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王国に決闘を申し込みます(4)

ヒカリ視点です。

ご注意ください。

(ヒカリ視点)


私はライトニングレーザーで男の騎士さんのブローチを破壊しました。

キミハちゃんの作戦がうまく行きましたっっっ!


作戦を立てた夜、キミハちゃんは教えてくれました。

騎士さんたちは護衛対象を護衛する訓練を重視しているそうなのです。

だから、突然の襲撃があった時、騎士さんたちは、考えるよりも先に護衛の対象の方を守ってしまうそうです。


この決闘ではその騎士さんたちの訓練の賜物を逆に利用しちゃいました。

今日の決闘で言えば、護衛対象は騎士団長さんに当たります。


私とアリスちゃん、キミハちゃんは、決闘の開始とともに、騎士団長さんに向かって、突撃しました。

この時、騎士さんたちは少し焦っていました。

私たちは、開始とともに間髪入れずに突撃をすることで騎士さんたちの思考を鈍らせることに成功したのです。

そして、体が勝手に、騎士団長さんを守ろうと動いたはずです。


私とアリスちゃんはここで、騎士団長さんから、騎士さんたちに突撃する方向を変えました。

それも、目の前にいる騎士さんではなく、騎士団長さんのさらに向こう側にいる騎士さんへです。

最初の撹乱もあって、騎士さんは、一番遠いところにいる私がブローチを破壊しにくるなんて、夢にも思っていなかったと思います。


目の前にいる騎士さんが私に攻撃してきました。

でも、私は、目の前の騎士さんなんて、眼中にありません。

騎士さんを相手にしていないのですから、当然、目の前の騎士さんの攻撃は私には当たりません。

私は、そのまま、一気に加速しながら突撃して、アリスちゃんと交差して、私の狙いの騎士さんに攻撃を仕掛けました。

騎士さんのブローチを簡単に破壊することができました。


私はすぐに真ん中の騎士団長さんとキミハちゃんが剣を打ち合っているところに向かいます。

アリスちゃんの方が速く、騎士団長さんのところにたどり着けそうです。

私もできることがあるかもしれないので、急ぎます。


作戦なら、キミハちゃんが騎士団長さんの気を引いているうちに、私かアリスちゃんが、ブローチを破壊するという作戦です。


私は騎士団長さんとキミハちゃんを目掛けて、走ります。

その時です。

キミハちゃんが一瞬、観客席の方を見ます。

そこには学園長とカナフィルディア伯爵がいますが、どちらかというと、カナフィルディア伯爵の方に視線を向けているように感じました。


何かあったのでしょうか?


この状況で考えられるのは魔力を使った際に生じる魔力の余波でしょうか?

キミハちゃんの魔力を感じる力は、学年でも、随一だと思います。

何度も、その力で、私のピンチを悟って、助けに来てくれるのです。

キミハちゃんは本当にすごいです。

かっこいいです!


アリスちゃんが、剣を振り上げます。

当然、騎士団長さんのブローチに攻撃しようとしているのかと思いました。

でも、違いました。

アリスちゃんの剣はキミハちゃんに振り下ろされました。


どういうことでしょうか?

作戦なのでしょうか?

分かりません。


キミハちゃんは、アリスちゃんの剣を無理やり、受け止めました。

変な体勢となっています。


騎士団長さんがバランスを取り戻して、キミハちゃんに剣を振り下ろします。


危ない!

キミハちゃんを守りたい!


私はライトニングレーザーの魔法陣を起動します。

そして、手のひらから、飛び出ているレーザーを途中で止めて、私は光の棒となったライトニングレーザーを握ります。

即席の光る剣の完成です。


私は画家です。

ライトニングレーザーは私にとって、インクのついた筆なのです。

ライトニングレーザーを自由自在な形に変形できます。

理屈は分かりません。

でも、今、キミハちゃんを助けるには、理屈はなんてどうでもいいです。


私は身体強化の魔法陣を起動して、二重魔法陣で加速します。


間に合って!


手に大きな衝撃が伝わります。

間に合いました!

私は騎士団長さんの剣を受け止めることに成功したのです。


騎士団長さんは、私の手に持っている剣を見て、驚いた表情をしました。

あのキミハちゃんでさえ、私の変形術に驚いたのだから、当然と言えば、当然でしょうか。


アリスちゃんの様子は、少しおかしいようです。

私には、何が起こっているのか全く分かりません。

キミハちゃんなら、アリスちゃんの身に何が起こっているか分かっているかもしれません。


ならば、私は騎士団長さんを足止めするしかない。

怖いけど、やる!

