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34.ぼっち少女のゴブリン迷宮攻略6


 私は倒したゴブリンエンペラーを「無限収納インベントリ」に収納すると、コア水晶が置いてある奥の部屋に入った。

 水晶に手をかざすと、淡い紫色に光り、すぐに収まった。

 今度は、リリスが出てくることはなかった。

 次に会うのは半月後だって言ってたから、昨日の今日で出てくるわけがないのはわかってたけど、少し期待してしまった。


 私は、ちゃんと称号と特典をゲットできているかを確認するために、ステータスを開いた。

 ゴブリンエンペラーはかなりの強敵だったのに、残念ながらレベルは上がっていなかった。

 でも、称号と特典はちゃんと追加されていた。

 今回ゲットした称号は「真・ゴブリン迷宮制覇」で、特典は、アイテム「黒魔術の書 ~第一章 召喚アルノリモア~」だった。



◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆


真・ゴブリン迷宮制覇

【称号取得条件】ひとりでゴブリン迷宮を攻略する(※ボスはゴブリンエンペラー)

【効果】体力+1000、防御+500


◆◇◇◇◆◇◇◇◆◇◇◇◆



 称号の方は、ステータスに反映されていた。スライム迷宮のときと違って、前に「真」がついている理由は、ゴブリンエンペラーを倒したからのようだ。

 ということは、「真」がつかないバージョンもあるってことかな?そっちの方のボスは、ゴブリンキングってことになるのかな?あとでアニタさんに聞いてみよう。

 「真」がついているからなのか、効果が高い。体力が+1000で防御が+500。

 称号ひとつでこんなにステータスが上がるなんて思ってもみなかった。

 かなり大変な目にあったけど、強くなるにはやっぱり迷宮を攻略するのが一番手っ取り早そうだと思った。


 それから、アイテムの方は、直接「無限収納インベントリ」に入っていた。

 どんな内容の本なのか気になったので、取り出してみる。

 本の装丁は、この間リリスにもらった「全世界迷宮辞典」によく似ていた。

 黒いカバーに金色の美しい飾りが施され、表紙には金色の文字で何かが書いてある。

 この文字は、アニタさんに教えてもらったものじゃなく、リリスに教えてもらった方に似ていて、今の私には読めない。

 中のページは、前半が黒いインクで書かれた文字で埋まっていて、後半は白紙だった。

 ……これは、未完成の本なの?それとも、「全世界迷宮辞典」のように、内容が追加されていく特殊な本なの?

 私しかいないこの状況では、いくら考えてみても答えは出なかった。



 ステータスを確認するついでに、転職必要討伐数も確認した。

 ボス戦の前に、ゴブリンはすべて達成したことになっていたけど、ゴブリンエンペラーを倒したことで新たに追加されていないか気になったのだ。

 まあ、ゴブリンエンペラーが追加されていても、もう少し強くなるまでは再戦するつもりはないけど。

 そう思いながら確認すると、表示は変わっていなかった。

 つまり、ゴブリンエンペラーの討伐は、転職に必要ないということだ。良かったぁ。

 ゴブリンエンペラーが対象外であったことにほっとした私は、「隠形ハイドフォーム」で姿を消してから、「転移テレポーテーション」でゴブリン迷宮の前に出た。

 そして、そのまま「飛翔フライ」で街まで戻った。

 飛びながら、ひたすらゴブリンの解体をした。数百匹のゴブリンをスキルでとはいえ解体するのは疲れたけど、急いだおかげで、街に着くまでにゴブリンエンペラー以外はすべて解体し終わることができた。




 今日の門番は、あのおじさんだった。名前は確か……ジークさんだっけ?

 向こうも私を覚えていてくれて、他に人もいなかったから少し話をした。話といっても、私は筆談だけど。

 私がアニタさんを紹介してくれたお礼を書くと、「これも仕事だから気にするな」と言ってくれた。

 アニタさんもそうだけど、本当に優しい親子だなぁと思った。

 ちなみに、昨日と一昨日いなかったのは、お休みの日だったかららしい。

 門番はシフト制なのだそうだ。

 ……確かに、ずっと門の前にいるのって大変だもんね。

 門番業?の裏側を知った私であった。


 



 ゴブリン迷宮では何の依頼も発生しなかったので、今日は冒険者ギルドには寄らずに、まっすぐ素材買取所へ向かった。

 私が素材買取所へ入ろうとしたとき、後ろから聞き知った声がした。


「あれ?トモリさん?」


 名前を呼ばれて振り返ると、私服姿のアニタさんとハティさんがいた。

 冒険者ギルドの制服じゃない。今日はどうしたんだろう?

 そう思って見つめていると、私の考えていることがわかったのか、アニタさんが答えてくれた。


「ああ、今日はふたりとも非番なので、お昼を食べに行ってたんです。それで、帰りにちょっと冒険者ギルドに寄ろうと思ってここを通ったら、トモリさんを見かけたんです」


 なるほど。確かに、今は午後1時半くらいだから、お昼を食べてきたといってもおかしくはない時間だ。

 というか、そんな話を聞いたら、私もおなか空いてきた。早く売ってお昼にしよう。

 アニタさんが、何の素材を売りに来たのか聞いてきたので、「無限収納インベントリ」から紙とペンを出して、ゴブリンの魔石と書いてみせた。


「ゴブリンの魔石ですか。ゴブリン討伐の依頼でも受けたんですか?」


 私は首を横に振る。

 すると、アニタさんは、苦笑いしながら言った。


「えーっと、もしかして、ゴブリン迷宮に行ったんですか?」


 首を縦に振る。


「……攻略してきたんですか?」


 また首を縦に振る。


「よくひとりでゴブリンキングを倒せましたね。ケガはありませんか?」


 ん?ゴブリンキング?私が倒したのはゴブリンエンペラーなんだけど……。

 私が疑問に思っていると、顔に出ていたのか、アニタさんが言った。


「……トモリさん。ひとつ確認したいのですが、ボス部屋に出てきたのは、ゴブリンエンペラーではありませんでしたか?」


 そうだったので頷くと、アニタさんはハティさんを見て言った。


「ギルマス。少し部屋をお借りしてもよろしいですか?」

「え、ええ。もちろんいいわよ」


 それまで無言だったハティさんは、驚いた顔をして答えた。

 そして、私はまた、ハティさんとアニタさんにギルマスの部屋に連行されていった。

 これで3日連続だよ……。



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