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127.ぼっち少女の迷宮周回


 コーディが転移魔法取得のため、迷宮の周回を始めて一週間が経った。

 コーディには、リアと一緒におまけ迷宮を周回してもらっていたけど、昨日、とうとうフライングチキン迷宮でもスキルをゲットしてしまった。

 これで、私が知っているおまけ迷宮で、周回できるところは全て終わってしまった。

 

 ホーンラビット迷宮では、攻撃力が常に2倍になる「攻撃力倍加ダブリングアタック」のギフトを取得。

 ミニマムアント迷宮は、生理的に周回不可のため除外。

 マンドラゴラ迷宮は混んでいるし、リアのことがバレるといけないので除外。

 パウダーマッシュ迷宮では、簡単な風属性魔法が使えるようになる「風属性魔法Ⅰ」のスキルを取得。

 フライングチキン迷宮では、「命中率上昇エンハンス・アキュラシーⅠ」のスキルを取得した。


 取得したスキルやギフトだって、それなりにいいものらしいけど、コーディは転移魔法以外には興味がないらしく、転移魔法を取得するまで諦めないといってきかない。

 正直、コーディの事情に深入りするつもりはないんだけど、アドリアナが関わっているせいでリアがコーディに協力するって言ってるから、私も関わらざるを得ない。

 リアの面倒を見るって約束したから、放っておくわけにいかないのだ。

 

 3人でこれからどうするか話し合った結果、私がコーディを連れて、おまけ迷宮以外の迷宮を周回することになった。

 私なら、人に気付かれず、効率的に周回できる。

 本当は、自分のステータス上げをしたいところだけど、今回はリアのために頑張ることにしよう。



◇◆◇◆◇◆◇



 まず最初にやってきたのは、スライ厶迷宮。

 コーディの実力を見るためにも、第1層は普通に進むことにした。

 先頭はコーディ。私は後ろから道案内をしながらついていく。

 コーディは、出会うスライ厶を難なく倒して階段まで進んでいった。スライム相手なら、苦戦することはなさそうだ。

 念の為、気付かれないように「防御結界プロテクトシールド」を張ったけど、なくても問題なさそうな感じだった。


 第2層からは、飛行魔法で飛んでいく。

 地上のスライムに時々攻撃を加えながら、ボス部屋まで一気に飛んでいった。


 最後に、ボス部屋では基本的にコーディに戦わせ、私は危険なポイズンスライムやパラライズスライムを倒すだけにした。

 ある程度は戦った方が良い特典がもらえるという噂があるとリアとコーディが言っていたので、本当かどうか確かめるために。


 ボス部屋をクリアして特典をもらい、2周目の攻略をする。今度

は、全部私の飛行魔法ですっ飛ばす。ボス部屋も私だけ戦った。

 特典をもらって、1回目のと比較する。

 私は、1回目が銀貨1枚、2回目が初級魔力回復薬3個。

 コーディは、1回目が初級体力回復薬5個。2回目がポー草50個。

 私の銀貨1枚以外は、ほぼ同価値。銀貨も、私的には良いものだと思ったんだけど、コーディ曰く誤差の範囲内らしい。つまり、攻撃の頻度で特典の価値は変わらないということだ。

 それなら、コーディに攻撃させる時間を短縮できる。

 まあ、私もボス以外はどうしても避けきれない魔物しか倒さないから、経験値はほとんど入らないけど、今回は特典が目的だからいいよね。


 夕方、そろそろ日が暮れるので帰ろうかという頃、コーディが「筋力強化パワー・ライズⅠ」のスキルを取得したので、スライム迷宮での周回は終了となった。



◇◆◇◆◇◆◇



 その後、ボス部屋の危険が少ない属性系の迷宮を周回したけど、コーディが転移魔法を取得することはできなかった。

 ウルフ迷宮は2日、ガーゴイル迷宮は半日ちょっとで終了。

 スウィルシアの街のゴーレム迷宮も、3日半で終わってしまった。


 正直、これだけやって取得できないとは思ってなかった。迷宮の数じゃなくて、かかった時間に驚いている。

 だって、コーディが迷宮の周回を始めてから、もう2週間も経っているのだ。

 さすがに毎日迷宮に行くわけにもいかないから、休息日を入れながらだったけど、こんなにかかるとは思ってなかった。


 幸い、アドリアナに新たな動きはないらしいけど、いつまでものんびりしているわけにはいかない。

 王都の迷宮をある程度攻略したら、次の街へ向かいたい。できるだけ遠くに。変装しなくても出歩けるような場所まで行きたい。

 捕まらない自信はあるけど、危険の少ない場所に行きたいと思うのは当然だよね。




 王都の迷宮の方は、アニタさんが情報収集をしてくれた。

 迷宮は、基本的に一日中入り口に警備員がいるらしい。昼間は入場制限をするギルド職員の護衛をしていて、夜は盗賊とかが迷宮に入って、冒険者を傷つけたりすることがないように、迷宮に誰も入れないために警備をしているそうだ。

