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君を好きになるという事の覚悟  作者: 織田よしみ
3/3

BBQ

 期末試験も終わり、みんなが夏休みの予定で盛り上がっているが、無論非リアの俺には関係ないし盛り上がるような相手もいない。


 唯一俺を構う武広も雪子も各々の属しているグループの人間と盛り上がっている様子が見てとれる。


 二人とも社交的だし、空気も読めるしクラスのムードメーカーみたいな奴らだから周りが放っておかないだろう。


 というか、このクラスの連中は自分達が高校3年生という自覚はあるのだろうか?進学とか考えていないのか?


 まぁ、俺は夏休みもバイトをフルタイムで入り車の免許代を稼ぐのに必死だし、就職先もバイト先の飲食店で内定をもらっているから自分のしたい事を出来るわけだ。


 そして今日も今日とて俺はいつもと変わらず一人で机に突っ伏しているわけだが、ずっと視線を感じているのだ。

 ······磯谷さんにずっと見られている気がする。


 ちゃんと見てないから確証はないのだが、視線が送られてきている方角が磯谷広子の席なのだ。


 意を決してそちらに顔を向けたらサッと磯谷さんに視線を反らされてしまった。


 やはり磯谷さんが視線を送ってきてた主だった。

 何なんだよ?俺なんか気に障る事したか?


「なーおーきー!!」


 大声で名前を呼ばれ颯爽と現れ目の前の鈴木君の席に座る雪子。

 こいつ当たり前のように座ってるけど、そこ鈴木君の席だぞ?まぁ、不登校でいつもいないから問題ないだろうけどさ。


「んで、何だよ?相変わらず元気だよなお前は」


 不満を露にした顔をして、ダルい声を出し雪子に視線を向ける。


「直輝が普段から元気無さすぎなの!! ってか、そんなに私の事見つめないでよ! 照れるじゃん!」


 バンッと肩を平手打ちされる。

 意外と痛い。

 照れ隠しにしては強く叩きすぎだろ。


「いって! 何なんだよ? 用事とかないなら自分のグループに戻れよ」


「あ、そうそう夏休みに入ってすぐにバーベキューをみんなでやろうって話しててさ、直輝も行こうよ! ってか行くよね?」


 おいおい、みんなって······絶句したわ。

 言葉なくしたわ。

 コミュ障で人間が苦手な俺にバーベキュー?

 無理。絶対無理。


「いや、俺む···」


「大丈夫だよね? 思い出作りたいよね? はい! 決定ー!!」


 こいつはいつもこうだ、無理やり強行突破してくる。そして流される俺にも嫌になる。


「ちゃんとバイト休みにしてよ! 28日の金曜日だからね」


 雪子はそういうと自分の友達の所に戻っていった。


 はぁ~あ。最悪の夏休みの始まり方だ。



 ~·~·~·~·~·~·~·~

 ミィーン ミィーン ミィーン ミィン


 ギラつく太陽が容赦なく俺の体を照らしつけ、汗が吹き出す。


 それにしても時間が経つのが早すぎる。

 あっという間に28日になってしまった。


 冷静に考えたらバイトの休み取れなくて無理と断れば良かったのにバカ真面目に待ち合わせ時間より早く河川敷に着いてしまっているし、蝉はずっと朝からうるさいし苛立ちが暑さに拍車をかける。


「五十嵐君」


「ん?」


 つり目で痩せてて黒髪のロングヘアー、化粧っ気はない。可愛いまではいかなくても、ブスではない。

 磯谷広子がそこに立っていた。


 ミィーン!! ミィーン!! ミィーン!! ミン!!


 蝉の鳴き声がさらに大きく、うるさく感じられた。

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