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ソードスキル


「はい、今日の授業はここまで!みなさん、気をつけて帰りましょう~」


 先生がそう言うと子供達がバタバタと駆け出し教室を出始めた。


「やっと終わった・・・」


「お疲れ様、エイト」


「ああ、ピリカもお疲れ。さっさと帰ろうぜ」


「あ、エイト。一人で部屋まで帰れる?」


「ん?まぁ、帰れるけど」


「じゃあここで別れましょう。私はこのまま剣の練習に行ってくるわ」


「そか・・・」


 この後俺にはすることがない。

 ゲームがあればいいのだが、この世界には残念ながらない。

 完全に暇である。


「・・・それ、俺も付いてっていいか?」


「え?別にいいけど・・・楽しくなんかないわよ?」


「大丈夫、気にしないでくれ」


 他にすることがない以上、暇を潰せそうであれば何でもいい。

 それと、かわいい女の子が剣を振る姿も見てみたいというのもあった。


「そ、じゃあ付いてきなさい」


 俺はピリカに付いていき、練兵場へと向かった。



 練兵場に付くと、そこには戦士長のアルベールが剣を振っていた。

 俺達に気づいたようで声をかけてきた。


「おお、ピリカにエイト殿か、学校は終わったのか」


「ええ。私は剣術の練習に、エイトは――」


「あ、俺は見学にきました」


「ふむ、そうか。ゆっくり見ていってくれ」


「はい、どうもっす」


「ピリカ、丁度練習相手が欲しかったところだ。手合わせしないか?」


「はい、よろこんでお相手します」


 戦士長の呼びかけにピリカは答える。


 どうやら2人の試合が見られるようだ。

 しかしただの女の子のピリカに戦士長の相手が務まるのだろうか。

 そんな俺の不安をよそに二人は向き合い剣を構える。


「よし、好きにうってきてくれ」


「はい・・・では!」


 そう言うとピリカはかなりの手数で攻撃を繰り出した。

 そして戦士長はその攻撃全てを捌ききっていた。


 剣術に関してまったく知識のない俺であったが二人がすごいのはなんとなく分かった。

 ピリカは常に相手の隙を意識した攻撃をし、対して戦士長はピリカの手数ある攻撃に振り回されず堅実に対応している。

 昔剣術の試合の動画を見たことがあったが、それとは比べ物にならない強さを俺は感じていた。

 これが平和な世界と強くなければ生き残れない世界との違いなのだろうと思った。


 俺が息を呑み見守る中、二人の激しい試合は続いた。


 しかし堅実に対応する戦士長に痺れを切らしたのか、ピリカが少し強引な攻撃を繰り出す。

 戦士長はそれにしっかりと対応し、ピリカの剣は大きく弾かれてしまった。

 すかさず戦士長はその隙を突く。

 剣を大きく弾かれてしまっては、ピリカはもう間に合わない。


勝負あったか。


俺がそう思ったときであった。


 ピリカの剣が淡く光ったかと思うと、ものすごいスピードで腕が動き戦士長の剣をガードしたのだ。

 俺は目を疑った。

 あれは人間をやめでもしなければ到底できないことである。


 驚く俺をよそに二人は最初の位置に戻っていた。


「さすがです戦士長、私では到底かないそうにもありません」


「いやいや、ピリカの攻めもなかなかであったぞ」


 先ほどのことにはまったく触れず、二人は平然と会話を進める。


「よし、ではもう一度行くか」


「はい、お願いし――」


「ちょ、ちょっといいですか!?」


 さすがに無視できなかった俺はピリカの発言に割って入った。


「なによエイト、邪魔しないでくれる?」


「いや、今ピリカがやった剣が光ったやつって・・・何?」


「ソードスキルのこと?」


「ソードスキル?」


「・・・そうか、エイト殿の世界ではソードスキルは使われていなかったのか」


 ソードスキル。

 俺がゲームでよく知っているものだ。

 この世界でその言葉を聞くのは予想外であった。


「そのソードスキルってのを詳しく教えてくれないか?」


「うーん、でも今は・・・」


「ピリカ、私のことは気にせず教えてあげなさい」


「戦士長がそうおっしゃるなら・・・」


 そう言ってピリカはソードスキルについてを教え始める。


 教わったことを簡単にまとめると、



 ソードスキルは《近接強撃、飛び込み攻撃、ガード、パリィ、回避》の5種類あり、片手武器と両手武器で使える。

 近接強撃は威力ある攻撃をする。

 飛び込み攻撃は高速で移動しつつ攻撃をする。

 ガードは名前の通りガードをする。

 パリィは相手の攻撃を弾き返す。

 回避は名前の通り回避する。

 片手ソードスキルは出が早く対応が難しい。

 両手ソードスキルは威力が高くパリィ不可で剣のガードは弾くことができる。

 攻撃スキルに攻撃スキルを合わせる事で打ち消すことができる。

 ただし片手のスキルでは両手のスキルを打ち消すことはできない。

 飛び込み攻撃は距離の調整ができ、両手の方が移動距離が長い。


 さらに盾スキルもあり、盾スキルは《近接強撃、叩きつけ、ガード、パリィ、回避》の5種類ある。

 近接強撃はソードスキルより威力は少ないが相手をノックバックさせることができる。

 叩きつけは相手を少しの間行動不能にする。

 ガードパリィ回避はソードスキルと同じである。

 近接強撃と叩きつけは片手ソードスキルと同等の出の速さである。

 しかしソードスキルよりリーチが短いため、当てるにはかなり近づかなければいけない。

 盾を装備していなくても素手の状態で使用可能だが、ガードしてもダメージは防げない。


 スキル使用中は他の行動はできない。

 全てのスキルは再使用に少し時間がかかるため、連続では使えない。

 しかし両手と片手と盾で別スキル扱いのため、両手でスキルを使用した後に片手に持ち変えれば同スキルを使うことができる。

 ただし両手スキルは盾を装備していると使えない為、同スキルを使う場合は盾は装備できない。



「なるほど・・・んで、それは俺にも使えるのか?」


「うーん、多分使えると思うけど・・・ちょっといい?」


 そう言ってピリカは俺に剣を手渡し肩に手を乗せる。

 突然女の子に肩を触られ俺は少し動揺する。


「な、何だよ?」


「いいから意識を集中して」


 そう言われても何に意識を集中すればいいのか分からないのだが。

 とりあえず目を瞑り落ち着いてみることにした。


 しばらくすると、背中の後ろあたりに醤油皿程の小さな皿のようなものを感じ始めた。

 体内にある感じはするが感覚的には背中の後ろあたりにあるというよく分からない感じだ。


「なんか皿のようなものを感じる・・・」


「それがあなたの魔力の器よ。魔力を分け与えてるけどやっぱり溜まらないわね」


 これが俺の魔力の器か。

 この小ささでは魔法は使えそうにないな。


「その周りにいくつか小さな光がない?」


 そう言われ俺は周りに光がないか探し始めた。

 探していると、段々と光がちらほらと見えてきた。

 俺はその内のひとつの光を少し意識した。

 すると光が消え、手に持っていた剣が淡く光り出したかと思うと突然俺の腕が勢いよく動き虚空を切った。


「おわっ!?」


 突然の出来事に俺は驚く。


「それがソードスキルよ」


 特に何かしたわけではない。

 ただ光を少し意識しただけだ。


「これが、ソードスキル・・・」


 あっさりと出たソードスキル。

 まるで1クリックで出るゲームのスキルのようであった。


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