ここで逃げたら、私は何のために決闘に参加させてもらったのか分からなくなってしまう。


私は、一瞬、爆発的に身体強化をして、つばぜり合いになっていた騎士団長さんの剣を騎士団長さんごと、吹き飛ばした。

そして、キミハちゃんに叫んだ。


「キミハちゃん、騎士団長さんは私がなんとか足止めするから、アリスちゃんを!」


キミハちゃんは大きく頷きます。


私は騎士団長さんと対峙します。

決闘前、キミハちゃんは騎士団長さんと楽しげに会話をしていましたが、普通、そんな、フレンドリーに話していい相手ではないです。

キミハちゃんは例外中の例外です。


騎士団長さんは王国で一番強い騎士です。

騎士団は完全に実力主義の社会なのです。

私はさっき、そんな人を足止めする、とか、言ってしまったのです。

今になって、恐怖を感じました。

なんてことを言ってしまったの、私!


騎士団長さんが剣を構えたまま、私に話しかけてきました。


「その剣は何だ?」

「ラ、ライトニングレーザーでしゅ」


はっ、噛んでしまいました!


胸が熱いです。

心臓の音が聞こえます。


「ライトニングレーザー?剣だぞそれは」

「ライトニングレーザーなのですが?」


それ以外は分かりません。


「ハッハッハ、キミハが天才というわけだ」


キミハちゃんにそんなこと言われるのは畏れ多いです...


「ヒカリと言ったかな?初めての戦闘で騎士団長と戦ったのは王国中を探しても、君だけだろう」


そう言って、騎士団長さんは身体強化の魔法陣を起動します。

先ほどまでは身体強化をした私の剣に身体強化もせずにつばぜり合いをしていたのです。


全力でやらないと、キミハちゃんのための時間も碌に稼げないでしょう。

私は身体強化魔法陣の出力を完全開放して、最大にします。

魔力が恐ろしいほど消費されます。


騎士団長と戦うということはそういうことです!


「いくぞ!」

「はい!」


私と騎士団長は全速力で互いに向かって走ります。

騎士団長は、闇系の魔法陣を使って、闇系の魔法で魔剣を覆いました。

魔剣に魔法を付与したようです。


訳がわかりません。

何でしょうか...


いえ、分からないことを考えても仕方がありません。


私と騎士団長は剣を振ります。


私の光の剣と騎士団長さんの闇の魔剣が打ち合った瞬間、バチバチと音を立てて、剣同士が反応しました。

魔力が恐ろしいほどに、弾けて、消費されます。


そういうことですか!

闇と光の属性は相反する属性同士です。

その剣同士が打ち合うと、互いに反発して、相手の属性に負けないように作用しています。

結果的に、使う魔力量が、通常では考えられない量に跳ね上がっています。


もう、これは単純な力での、剣の戦いではありません。

魔力の消費が大きくなり、魔力を削ぎ合う戦いになっています。

元々、筋力的には、騎士団長の方が上です。

身体強化にかける魔力が私の方が多いです。

魔力保有量が騎士団長と同等だと仮定しても、私は負けてしまします。

それに、大人であって、魔力器官が完全に成長しきった騎士団長と私では、到底、魔力保有量では敵わないでしょう。


私と騎士団長は一旦距離を取ります。

私はすかさず、剣の形に変えていたライトニングレーザーを元のレーザーに戻します。

剣がレーザーになって騎士団長さんに飛んでいきます。


「くっ」


騎士団長さんはギリギリ交わします。

私は、体勢が悪くなっている騎士団長さんに向かって走り込み、レーザーを剣に戻します。

そして、騎士団長さんに剣を振り下ろします。

しかし、騎士団長さんはすぐに体勢を戻し、どしっと私の剣を受け止めます。


「やるじゃないか」

「恐れ入ります」


また距離を取ります。

今度は騎士団長さんが、すぐに走り込んできます。

私は剣を構えて、防御の態勢に入ります。


騎士団長さんは闇の魔剣を下から上に払い上げるように振ってきました。

私は剣の軌道が読めずに、あたふたしてしまいます。

騎士団長さんの闇の魔剣のよって、私の光の剣が大きく弾かれます。

私は右手に握った剣が大きく弾かれたことで、体も大きくのけぞる体勢になってしまいます。


私の左胸につけたブローチが露わになってなっています。

騎士団長さんは、それを見逃さず。

闇の魔剣でそのまま、私のブローチを狙います。


まだ、やらせない!


私は大きく弾かれた右手に握ったライトニングレーザーの魔法陣を解除して、今度は無詠唱で左手でライトニングレーザーの魔法陣を起動します。

私は体勢が崩れたまま、左手のライトニングレーザーで騎士団長さんを攻撃します。


いきなり目の前に現れたライトニングレーザーに騎士団長さんも焦りを見せました。

でも、すぐに横に躱して、少しかすった程度のダメージしか与えられませんでした。

私はのけぞった体勢を戻せぬまま、騎士団長さんが眼前で剣を振ってきます。


剣、怖い...


