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65.ぼっち少女とギルマス

 ここまでの燈里と魔物のステータスの修正をしました。

 基本的に、燈里は下方修正、魔物は上方修正となっております。特にキング、エンペラーのステータスは大幅に変更されています。

 それに伴い、本文も若干修正しましたが、ストーリーに大きな変更はありませんのでご安心ください。


 また、1章の最後に、燈里のステータスのまとめを投稿しました。本編に影響はありませんが、興味のある方はご覧いただけると嬉しいです。


 受付嬢に案内されてギルマスの部屋に入ると、そこには双子とさっき見たギルマスが向かい合って座っていた。

 私を案内してきた受付嬢は、私が入室すると一礼して去っていった。

 私がぼうっと去っていく受付嬢を眺めていると、ギルマスが言った。


「すまないが、ドアを閉めて鍵をかけてくれないか?」


 見た目に反せず、野太いおっさんの声だった。私は頷くとそっとドアを閉めて鍵をかけた。そのとき、ドアを鑑定すると、フィルリアの街のギルマスの部屋と同じように防音結界が付与されていることがわかった。

 どこの街もギルマスの部屋は防音仕様になっているのかな?まあ、ギルマスの部屋ともなれば機密事項も多そうだし、当然かな。

 ドアを閉めると、勧められるまま近くのソファに座った。ギルマスと双子を横から見る席で、なんか私だけ浮いているような気分だった。


「まずは、自己紹介といこうか。私はカージアの街の冒険者ギルドのギルドマスタ―のイーサンだ。よろしく」


 私は相手に合わせて軽く頭を下げて挨拶した。

 それにしても、イーサンさん……。なんか呼びにくいなぁ。略してイーさんとか?うーん、これは呼び捨てにしてるようで嫌だな。年上を呼び捨てにするのは気が乗らない。ここはやっぱり、ギルマスでいいか。うん、そうしよう。

 イーサンさんは呼びにくいので、単にギルマスと呼ぶことにした。

 そんなことを考えていると、ギルマスが聞いてきた。


「あなたは、Cランク冒険者のトモリさん、でよろしいか?」


 間違いないので頷いた。どうやら、双子から話を聞いていたらしい。このまま、私が話さずに終わるといいんだけどなぁ。


「まず、お嬢様方を助けていただいたことに感謝する。これはその礼だ。受け取ってくれ」


 ギルマスは、真剣な顔で言うと頭を下げた。そして頭を上げると、机の上に置かれていた袋を私の前に持ってきた。

 袋の形状からして、中身はお金かな?別に、あれくらいのことでここまでしてもらう必要はないんだけど、ここで断るのも面倒だし、素直に受けとっておこう。

 私は、軽く頭を下げてから、袋を受け取り、ギルドカードを取り出してその中に仕舞った(ように見せかけて、「無限収納インベントリ」に仕舞った)。

 いくら入っているのかは、あとで確認しよう。

 私がお金を受け取ったのを確認したギルマスは、話を続けた。


「それから、魔物の素材だが、素材部で解体・査定をしておくから、後日代金を取りに来てくれ」


 あ、あの素材買い取ってくれるんだね。今はお金に困ってないし、あれくらいの数ならあげてもいいんだけど、くれるっていうならもらっておこう。というか、断るのが面倒だからもらっておこう。

 私は頷いた。


「明日には終わるだろうから、あなたの好きなときに素材部に取りに来てくれればいい。私からの話は以上だが、何か聞きたいことはあるか?」


 聞きたいことか……。うーん、この街のことは、滞在中に観光して知ればいいから、わざわざギルマスに聞く必要はない。双子も貴族?みたいだし、正直あまり関わりたくないから何も聞かないでおこう。それ以外だと……あ、そうだ!

