パーティ結成①
少女の名前は リコ さんと言うらしい。
なんでも、冒険者を何人か雇い、この森の調査に
来たようだ。しかしながら、予想以上の魔物の強さに
冒険者パーティから調査中断の申し出があり、
やむなく1人で調査を続けていたのだとか。
彼女は魔法を使えるようで、調査の進展は
数段落ちるものの、魔物との遭遇を避けて
調査を続けられていたらしい。
そんな時、先程の白いスライムに襲われたようだ。
彼女の魔法は全て無効化されてしまい、
装備品や食糧なども全て溶かされてしまったとのこと。
まさに絶対絶命というところに、
僕が駆けつけて、彼女を救ったんだとか。
「この森でずっと修行を続けているけど、
あんなスライム見たことないな……
それに、魔物って言っても、そんなに強い
魔物にあったことなんてなかったけど……」
「あの……、この森で修行をされていると
今、仰いましたか?」
「はい。2年くらいここで生活してますよ?」
「…………」
何やら驚愕の表情でこちらを見てるが、
女性に見られることに免疫のない
僕ちゃん、特に相手がおとぎ話に
出てくるような容姿をしていれば尚更だ。
「あの……??どうかしましたか?」
「あ、ごめんなさい。
このアルカナの森で2年間も暮らして
いたなんて、信じられなくて」
彼女曰く、ここはアルカナの森と
言われる起源の古い大森林で、
魔物の数、強さ、いずれもBクラス以上の
冒険者レベルを要求される危険地帯らしい。
(といっても、そんなに強い魔物に遭遇
したことないよなぁ……確かに定期的に
遭遇する魔物が変わってるような気は
するけど、いつも同じような強さだし)
などと考え事をしていると、リコさんが
思い詰めた顔をして話し掛けてきた。
「あの、私に力を貸していただけませんか?
差し上げられるものが何もなくて心苦しい
のですが…………あなたが望むなら少しくらい……」
「はい、分かりました。」
僕ちゃん、初めてのパーティ結成の瞬間である。