 アニタさん曰く、私なら夜中の警備の交代時間にこっそり入れそうとのこと。

 夜中なら攻略する冒険者もほぼいないから、迷宮内で会うこともなく、快適に攻略できるだろうと教えてくれた。


 警備の交代時間については、ハティさん、イーサンさん、ハンスさんが、ギルド職員時代の伝手を使って、調べてきてくれた。

 とりあえず、一回でも入っておけば転移できるようになるから、タイミングを見て全て入るだけ入っておいた。


 ただ、まだ攻略してないし、夜中しか行けないので周回には向いていない。

 そうなると、次に周回できるのは、ゴブリン迷宮くらいだ。

 でもゴブリンエンペラーが出てくると、コーディを守りながら戦って勝てるかわからない。

 自分のせいで誰かが死ぬのは見たくない。

 でも、早くコーディから解放されたい。

 うーん……どうしよう…………。

 考えた結界、もう一度ゴブリンエンペラーと戦ってから決めることにした。

 前よりもステータス上がってるし、死にかけるようなことにはならないと信じて。



 丸1日周回して、3回ゴブリンエンペラーと戦ったけど、どれも普通に倒せた。さすがに一撃必殺とはいかないけど、危険なく倒すことができた。

 これなら、コーディに固い防御結界を張っておけば安全だよね。

 私はウキウキ気分で家に帰った。



◇◆◇◆◇◆◇



「えっ!ゴブリン迷宮?……えーっと、自分で言うのもなんだけど、あたし、ゴブリンキングとか倒せるほど強くないよ?大丈夫?」


 家に帰って、コーディに明日からはゴブリン迷宮だと言ったら、コーディはとても驚いて言った。

 ふと目を向けると、リアが心配そうに見ている。


『うん。大丈夫。私が倒すから』

「でも、ゴブリンエンペラーが出てきたら……」


 珍しくコーディが弱気になっている。これまでは、張り切って迷宮攻略をしていたのに。

 まあ、命の危険がある場所に行くのが不安なのは当然のことだ。


『エンペラーでも大丈夫。倒せること確認してきたから』

「え!確認って……倒してきたんですか?」

『うん。前にも倒したことあったから』

「そう……」


 なんとなく、コーディが私の話を信じていないような感じがする。

 私はコーディとリアを連れて家の外に出ると、「無限収納インベントリ」からゴブリンエンペラーの死体を出して並べた。

 今日は周回を優先したから、まだ解体していなかったのだ。


 目の前に並べられた3体のゴブリンエンペラーの死体を見て、ようやく納得してくれたコーディと、称号が欲しいというリアを連れて、ゴブリン迷宮に行くことになった。



◇◆◇◆◇◆◇



 最初は、リアだけを連れて攻略する。

 3人より2人の方が、得られる称号の効果は高いからだ。

 いつも通り飛行魔法でボス部屋まで飛んでいく。

 ボスは運良くゴブリンエンペラーが出た。恐怖で怯えるリアを結界で守りながら、ゴブリンエンペラーを倒す。

 昨日の周回で、レベルもステータスも上がったからか、5分もかからずに倒すことができた。

 途中でリアに一撃入れさせたから、リアにも経験値が入って、レベルアップしているはずだ。

 称号と合わせて、大幅な強化になったと思う。




 続いてコーディを連れて攻略する。

 リアは家でお留守番だ。

 コーディにも、リアと同じく、ボス戦では多少攻撃させている。結界の中からでも攻撃できるから、安全に経験値が稼げる。

 いわゆるパワーレベリングというやつだね。

 まあ、今のままだと技術が追いついてないから無理はさせられないけど、体力値や防御力が上がって簡単に死ぬことはなくなったと思う。

 もし、ゴブリン迷宮で獲得できなかったら、次はゴブリン迷宮と同じ階層数のスウィルシアの街のコボルト迷宮。そこでも駄目だったら、オーク迷宮に行くしかない。

 そうなったとき、ボスの一撃で即死、なんてことになったら嫌だ。

 多少の怪我なら、魔法や回復薬ポーションで治せるけど、死んでしまったらどうしようもないのだ。


 今のうちに少しでもステータスを上げてほしい。

 でも、周回に時間をかけたくはない。

 考えた末、私が戦っている間、隙を見てボスに攻撃させるのが一番効率的だという結論に至り、実行しているというわけだ。

 周回が終わるまでに少しでも強く頑丈になってくれたらいいな。



◇◆◇◆◇◆◇



 そして、さらに1週間、迷宮の周回を続けた結果、ゴブリン迷宮でもコボルト迷宮でもコーディは転移魔法を取得できなかった。


 ああ、どうしよう…………。

 というか、コーディはステータス上は結構強くなったし、転移魔法はもう諦めてくれないかな?…………くれないんだろうなぁ。

 

 コーディは、めげることなく転移魔法を求め続けている。

 うっかりコーディに転移魔法の話を振ると、軽く1時間は語り続けるくらい、転移魔法が好きらしい。

 私が使うのを見つけると、もっともっととせがまれて、嫌ってくらい転移させられるのだ。

 もうやだ、この子……。転移魔法以外は、普通なんだけどなぁ。


 ああ、どうしよう……。

 どこかに手頃な迷宮、転がってないかなぁ?ないよね……。

 はぁ…………。




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