私はこんな時に、自分に向けられた剣を見て、怖くて、思考が鈍ってしまいます。

剣で斬られたら痛い、そんな当たり前のことを今、思い出したのです。


そして、入学式直後に、貴族たちに囚われた過去が蘇ります。

両手を拘束されて、魔剣で衣服をはぎ取られた恐怖が蘇ります。


私は...


無力で...


勇気もなくて...


泣いて黙るしかできなくて...


闇の中から逃げ出せずにいた...


そんな時、その闇に光が差し込む...


キミハちゃんが手を差し伸べてくれた。

こんな私を助けてくれた。

私は嬉しかった。

貴族に文句の1つも言えない弱虫な私を救ってくれた。


私はこの決闘で変わりたい!

キミハちゃんみたいに、周りの幸せを守りたい!

アリスちゃんを守りたい!


恐れたっていい!

でも、立ち向かいたい!


恐れたっていい!

恐れに負けない勇気を持てばいい!


恐れたっていい!

みんなの笑顔を守れればそれでいい!


私は大きく目を開いて、意識を強く持った。


私を助けて、光の筆!


私は左手で放っていたライトニングレーザーを止めて、形を変える。

ライトニングレーザーは私を大きく覆うライトニングウォールになる。


騎士団長さんはライトニングレーザーが急にライトニングウォールに変わり、驚いた。

しかし、振り下ろした剣は止まらない。

ライトニングウォールに剣が触れた瞬間、騎士団長さんの剣は後ろに吹き飛んだ。

それを握っている騎士団長さんも後ろに吹き飛ぶ。


私の魔力が騎士団長さんの魔力を上回ったということだと思う。


魔力とは本当に不思議だ。

魔力は、生活に欠かせないものとなりつつあるがその何たるかは全然解明されていない。

今のだって、私の魔力が騎士団長さんを圧倒するなんて、本来あり得ないものだ。


キミハちゃんも言っていた。

魔力って何なんだろうって。


でも、1つ思うことはあるとも言っていた。

魔力はその人の感情を表しているのかもしれないって。


例えば、魔力を他人に許可してもらって、受け入れる時、魔力を渡す側の気持ちが痛いほど伝わってくる。

これはきっと、魔力に、その人の気持ちが乗せられているとしか思えない事象だ。


そう考えると、さっき、私の魔力が騎士団長さんを上回った理由も説明できているかもしれない。


今の私は、この決闘に勝ちたいという思いは誰にも負けていないから!


私はすぐにライトニングウォールを解除して、騎士団長さんに向かって走り出す。

今度は右手で無詠唱のライトニングレーザーを起動して、騎士団長さんに撃つ。

騎士団長さんは避ける間も無く、持っていた、闇の魔剣で、レーザーを切り裂いている。


なんて人でしょう!

でも、負けまないから!


私はライトニングレーザーを剣に変えて、騎士団長に飛びかかって、剣を振る。

騎士団長さんも私の光の剣を闇の魔剣で受け止める。


バチバチと音が鳴る。


「やあああああ」


私は身体強化の魔法陣とライトニングレーザーの魔法陣に最大出力で魔力を送る。


「ぐぬぬ」


騎士団長さんも、顔を歪めながら、魔力を剣に注ぎ込む。


負けない!


私はさらに魔力を送り込む。


騎士団長さんの顔はさらに歪む。


「やあああああ」


次の瞬間、光がカッとなって、大爆発した。

騎士団長さんだけが、吹き飛ぶ。


チャンスです!


私は地面を蹴って、すぐに騎士団長さんのもとに急行しようとする。

が、足に力が入らない。


その時、身体強化の魔法陣が強制的にシャットダウンされる。

手にも感覚がなくなり、右手に握っていた光の剣は地面に落ちて消滅した。


ガクッと力が抜けて、膝立ちになり、そのまま、地面に転がった。

意識ははっきりしているが全く、手足に力が入らない。


こ、こんな時に魔力切れっっっ!!!


騎士団長さんが何とか立ち上がり、私の元に歩いて寄ってくる。


「惜しかったな。俺は完全に負けていたよ」


私は涙を流す。

でも、いつもの涙とは一味違う。


悔しい...


「私の負けです...」


私は倒れながら、精一杯の笑顔で騎士団長さんに答えた。


初めはキミハちゃんのために時間稼ぎができればいいと思った。


でも、途中から、そんなことは忘れていた。

ただ、強くなりたくて、負けない心を持ちたくて、戦った。


私、みんなを守れる強さを、もっと、身につけたいよ...

もう、守ってもらうだけの私は嫌なの...


私はここまでです。

キミハちゃん、あとはアリスちゃんをお願いします...


私は、現実が遠くなっていった。

次回は、キミハ視点です。

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