森の遺跡①
リコさん を助けた僕は、成り行きで
彼女の調査を手伝うことになった。
女の子1人でなんて、危ないし、
ほっとけなかったからだ。
内心ではリコが、抜群の容姿をしていたから……
という理由もないわけではない。
僕ちゃんも男の子なのだから……
しかし、僕ちゃんことカナタの想像以上に
リコの冒険者としての力量は卓越していた。
リコの使用する魔法は光と大地を
属性としたもので、傷を癒し、身を守り、
時には、自然と同化するかのように魔物の
目を欺く事を可能にしていた。
一方、カナタはといえば、
手にした白???剣は羽のように軽く、
魔物の革を簡単に切り裂いた。
カナタは、2年間、1人で森を生き抜いてきた。
それでも、こんなに森の探索が楽に
進んだことはなかった。
リコは不思議な感覚にとらわれていた。
確かに、カナタの戦闘力は目を見張るものがあった。
さすがに、2年もの間、この森を生き抜いて来ただけの力が
あると思える実力だった。
(白???剣のおかげなのだが……)
それでも、Aランク冒険者には届かず、
強さだけならBランク冒険者とパーティを組んでいた時の
方が上だと判断していた。
しかしながら、カナタと二人で行動してからは、
調査の安定度が段違いなのである。
遭遇する魔物が、不思議と強くないのだ。
Bランク冒険者と4人でパーティを
組んでいた時は、次々と高ランクの魔物に
襲われ、消耗が激しく思うように探索が進まなかったのだ。
「カナタさん」
「何ですか、リコさん?」
「あの、カナタさんは、何か魔法かスキルを
使われているのですか?」
「いえ、特に何も……僕はまだ魔法は使えませんし、
どうしてですか?」
「いえ、あの、魔物の力がなんだか弱く
なっている気がしていて」
「んー、僕は、いつもと変わらない気が
しますけど。リコさんがいて、回復や
バフをいただけるのでその分は、すっごい
助かっていますけど!」
……カナタには何か不思議な力があるのかと、
確信に近いものを得たリコであったが
それ以上の追求も失礼と思い別の言葉を口にした。
「今日はここで、キャンプをはりましょうか」