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閑話12 とあるテイマーの計画

今回は、前回登場した謎の男(調教師テイマー)視点でお送りします。


 なぜ?

 なぜだ?

 なぜこうなった!?


 完璧な計画だった。

 あの方の御心に添って計画を練り、行動した。

 何年もかかって、ようやく実行に移すときが来た。

 この計画が成功すれば、この国は終わりになるはずだった。



 それなのに!

 それなのに、なぜだっ!

 なぜこうなったのだっっ!!



 コツコツとレベルを上げ、強い魔物をテイムした。

 あの方のお力添えで、テイムした魔物を迷宮の外に連れ出せるようになった。


 商業都市から王都に向かう唯一の街道にキング級の魔物が現れれば、交易は途絶える。

 スウィルシアの街の領主は慎重なヤツだから、絶対にそうすると確信していたし、事実そうなった。

 この国で唯一、武器にできる魔石の採れるカージアの街からの供給がなくなれば、この国の魔法軍事産業は低迷する。

 さらに不足が続けば、軍用だけでなく冒険者用の魔法武器も品薄になる。

 本当は、キング級の魔物は投入したくなかったのだが…………ガーゴイル迷宮で魔石を採れる冒険者をカージアの街からの引き離すだけでは結果が出なかったからな。仕方がない。




 これでチェックメイトのはずだったのだ。

 確か、計画はこうだった。


 下準備として、カージアの街から、厄介な実力ある冒険者を理由をつけて追い出させた。

 冒険者がいなくなり、手薄となった街周辺に、テイムした魔物を放ち、一般人や弱い冒険者を襲わせる。

 さらに、街道に出したキングどもが商隊を襲い、全滅させる。

 そして交易は止まり、物資は届かなくなる。

 原因を探ろうとしても、街迷宮の存在を知らないマヌケどもは俺を見つけられず、原因は不明のまま。

 まあ、しばらく経てば交易が再開するかもしれないが、そうなったらまた魔物を街道に送ればいい。

 それで交易は止まる。

 それを繰り返していけば終わるはずだった。

 あくまでも「魔物の異常発生」という自然現象として済ませるはずだった。




 ――だが、実際はどうだ?

 うまくどおり行ったのは、交易の停止だけ。それもすぐに解除されてしまった。

 他はすべてパーだ!!


 商隊を襲ったゴブリンキングとオークキングは、たまたま居合わせた冒険者どもに倒され。

 潜伏していた街迷宮も、例の冒険者どもに暴かれ。

 あまつさえ、俺の姿までも見られてしまった!

 咄嗟に誤魔化したせいで頭のオカシイ人間のようになってしまったではないか!くそっ!

 それもこれも全部、あの冒険者どものせいだ!



 ゴブリンキングとオークキングの討伐はまだいい。

 アイツらは、俺が追い出した冒険者パーティーのひとつだった。つまり、それだけの実力があったということだ。だから、まだ、いい。


 だが、他は納得いかん!

 なぜ街迷宮が見つかったのだ!

 この国の連中は、街迷宮の存在を知らないのではなかったのか?


 くそっ!

 なぜだっ!


 誰か知っているヤツがいたというのか?

 いや、知っていたとしても、この短期間で条件を満たすことなどできるはずがない。

 この街で知られていない迷宮は、ミニマムアント迷宮。確か、あの迷宮の入り口は落とし穴になっていたな。あれでは、普通の大人はまず入ろうとしない。

 それに、落とし穴から迷宮に入っても、そこが迷宮であるとわかるのは難しい。何も知らないヤツから見れば、ただの蟻の巣だからな。

 それを攻略したとなれば、そこが迷宮だと知っていたということになる。




 誰だ?

 誰が知っていた?

 あの冒険者どもか?

 いや、もし知っていたなら、もっと早くに攻略していたはずだ。


 そういえば、調査だとかいう名目で、フィルリアの街から冒険者ギルドのギルドマスターが来ていたな。

 確かハーフエルフの元冒険者だったか。

 ふむ。ソイツが知っていた可能性は高いな。

 他は人族ヒューマンだったし、怪しいのはハーフエルフだな。


 さっさと消してしまうか?

 いや、それでは目立ちすぎる。


 そもそも、この国さえ滅亡できれば、方法などどうでもいいのだ。我々の存在が世に知られさえしなければ、どんな方法を使っても良いのだ。

 俺の姿は見られてしまったが、余計なことは言っちゃいない。

 あの方のことまでは知られてない。

 いくらでも誤魔化せる。




 ――よし、決めた!

 次は、こんなチマチマした方法じゃなく、もっと派手にやろう!

 一気に国の機能が停止するような、派手なヤツを!


 そのためには、駒が要るな。

 隠れ蓑にし、計画を遂行するための駒だ。

 まあ、世の中にはいろんなヤツがいるからな。

 探せばすぐに見つかるだろう。

 



 待ってろよ!

 俺の計画をボロッボロにしてくれたヤツらめ!

 次は絶対に、俺が勝つ!

 勝って、お前らの絶望した顔を見て嘲笑ってやる!

 そして、あの方のお役に立つのだ!

 フフフ、ハーッハッハッハっ!

 


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