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13.ぼっち少女の初依頼2


 冒険者ギルドをあとにした私は、昨日入ってきた門から街を出て、森に向かった。

 門番は昨日と違う人だった。

 おじさんに会ったら、昨日のお礼を伝えようと思っていたので、少し残念だった。


 森の入り口に着くと、私は「探索サーチ」を使って魔物の位置を調べながら、森の奥へと入っていく。

 足元に注意して、ポー草を探す。でも、森には草がたくさん生えていて、どれがポー草かわからない。

 私は、試しに目についたポー草に似た草をひとつ採り、カードに収納してみた。

 そして、ステータスを開くと、称号欄に「冒険者」が増えていたので、タップしてみる。



◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆


冒険者


【称号取得条件】冒険者になる

【効果】進行中の依頼状況が閲覧できる


【依頼状況】最新立寄:フィルリアの街

〔一時依頼〕

・ポー草の採取(0/100) オルヴァセン13日 受注


〔常時依頼〕

・ポー草モドキの採取(1/100) オルヴァセン13日 受注

  品質:中1



【収納物】

ポー草モドキ・中(1)


◆◇◇◇◆◇◇◇◆◇◇◇◆



 さっきの草は、ポー草モドキというらしい。品質は中か。そして、ポー草モドキは常時依頼扱いになるんだね。

 確認が終わると、私は、さっき採ったポー草モドキの横に生えていた草を取り、カードに収納する。

 そして、またステータスを開いて確認すると、今度は、「ポー草・中」と表示された。

 正直、ポー草とポー草モドキの違いがよくわからないけど、どちらを採っても依頼をこなせるので、近くにあった似ている草を片っ端から採っていった。


 ひととおり採って確認すると、ポー草・中が10本、ポー草モドキ・中が8本だった。この辺りには品質が中のものしか生えていないようだ。

 アニタさんの話だと、高品質なら報酬も増えるらしいので、できれば高品質なものを採りたい。

 私は、「探索サーチ」でポー草を探した。特定の物を探すために「探索サーチ」を使うのは初めてだけど、ポー草がどういうものかわかっているからか、ちゃんと表示された。……ただ、私がちゃんと見分けがついていないせいか、ポー草モドキも混ざっていたけど。

 地図に表示されたアイコンをタップすると、品質も表示された。高品質なポー草(とポー草モドキ)は、森の奥の方に生えているらしい。

 私は、魔物に気を付けつつ、森の奥に歩いて行った。






 できるだけ魔物に遭遇しないルートを選んで、森を進み、目的の場所に辿り着いた。

 地面には、明らかにさっきより良質なポー草(とポー草モドキ)がたくさん生えている。ざっと数えたところ、今見えている範囲だけで200本くらいはありそうだ。

 私は、夢中になって、片っ端からポー草(とポー草モドキ)を採っていった。

 そして、その辺りに生えていたポー草(とポー草モドキ)をすべて採り終わると、ステータスを開いて確認した。



◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆


冒険者


【依頼状況】最新立寄:フィルリアの街

〔一時依頼〕

ポー草の採取(183/100) オルヴァセン13日 受注・完了

 品質:良109、上53、中14、下7


〔常時依頼〕

ポー草モドキの採取(243/100) オルヴァセン13日 受注・完了×2

 品質:良156、上73、中11、下3



【収納物】

ポー草・良(109)、ポー草・上(53)、ポー草・中(14)、ポー草・下(7)

ポー草モドキ・良(156)、ポー草モドキ・上(73)、ポー草モドキ・中(11)、ポー草モドキ・下(3)


◆◇◇◇◆◇◇◇◆◇◇◇◆



 全部で400本以上採ったらしい。ポー草とポー草モドキは1本が細く、直径1センチもない上に、何本もまとめて生えていたので、かなりの量を採取することができた。

 時間を見ると、この場所で1時間以上も採っていたらしい。もう11時を回っていた。

 そろそろお昼時だし、帰ろうかな。

 そう思って、魔物を探すために「探索サーチ」を発動すると、近くにアースウルフBの反応が4匹あり、こちらに近づいてきている。

 直線距離で15メートルくらいしかないので、今から逃げても間に合わないだろう。

 こんなに近づかれるまで気付かないなんて、ポー草採取に少し夢中になり過ぎたようだ。

 反省しつつ、アースウルフBの接近に備えて「氷槍アイスランス」を4つ出して待機した。



 少しして、木々の隙間からアースウルフの姿が見えると、すぐさま「氷槍アイスランス」を放った。

 「必中パーフェクト・ヒット」の異能により、氷の槍は狙った場所に正確に当たり、アースウルフBを3匹倒すことができた。

 しかし、1匹は咄嗟に木の陰に隠れられたせいで、倒し損ねてしまった。

 「必中パーフェクト・ヒット」の異能は、狙った場所に当たる能力で、狙った物に当たるわけではない。この能力の補正が聞くのは、あくまで座標に対してのものだから、その場所から動かれたら意味がない。

 私は、気を取り直して、もう一度「氷槍アイスランス」を3本準備し、そっと残ったアースウルフBに近寄っていこうとした。

 と、ちょうどその時、アースウルフBが隠れている木の陰から、遠吠えが聞こえた。


「アオ~~~~~ン」


 私は直感的に、危険を察知した。これはマズイ。

 私は、慎重に行くのはやめて、強行突破するべく走り出した。

 10メートル弱の距離を一気に駆け抜け、遠吠えをしたアースウルフBを氷の槍で倒し、死骸を「無限収納インベントリ」に回収する。

 さらに、さきほど倒したアースウルフの死骸も回収し、「探索サーチ」を使いつつ、全力でその場を離脱する。


 走りながら、「探索サーチ」の結果を見ると、さっきまでいた場所を中心として、円状にアースウルフがこちらに向かって集まってきている。

 やっぱりさっきの遠吠えは、アースウルフBの固有スキル「遠吠え(ハウリング)」だったようだ。

 数十匹ものアースウルフが、一斉にこちらにやってきている。

 私が場所を移動しているので、一番遠い群れからはだいぶ距離があるけど、一番近い群れにはむしろ近づいている。

 アースウルフたちは円状に接近してきていて、私はその円の中にいるため、戦闘を回避することはできそうになかった。

 私は、仕方なくその場で足を止め、迎撃態勢に移った。

 

 ……無事終われますように。

 そう祈りながら。


参考までに載せておきます。



◆◇◇◇◇◇◆◇◇◇◇◇◆


遠吠え(ハウリング)

【発動】任意

【説明】使用者の周囲半径10メートル以内の同族を呼ぶ。

【使用方法】遠吠えする。


◆◇◇◇◆◇◇◇◆◇◇◇◆


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >>使用者の周囲半径10メートル以内の同族を呼ぶ。 10メートルって結構近くじゃないですか? このエピソードを読んだ感じだともっと遠くからも仲間を呼び寄せているように見えますが…
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