 私はポケット(のように見せかけて「無限収納インベントリ」)から紙とペンを取り出して、「迷宮」と書いてギルマスに見せた。


「迷宮?この街にある迷宮が知りたいという意味か?」


 私は頷いた。ギルマスは私が筆談で応じても特に反応しなかったところを見るに、双子から私が話せないことを聞いているのだろう。変な顔されなくて良かった。


「この街にあるのは、オーク迷宮、ガーゴイル迷宮、マンドラゴラ迷宮の3つだ。特にガーゴイル迷宮とマンドラゴラ迷宮は、難易度の割に手に入る素材が高く売れるから、冒険者に人気だ。Cランクであればふたりでも行けるだろう。……これでいいか?」


 迷宮名さえわかれば、あとはリリスからもらった「全世界迷宮辞典」で詳しいことがわかるから、これ以上の情報はいらない。

 私は頷いた。


「そうか。では、今日はこれで解散だ。時間を取らせてすまなかった」


 ギルマスは立ち上がると、鍵を開けてドアを開き、私に退室を促した。

 私は席を立ち、双子とギルマスに一礼してから、部屋を出た。

 私が廊下に出ると、ドアが閉まり、鍵がかかる音がした。

 このあと、あの3人がどんな話をするのか少し気になったけど、すぐにさっきの受付嬢が案内に来たので、その場をあとにした。




 そのままギルドをあとにした私は、宿を探すことにした。まだ昼だけど、宿は早く確保しておいた方がいい。野宿なんて嫌だもの。

 私は屋台で買った食べ物を食べながら、宿を探して回った。

 フィルリアの街のときは、アニタさんが紹介してくれたからすぐに終わったけど、今回は自分で探さないといけない。それに、その宿が信用できるかどうかも問題だ。質が悪かったり、寝込みを襲われたりしたら堪らない。

 だから、できるだけ綺麗で、防犯がしっかりしていそうで、宿の人が良い人のところを探した。



 1時間近く観光も兼ねて歩き回った結果、直感で良いと思った宿に決めた。……途中から探すのが面倒になってきて、適当に決めてしまったのだ。

 宿の名前は「満喫亭」。何を満喫するの?って突っ込みたくなるような名前だった。

 外観は、新築の小さめアパートといった感じ。白い壁に茶色の屋根で、シンプルな装飾があった。

 外観だけ見れば悪くなかったので、もうここでいいや!という気持ちで決め、中に入った。


「いらっしゃいっ!」


 中に入ると、人の良さそうなおばさんが笑顔で出迎えてくれた。

 あ、これは大丈夫かも。

 私は、おばさんを見て安心すると、カウンターに向かった。

 カウンターに着くと、おばさんが言った。


「宿泊かい?」


 頷くと、おばさんが帳簿を出してきた。


「じゃあ、これに名前を書いておくれ」


 私は渡された帳簿に名前を書いて、おばさんに返した。


「何泊かい?」


 私は少し考えてから、手で7と示した。一週間あれば、迷宮もある程度回れて、観光とかもできるだろう。


「7日ね、あいよ」


 おばさんは返事をすると、帳簿に何かを書き足して、私に鍵をくれた。


「部屋は2階の5号室。夕食は夕1刻から夕3刻、朝食は朝1刻から朝3刻までに食べるんだよ。過ぎたら出せないからね。あ、それから、うちにお風呂はないから、入りたかったら外に行きな。そんじゃ、私はやることがあるから失礼するよ」


 おばさんは簡単に説明をすると、別の部屋に行ってしまった。

 普通、客を置いて行くかな?……この世界では普通のことなのかな?

 ちょっと衝撃だったので、呆気に取られたけど、すぐに気を取り直して部屋に向かった。



 部屋はほっこり亭と似たような造りで、鍵もしっかり閉まるし、ドアや壁も丈夫そうだった。これなら、防犯も大丈夫かな。

 私はほっとすると、夕食の時間まで一眠りすることにした。

 今日は、早起きだったし、少しくらいいいよね。

 おやすみなさーい。


 

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