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66.ぼっち少女のガーゴイル迷宮攻略


 翌日。4月(オルヴァセン)29日、土曜日ツェルシェンダン

 今日は朝から雨だった。それも傘があまり役に立たないような横殴りの大雨だ。

 こんな日はできるだけ外に出たくはない。濡れたくないし。でも、来たばかりの街なのに一日宿でじっとしているのも、なんかもったいない気がするしなぁ。

 迷った挙句、私は雨に濡れないような魔法を創って、出掛けることにした。



◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆


 防水結界ウォータープルーフシールド

【属性】水

【タイプ】生活

【発動対象】指定

【効果】水の侵入を防ぐ結界を張る。液体であれば水でなくても防ぐ。一定ダメージを受けると消滅する。


◆◇◇◇◆◇◇◇◆◇◇◇◆



 自分で創っておいて言うのもおかしいけど、この「防水結界ウォータープルーフシールド」は、かなり便利だった。これでもう、雨を嫌がる必要はない。

 それに、傘をさしていないのに濡れないなんて新感覚で、面白かった。

 私は、ローブのフードを目深に被り、「防水結界ウォータープルーフシールド」を張りながら、雨の中を上機嫌で歩いていった。



 途中でギルドに寄って、迷宮の場所の確認と関連依頼の受注をした私は、いつものように「隠形ハイドフォーム」と「飛翔フライ」を使って、迷宮に向かった。

 迷宮の中は屋内だから雨の日でも関係ない。

 本当は、こんなに頻繁に迷宮に通い続ける必要はないんだけど、私は今日も迷宮に行くことに決めた。

 他にやることがないからいい暇つぶしになるし、迷宮で得られる素材を売ればお金になる。それに、経験値を溜めてレベルアップしたり、攻略報酬で称号やスキルをゲットしたりして強くなっていくのは楽しい。

 魔物と戦うのは危険だけど、万が一のときのは「蘇生リヴァイヴ」の異能が保険として働くから、とりあえず命の心配はなさそうで、それなりに安心して迷宮に行ける。まあ、痛いのは嫌だから、なるべく攻撃を受けないように気をつけてはいるけどね。



 人目を気にせず、好きなだけ飛ばしたおかげか、街を出てから10分も掛からずに、迷宮に到着した。

 今日行くのはガーゴイル迷宮。

 「全世界迷宮辞典」によると、ガーゴイル迷宮にはガーゴイルと呼ばれる石像(種類によって素材は異なる)の魔物が出るらしい。石像の魔物なだけあって、物理防御力が高い。

 また、冒険者ギルドで得た情報によると、ガーゴイルの魔石は、とても良質な素材で、種類によっては高値で取引されるらしい。なんでも、武器や防具につけると、その属性の防御力が上がる効果があるとか。

 そのせいか、魔石は最低でも1個銅貨10枚(日本円で千円)、高いのは1個銀貨1枚(日本円で1万円)で買い取ってくれるそうだ。

 魔石はガーゴイル1体につき1個手に入るから、ほんの数十体倒すだけで何十万も稼げる。

 ただ、ガーゴイルは硬くて物理攻撃がほとんど効かないため、多くの冒険者は魔法で攻撃するんだけど、一瞬(一発でも一撃でもない)で仕留めないとガーゴイルの構成物質が魔法で変質し、それに伴って魔石の質も変わってしまうらしい。ガーゴイルの魔石は他の魔物の何倍も変質しやすいため、純粋なものは手に入れにくい。変質した魔石は、ほとんどの場合使いものにならないため売れない。

 そして、一瞬で倒すには斬撃系の魔法を使うのがいいんだけど、ガーゴイルの魔石は急所の近くにあるため、魔石ごと斬ってしまうことが多いらしい。もちろん、斬った魔石は使えないので売れない。

 そういう事情から、ガーゴイル迷宮は「運が良ければ稼げる迷宮」=「割に合わない人気のない迷宮」として、冒険者に認知されている。

 ……まあ、私の目的はお金稼ぎよりもレベルアップの方だから、転職に必要な素材さえ手に入ればあとはどうでもいいかな。魔石が売れたらラッキーって感じで、気楽に行こう。

 私はどうやって倒そうか考えながら、ガーゴイル迷宮に入っていった。




 第1層の造りは今までと同じで、石造りの通路だった。

 ガーゴイルは、その特徴を表すように、石像として通路の壁に並んでいた。

 そして、私が横を通るとキラーンと目を光らせて襲いかかってきた。

 でも、「探索サーチ」でガーゴイルだとわかっている私は、冷静に「凍結フリーズ」の魔法を放ち、ガーゴイル――第1層に出るのはロックガーゴイル――を瞬殺した。

 ちなみに、ロックガーゴイルのステータスはこんな感じだった。



◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆


ロックガーゴイルA

【属性】地

【特徴】普通のガーゴイル。石像のため、物理攻撃に強い。ガーゴイルの視界に入ると石化されるので注意。

【固有スキル】石化ペトリフィケーション防御力強化エンハンス・ディフェンス


【レベル】11

【体力】221/221

【魔力】87/87

【筋力】29

【防御】54

【命中】24

【回避】14

【知力】24

【精神力】24

【速度】14

【運】24



石化ペトリフィケーション

【発動】任意

【説明】対象を石化する。

【使用方法】対象を視界に入れ、スキル名を唱える。


◆◇◇◇◆◇◇◇◆◇◇◇◆



 ロックガーゴイルのステータスは高くないから、倒すこと自体は簡単だった。でも、うっかりすると「石化ペトリフィケーション」のスキルを使われて、石化して動けなくなるから、立ち回りに気を付ける必要があった。

 ガーゴイルが襲いかかってくるときに光る目。あれが石化スキルの発動を示しているようだ。

 最初、それを知らずに正面から攻撃しようとして、体の一部を石化されてしまった。急いで「異常回復キュア」で治したけど、あのまま全身石化されてたらヤバかった。

 ……その場合は「蘇生リヴァイヴ」がなんとかしてくれたかもしれないけど、必要もないのに危ない橋を渡る必要はない。

 私は、ガーゴイルの視界に入らないように動きながら倒していった。




 そうして、ロックガーゴイルを倒しながら第1層を進み、階段までたどり着いた。

 途中から、石化スキルから逃げるのが面倒になって、「探索サーチ」でガーゴイルを発見すると、襲ってくる前に「凍結フリーズ」で倒すようになった。

 倒したら解凍して、「無限収納インベントリ」に一括収納&解体。

 攻撃を避ける必要がないから格段に効率良くなった。石化される危険もなくなったし。

 あ、そうそう。解体するとロックガーゴイルの魔石が手に入ったんだけど、「ロックガーゴイルの魔石」としか表示されないから売れるかどうかはわからない。一応瞬殺を心掛けているけど、凍らせてるからなぁ。魔石が変質している可能性は十分にある。

 ……まあ、売れなかったらそのときは諦めよう。



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