もうとする眼差しを私に向けられます。


「先の戦争で私は魔法陣を使うことができなくなってしまいました。魔法陣を使って、戦うことを覚えてきた私には自分の身を守る術さえありません。だから、私は罰としてセバスチャンに命じます。私に魔法陣のない戦いを教えてください。元々Aランクのハンターだったセバスチャンならできるのではなくて?」

「しかし、私は…」

「罰を決めるのは主人である私です。それにセバスチャンは私に野垂れ死んで欲しいのですか?私は全くと言っていいほど、平民の暮らしを知りません。あなたがいなくては明日にも野垂れ死んでしまいます」

「キミハ様…」

「さて、善は急げです。早速…いたっっ」



キミハ様は、バッとベッドから立ち上がろうとしましたが、全身に激痛が走ったようです。

ベッドから思わず転げ落ちられます。


こうなったキミハ様は暴走列車です。

周りの意見なんて聞き入れません。


私はキミハ様の恩赦に感謝して、申し出を受け入れることにしました。


「仰せのままに、キミハ様。それでは3日間は動かずに安静にしていてください」


立ち上がって、外にでも駆け出そうとするキミハ様を私は制止して、ベッドに戻そうとします。


「いえ、私は大丈夫ですから、すぐにでも」

「キミハ様、訓練は逃げませんから、今は安静にしてください。それとも私を解雇して、外に行かれますか?」

「むぅ、セバスチャンの意地悪っっっ!」

「キミハ様のお加減の方が大切ですから」

私たちは笑います。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


キミハ様は怪我が治り、魔法陣を使わない戦いを教えてもらう日がやってきました。

キミハ様は動きやすい服をきて、腰にはナイフ型の魔剣を携えます。

私は、リュウも呼んでいました。

キミハ様は襲われた日から、初めてリュウと再会することになります。


「お久しぶりです。キミハと言います」

「俺はリュウだ」

「さて、時間が惜しいです。始めましょう!」


キミハ様はワクワクした顔をされています。

リュウは少し戸惑った顔をします。


「俺へ、なんか質問とかないのか?」

「特には?セバスチャンに頼まれて、襲ってくれたのですよね。あ、感謝の言葉を述べていませんでした。ありがとうございました」


リュウは笑います。

キミハ様にはかないません。


「キミハ、手加減はしないからな」


リュウはキミハ様という魔族の姫が身を隠すための名前ではなく、ハンターのキミハとして呼ぶことに決めたようです。


「よろしくお願いします」


数日後、キミハ様とリュウはコンビを組み、ハンターの仕事をするようになられます。

キミハは王国を守るために大きな魔法陣を使った後遺症で、魔法陣を自由に使えない体となってしまったのです。

しかし、魔法陣が使えようと使えまいと、キミハは真っ直ぐに生きていきます!


そんなキミハは、次回、王都にある第一学園に入学します!


執筆頑張っていきます!!

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