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ゲームではない世界


「ただいま」


 帰宅した俺はそう言い放つが反応はない。おそらくまだ親は働いてるのだろう。

 しかしそんなことは気にせずさっさと自分の部屋へ向かい、PCの電源を入れる。


 俺はゲームが好きである。

 中でもかなりのPS(プレイヤースキル)が求められるアクションゲームが大好きだ。

 故に親がいるとかいないとかはどうでもよく、さっさとゲームを始めたいのである。


「さて、強い奴に会いに行くか」


 俺が意気揚々とイスに座った時、突然視界に白い光が広がった。


(ん?なんだ?)


 原因を探る俺をよそに光は広がっていき、やがて視界を完全に塞いた。


(これは・・・めまいか?いや、でもこんな白くはないよな・・・なんなんだ?)


 しばらく考えていると段々と視界が戻っていった。


(あーやっぱりめまいだったっぽいな、戻って良かった~。でも一応病院には行った方がいいよなぁ)


 眼の心配をしつつも完全に視界が戻ると、自分の部屋ではない広間の真ん中につっ立っていた。

 中央に赤い絨毯が敷かれており、その先の玉座で頬杖をついている男がこちらを見ている。

 周りには鎧をつけた強そうな人達と、ローブを着た魔術師のような人達が整列している。


「・・・え?」


 思わず声が漏れる。


(何が起こったんだ?確か俺・・・イスに座ったはずなんだが・・・??)


 困惑しつつも改めて周りを見渡すがやはり自分の部屋ではなく、西洋のお城の中のようなところにおり、相変わらず周りには現代ではまず見ない格好の人達が整列している。


 見慣れない光景を目の当たりにした俺に、あるひとつの説が頭をよぎる。



 ここは異世界なのでは?と。



 異世界物が流行っている昨今、きっと行きたいと思う人が多いと思われる。しかし俺は違った。なぜなら、異世界ではゲームができないからだ。

 これは俺にとって非常に由々しき事態である。なんとかこの説を否定すべく再び考えを巡らせる。


(こんなことは現実では絶対ありえない。これは夢だ。そうに違いない。多分座った時のショックで寝ちゃったんだろう)


 そう自分に言い聞かしたが、俺の意識はしっかりしており、何だったら今日の出来事を朝から全て思い出すこともできる。はたして夢でそんなことができるであろうか。


(特撮の撮影とかか?いやなんで役者でもない俺が出れるんだよ・・・そうだ、多分俺は何らかの方法で眠らされて、どこかの軍か何かに捕らえられてしまって・・・俺なんかを捕らえる理由がないなぁ)


 考えても納得できる答えは出そうになく、いよいよ俺はこの疑念を晴らすべく目の前に座っている男に聞いてみることにした。


「あの、もしかしてここって・・・異世界、ですか?」


「ほう、よく分かったな。」


 男は少し驚いたようだった。俺も逆の立場だったら驚くのだろう。なにせいきなり異世界と見抜かれたのだから。まぁ、この人達がどういう立場なのかはまだ分からんのだけども。


 そして俺の予想は残念ながら当たってしまった。ここは異世界である。


(えーっと・・・そっか、異世界か。スローライフを満喫するのかな。それとも車とか飛行機とか作って、この世界を発展させちゃったりでもするのかなー・・・)


 俺はゲームがしたいなぁと切に思った。


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